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【獣医師監修】猫の去勢・避妊手術 メリット・デメリットや方法を解説
愛猫に去勢・避妊手術を行うと、スプレー行為が減ったり、病気の予防につながったりする一方で、消費するエネルギーが減ることによって太りやすくなるなどのデメリットもあります。前もって、手術のタイミングやスケジュール、術後の体や性格の変化について理解しておきましょう。

長谷川 諒 先生
Ani-vet代表
往診専門 レイクタウンねこ診療所院長
きたじま動物病院所属獣医師
シュシュキャットクリニック所属獣医師
ヤマザキ動物専門学校非常勤講師(薬理学)
北里大学獣医学部獣医学科卒業
北里大学獣医生化学研究室研究生在籍 研究テーマ「伴侶動物の鉄代謝」
●所属:国際猫医学会/日本猫医学会/日本獣医学会
●主な診療科目:内科(猫)/一般診療(外科、内科)/予防医療
猫の去勢・避妊手術のメリット・デメリット
まずは、猫の去勢・避妊手術について、メリット・デメリットをそれぞれご紹介します。
メリット
・大声で鳴く、マウンティング、スプレー行動などの性衝動が減る
・メスの場合、手術で卵巣だけでなく子宮も摘出すれば、子宮に関連する病気の予防にもつながる
・性格がおっとりとおだやかになる傾向がある
・予定外の繁殖を予防できる
デメリット
・麻酔による障害が起きる可能性がある
・肥満傾向になりやすくなる
猫の去勢・避妊手術のタイミング
生後6カ月から1才の間にするのが一般的です。
オス猫は、陰のう内に精巣が確認でき、体格も2kg程度まで成長していれば手術は可能ですが、早期の去勢手術はホルモンによる体の成長を止めてしまうので、早過ぎるとその後の体格に関わってしまいます。
メス猫は初回発情前の約5カ月頃で、体重が2kg前後というのも判断のポイントです。
一度でも発情を経験すると、メスは乳がんのリスクが高くなると考えられ、オスはスプレー行動を覚え手術をしても止まらないこともあるので、獣医師と相談して時期を決めましょう。
猫の去勢・避妊手術の方法とスケジュール
オス猫は、陰のうを切開し精巣を摘出する方法がほとんどです。切開するのは1cmほどなので、その日のうちに帰れることが多いです。
メス猫は「卵巣のみ」と「卵巣と子宮」を摘出する2通りの方法があります。下腹部を3cmほど切開しますので、当日帰れることもありますが、1泊~数泊入院することもあります。
かかりつけの病院ではどうなのか、事前に確認しておきましょう。
猫の去勢・避妊手術後の体と性格の変化
性ホルモンの分泌がなくなり代謝が落ちるため、腰やおなか周りがふっくらし肥満傾向になります。特に糖尿病には要注意。術後は食事の管理をしっかり行い、運動不足にならないよう遊ぶ時間もつくって肥満を予防しましょう。
まだ小さい子猫のうちに去勢・避妊手術をすると、大人になっても子猫のような甘えん坊の性質が残る猫が多い傾向にあります。特にオス猫はメスの鳴き声に興奮せず、闘争心が減ってケンカもしなくなるので、飼い主さんは愛猫が穏やかになったと感じやすいでしょう。
猫の去勢・避妊手術について、飼い主さんが知っておきたい基本的な知識をまとめました。愛猫に手術を受けさせるかどうかや適切な時期について、かかりつけの獣医師と相談しながら検討してくださいね。
監修/長谷川諒先生(きたじま動物病院)
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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