猫と暮らす
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【獣医師監修】猫と飼い主の動物病院との付き合い方 慣らし方や受診のコツも
動物病院はケガ・病気・健診と、一生にわたって愛猫がお世話になる場所なので、健康な子猫のうちから慣らしておくといいでしょう。猫の動物病院への慣らし方、受診時のコツ、獣医師とのコミュニケーションの取り方など、動物病院とうまく付き合うためのポイントを解説します。

長谷川 諒 先生
株式会社Ani-vet 代表取締役
保護猫施設専門往診病院 下京ねこ診療所 院長
動物病院京都 ねこの病院 所属獣医師
北里大学獣医生化学研究室 研究生
●所属:日本猫医学会/日本獣医腎泌尿器学会
●書籍(監修):『知っておきたい ネコの多頭飼いのすべて 獣医師が教える 幸せに暮らすためのポイント』メイツ出版 /『いちばんよくわかる猫種図鑑 日本と世界の60種』メイツ出版
猫の動物病院への慣らし方
しかし、個体差はありますが子猫のときから慣らすことで、それほどストレスを感じにくくなる可能性があります。成猫の場合は病院でスタッフからなでてもらうなどのいい経験をすることにより、慣れていくこともあります。
あくまで愛猫の反応や様子を見ながら行いましょう。
体重測定など痛くないことをしに動物病院に行く
こんな愛猫の異変に気付いたら動物病院へ
目
・目をシバシバさせるなど痛がる様子
・目が赤い
・涙や目やにが出る
多量の目やにが出る、目が開かなくなるなどの目の異常は、放っておくと失明につながる可能性があります。多くは猫自身が目をこすることで悪化するので、可能ならすぐにエリザベスカラーを付けて受診をしてください。また、目の中で出血が起こると目が赤く見えることもあります。
口
・呼吸が苦しそう
激しい運動したあとを除き、猫は通常、鼻で静かな呼吸を行います。しかし、平静時に口を開けたり、ハアハアと苦しそうな呼吸をしたりしていたら、呼吸器や心臓などの異常が考えられます。とくに舌や歯茎などが紫色っぽいと酸欠状態(チアノーゼ)のおそれがあるので、緊急処置が必要です。
耳・鼻
・鼻水やくしゃみが出る
耳や歯茎がいつもより白っぽいときは貧血、黄色っぽいときは黄疸、赤いときは発熱などの可能性があります。鼻水やくしゃみは猫カゼなど感染症の可能性があるので、悪化する前に受診してください。
腹
肥満でもないのに、おなかがふくれていたら、腹水や腫瘍性疾患、便秘の可能性があります。腹水は緊急性のある病気ですが、便秘も放っておくと危険なこともありますので、早めに受診しましょう。
子猫の場合、正常な状態でもおなかがふくれて見えることがありますが、排尿・排便がうまくできていない場合は受診しましょう。
毛
猫の毛づやは、人間の顔色のようなものです。つやがなかったり、パサパサしていたりするときは、脱水や栄養不良などの問題があるかもしれません。早めに動物病院で相談してください。
おしり
白い粒、または黄色っぽく変色したご飯粒のようなものが付いていれば、内部寄生虫(瓜実条虫など)やノミがいる可能性があります。
陰部
・血尿が出る
陰部ばかりをなめるのは、生殖器や泌尿器に違和感がある可能性が考えられます。また、尿道動が閉塞しており排尿できないときも、しきりに陰部をなめることがあるので、いつもと様子が違うときは受診してくだしあ。
血尿は、子宮・卵巣など生殖器から出血、細菌感染や結石などによる腎臓や膀胱など泌尿器の異常、ネギ類の誤食による中毒などが考えられます。
体全体
・触ると痛がる
けいれんは、中毒や内科疾患、てんかん発作などさまざまな原因が考えられます。基本的にけいれんを起こしている状態は一刻を争うので、すぐに動物病院に連絡をしてください。
また、外に出る猫は思わぬケガから痛みが生じていることもあるので、触ると痛がるような箇所があればすぐに受診しましょう。
動物病院で受診する際のポイント
症状をうまく伝えるコツ
〔伝えたいのはこんなこと〕
・状態
・時間
・量
・色
・形
・ニオイ
・回数
・症状の原因(心当たりがあるなら)
「食欲がない」
【ポイント】 ゴハンの量の変化を具体的に
・いつも5分で食べ終えるゴハンを丸1日かけて食べるんです
【ポイント】食べ終える時間の変化を具体的に
「元気がない」
【ポイント】 いつもと違う状態が続いている時間を伝える
・動くけれど、とてもだるそうなんです
【ポイント】 いつもと状態がどう違うのかを具体的に
「下痢」
【ポイント】 下痢が起きた時間、ウンチの形や量、ニオイを具体的に
・便をするときに出にくそうな様子で、軟便を1日に4〜5回しているんです
【ポイント】 いつもと違う状態、ウンチの形や色、回数を具体的に
「オシッコの変化」
【ポイント】 回数とオシッコの色を伝える
・1日3回のオシッコが6回に増えて、1回の量が数滴ほどなんです
【ポイント】 回数と色、量の変化を伝える
いつもとの違いをできるだけ具体的に
ふだんから愛猫の様子を把握しておく
【Q&A】動物病院の待合室で過ごすコツは?
Q 子猫が不安がって鳴いていたらどうする?
柔らかいキャリーバッグなら、バッグ越しに猫の体に触れて、体温を伝えると安心します。硬いキャリーケースは、猫を洗濯ネットなどに入れてからキャリーに入れて揚げると、猫は自分が隠れているつもりで安心します。
Q ほかの動物がいなければ、キャリーケースから出していい?
突然、ほかの動物が入ってきて驚くこともあるかもしれません。そのとき猫が興奮して、病院の外に飛び出したら大変です。万一の事態に備えて、待合室ではキャリーケースは開けず、猫も出さないでください。愛猫を守るうえでこれは大切です。
Q 他の猫や飼い主さんに近付けたり触ってもらうほうがいい?
子猫を紹介するつもりでついそうしたくなりますが、双方の猫にとって強いストレスになることもあります。また、受診理由によっては病気感染の危険もあるので、院内ではほかの猫や動物との接触は控えましょう。
【Q&A】獣医師ともっとうまく付き合うためには?
Q ささいなことでも動物病院へ行ってもいいの?
動物病院へ行くべきかどうか迷う症状のときは、一度動物病院へ電話をして判断を仰いでみてもいいでしょう。その際、右ページの「症状をうまく伝えるコツ」を参考に、症状をメモしてから電話すると、獣医さんの質問にも落ち着いて答えられます。ただ、実際に猫を診ないと診断はできないため、来院を指示されることが多いようです。
Q 処置する理由や方法をもっとくわしく説明してほしいのに…
説明をとくに求めないと、獣医さんは飼い主さんが理解していると思ってしまうこともあるでしょう。くわしい説明がほしいときは、そう伝えましょう。わからないことはわからない、知りたいことは知りたいと言うほうが、飼い主さんと獣医さんのよりよい関係を築けるもの。再診のときは、あらかじめ質問したいことをメモし、持参してみてください。
Q 専門用語を並べて説明されてよくわからなかった……
獣医さんがわかりやすい説明を心がけていても、何気なく専門用語を口にしてしまうこともあるでしょう。そんなときは、遠慮なく聞き返しましょう。説明の途中でも、終わってからでも「わからない言葉があったので、わかりやすい言葉でもう一度説明してください」と伝えてください。獣医さんも意識して、わかりやすい言葉で説明してくれるはずです。
Q 獣医さんのほうから猫の症状について飼い主にもっと聞いてほしいのに……
何かを言いたそうにしている飼い主さんの様子に、気が付かない獣医さんもいるかもしれません。「あの、ほかにも気になる症状が……」など一言でも口に出すと、獣医さんは飼い主さんの気持ちに気が付き、話を聞いてくれるでしょう。飼い主さんが伝える猫の症状は、治療方針などを決めるときにとても役立つそうです。
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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