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【獣医師監修】猫と飼い主の動物病院との付き合い方 慣らし方や受診のコツも

動物病院はケガ・病気・健診と、一生にわたって愛猫がお世話になる場所なので、健康な子猫のうちから慣らしておくといいでしょう。猫の動物病院への慣らし方、受診時のコツ、獣医師とのコミュニケーションの取り方など、動物病院とうまく付き合うためのポイントを解説します。

猫の動物病院への慣らし方

初めて動物病院へ行ったときに、いきなり注射や手術などの痛い体験をすると、猫は知らない場所に不安なうえ、嫌なことが起こる場所として覚えることもあります。そうすると、猫は動物病院に行くたびに嫌な記憶がよみがえり、ストレスを感じやすくなってしまいます。

しかし、個体差はありますが子猫のときから慣らすことで、それほどストレスを感じにくくなる可能性があります。成猫の場合は病院でスタッフからなでてもらうなどのいい経験をすることにより、慣れていくこともあります。
あくまで愛猫の反応や様子を見ながら行いましょう。

体重測定など痛くないことをしに動物病院に行く

家に子猫が来て落ち着いたら、健康チェックのために動物病院へ。その後数回は、発育状況の確認や体重測定、ワクチン接種の時期の相談など、痛くないことをしに動物病院へ行ってみましょう。

こんな愛猫の異変に気付いたら動物病院へ

猫の異変について、緊急の症状を中心に部位ごとにリストアップしました。こんな猫の異変に気付いたら、なるべく早く動物病院へ連れていってください。

・目が開けられない
・目をシバシバさせるなど痛がる様子
・目が赤い
・涙や目やにが出る

多量の目やにが出る、目が開かなくなるなどの目の異常は、放っておくと失明につながる可能性があります。多くは猫自身が目をこすることで悪化するので、可能ならすぐにエリザベスカラーを付けて受診をしてください。また、目の中で出血が起こると目が赤く見えることもあります。

・息づかいが荒い
・呼吸が苦しそう

激しい運動したあとを除き、猫は通常、鼻で静かな呼吸を行います。しかし、平静時に口を開けたり、ハアハアと苦しそうな呼吸をしたりしていたら、呼吸器や心臓などの異常が考えられます。とくに舌や歯茎などが紫色っぽいと酸欠状態(チアノーゼ)のおそれがあるので、緊急処置が必要です。

耳・鼻

・耳や鼻が白っぽい、黄色っぽい
・鼻水やくしゃみが出る

耳や歯茎がいつもより白っぽいときは貧血、黄色っぽいときは黄疸、赤いときは発熱などの可能性があります。鼻水やくしゃみは猫カゼなど感染症の可能性があるので、悪化する前に受診してください。

・腹部がふくれる

肥満でもないのに、おなかがふくれていたら、腹水や腫瘍性疾患、便秘の可能性があります。腹水は緊急性のある病気ですが、便秘も放っておくと危険なこともありますので、早めに受診しましょう。
子猫の場合、正常な状態でもおなかがふくれて見えることがありますが、排尿・排便がうまくできていない場合は受診しましょう。

・つやがない

猫の毛づやは、人間の顔色のようなものです。つやがなかったり、パサパサしていたりするときは、脱水や栄養不良などの問題があるかもしれません。早めに動物病院で相談してください。

おしり

・肛門のまわりに米粒みたいな白い粒がついている

白い粒、または黄色っぽく変色したご飯粒のようなものが付いていれば、内部寄生虫(瓜実条虫など)やノミがいる可能性があります。

陰部

・陰部ばかりをなめる
・血尿が出る

陰部ばかりをなめるのは、生殖器や泌尿器に違和感がある可能性が考えられます。また、尿道動が閉塞しており排尿できないときも、しきりに陰部をなめることがあるので、いつもと様子が違うときは受診してくだしあ。
血尿は、子宮・卵巣など生殖器から出血、細菌感染や結石などによる腎臓や膀胱など泌尿器の異常、ネギ類の誤食による中毒などが考えられます。

体全体

・けいれんしている
・触ると痛がる

けいれんは、中毒や内科疾患、てんかん発作などさまざまな原因が考えられます。基本的にけいれんを起こしている状態は一刻を争うので、すぐに動物病院に連絡をしてください。
また、外に出る猫は思わぬケガから痛みが生じていることもあるので、触ると痛がるような箇所があればすぐに受診しましょう。

動物病院で受診する際のポイント

獣医さんに症状をうまく伝えられなかったり、質問のしかたがわからなかったりといったことがないように、ここでは動物病院での上手な症状の伝え方などを解説します。

症状をうまく伝えるコツ

症状をうまく伝えるコツは、症状を「できるだけ具体的に」説明すること。下記の項目にあるように時間や量、回数などを盛り込むといいでしょう。

〔伝えたいのはこんなこと〕
・状態
・時間
・量
・色
・形
・ニオイ
・回数
・症状の原因(心当たりがあるなら)

「食欲がない」

・食べるけれど、いつもの3割程度しか食べません
 【ポイント】 ゴハンの量の変化を具体的に

・いつも5分で食べ終えるゴハンを丸1日かけて食べるんです
 【ポイント】食べ終える時間の変化を具体的に

「元気がない」

・一日じゅう暗いところにいて出てきません
 【ポイント】 いつもと違う状態が続いている時間を伝える
・動くけれど、とてもだるそうなんです
 【ポイント】 いつもと状態がどう違うのかを具体的に

「下痢」

・今朝、ドバーッと水のような便が。すっぱいニオイもしました
 【ポイント】 下痢が起きた時間、ウンチの形や量、ニオイを具体的に

・便をするときに出にくそうな様子で、軟便を1日に4〜5回しているんです
 【ポイント】 いつもと違う状態、ウンチの形や色、回数を具体的に

「オシッコの変化」

・トイレに2分おきに何回も行き、トイレ砂がピンク色でした
 【ポイント】 回数とオシッコの色を伝える

・1日3回のオシッコが6回に増えて、1回の量が数滴ほどなんです
 【ポイント】 回数と色、量の変化を伝える

いつもとの違いをできるだけ具体的に

獣医さんがまず知りたいのは、「いつもと何がどう違うのか」ということ。時間や量、色、回数、愛猫の様子や動きなど「違い」を伝えられる内容を盛り込むといいようです。たとえば、「食欲がない」と伝えるより、「食べたそうにするが、食べずにあきらめる」など状態をより具体的に説明するといいでしょう。

ふだんから愛猫の様子を把握しておく

いつもと違う状態を具体的に説明するためには、通常の猫の状態を知っておく必要があります。ふだんから、愛猫の様子、食事の量、オシッコの色や回数、ニオイ、ウンチの色や回数、形などを把握しておきましょう。

【Q&A】動物病院の待合室で過ごすコツは?

タルトくん
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病院の待合室での過ごし方について、よくあるQ&Aをご紹介します。

Q 子猫が不安がって鳴いていたらどうする?

A やさしく声をかけたり、キャリーに布などをかけてあげてください。
柔らかいキャリーバッグなら、バッグ越しに猫の体に触れて、体温を伝えると安心します。硬いキャリーケースは、猫を洗濯ネットなどに入れてからキャリーに入れて揚げると、猫は自分が隠れているつもりで安心します。

Q ほかの動物がいなければ、キャリーケースから出していい?

A 万が一のときの対処ができないので、絶対に出さないでください。
突然、ほかの動物が入ってきて驚くこともあるかもしれません。そのとき猫が興奮して、病院の外に飛び出したら大変です。万一の事態に備えて、待合室ではキャリーケースは開けず、猫も出さないでください。愛猫を守るうえでこれは大切です。

Q 他の猫や飼い主さんに近付けたり触ってもらうほうがいい?

A 事故や感染を避けるため接触は控えましょう。
子猫を紹介するつもりでついそうしたくなりますが、双方の猫にとって強いストレスになることもあります。また、受診理由によっては病気感染の危険もあるので、院内ではほかの猫や動物との接触は控えましょう。

【Q&A】獣医師ともっとうまく付き合うためには?

かかりつけの動物病院や獣医師との付き合い方について、よくあるQ&Aをまとめました。

Q ささいなことでも動物病院へ行ってもいいの?

A もちろん大丈夫です。受診したほうがいいか不明な場合は、電話をして判断してもらいましょう。
動物病院へ行くべきかどうか迷う症状のときは、一度動物病院へ電話をして判断を仰いでみてもいいでしょう。その際、右ページの「症状をうまく伝えるコツ」を参考に、症状をメモしてから電話すると、獣医さんの質問にも落ち着いて答えられます。ただ、実際に猫を診ないと診断はできないため、来院を指示されることが多いようです。

Q 処置する理由や方法をもっとくわしく説明してほしいのに…

A あらかじめ聞きたいことをメモし持参するといいでしょう。
説明をとくに求めないと、獣医さんは飼い主さんが理解していると思ってしまうこともあるでしょう。くわしい説明がほしいときは、そう伝えましょう。わからないことはわからない、知りたいことは知りたいと言うほうが、飼い主さんと獣医さんのよりよい関係を築けるもの。再診のときは、あらかじめ質問したいことをメモし、持参してみてください。

Q 専門用語を並べて説明されてよくわからなかった……

A 「わかりやすい言葉で説明してください」と伝えてください。
獣医さんがわかりやすい説明を心がけていても、何気なく専門用語を口にしてしまうこともあるでしょう。そんなときは、遠慮なく聞き返しましょう。説明の途中でも、終わってからでも「わからない言葉があったので、わかりやすい言葉でもう一度説明してください」と伝えてください。獣医さんも意識して、わかりやすい言葉で説明してくれるはずです。

Q 獣医さんのほうから猫の症状について飼い主にもっと聞いてほしいのに……

A 「ほかにも気になることが……」など一言でも言ってみてください。
何かを言いたそうにしている飼い主さんの様子に、気が付かない獣医さんもいるかもしれません。「あの、ほかにも気になる症状が……」など一言でも口に出すと、獣医さんは飼い主さんの気持ちに気が付き、話を聞いてくれるでしょう。飼い主さんが伝える猫の症状は、治療方針などを決めるときにとても役立つそうです。
子猫のうちから愛猫を動物病院に慣らし、獣医師との関係を築いておけば、急な病気やケガのときもスムーズに受診できます。ぜひ、動物病院にかかる際の参考にしてみてくださいね。
監修/長谷川諒先生(きたじま動物病院)
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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