猫と暮らす
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【獣医師監修】猫の事故・ケガの防止法 もしものときの対処法も解説
猫は好奇心が旺盛です。目を離したすきに家具の隙間に入ったり、危険なものをかじったりして、ケガをする可能性もあります。家の中での事故やケガ、脱走など危険な状態を回避する方法と対処法を知っておきましょう。

長谷川 諒 先生
株式会社Ani-vet 代表取締役
保護猫施設専門往診病院 下京ねこ診療所 院長
動物病院京都 ねこの病院 所属獣医師
北里大学獣医生化学研究室 研究生
●所属:日本猫医学会/日本獣医腎泌尿器学会
●書籍(監修):『知っておきたい ネコの多頭飼いのすべて 獣医師が教える 幸せに暮らすためのポイント』メイツ出版 /『いちばんよくわかる猫種図鑑 日本と世界の60種』メイツ出版
猫を事故やケガから守るための工夫
誤食しそうな物は出しておかない
家具のすき間は入り込めないようにしておく
エアコンの風や直射日光が直接当たらないようにする
コード類は隠すかカバーをする
引き出しや押入れは開けっぱなしにしない
床掃除用の洗剤の使用は控える
キッチンの生ゴミや洗剤は片付けておく
そのほかの工夫・対策
家の中の危険を取り除く
・落下そうな場所にマットを敷く
・キッチンやお風呂場などに猫を近づけない など
脱走させない工夫をする
・突っ張り棒やストッパーで網戸を固定する
・ベランダの柵が通れないように、日よけシェードやすだれを取り付ける など
家の中の8つの危険
誤食する
糸や毛糸など猫がおもちゃにすると危険なものや、猫が食べると危険な観葉植物も置かないようにして。なめると有害な物はフタ付きの容器に入れ、届かないところに置いておきましょう。
感電する
感電するとひどい場合は大やけどをしたり、ショック状態になったりすることがあります。
溺れる
浴槽に湯を張っているときはお風呂のドアとフタをきちんと閉める、フタは頑丈なものを使用する、洗濯機へのくみ上げホースなどをドアやフタに挟むときにも、ホースを挟む部分のフタをカットするなど工夫が必要です。
挟まれる
骨が折れたり、脱臼や神経に影響を及ぼしたりする場合もあるので、急にドアが閉まらないようにドアストッパーをしておくなど安全対策をしておきましょう。
切る
すぐにフタ付きのゴミ箱に入れるなど猫が届かない場所にしまいましょう。
絡まる、宙吊りになる
ベランダにリードや綱でつなぐのも危険です。猫は絶対にベランダにださないか、もし出す場合はキャリーケースやケージに入れたままにしてください。
やけどする
また猫が原因の火災にも注意が必要です。室内で飼う犬や猫がガスコンロやIH調理器のスイッチを入れてしまい、周辺が焼けるなどして火災になるケースが増えています。スイッチを押すだけで点火できるタイプの製品で起こりやすい事故です。ペットが押してもスイッチが入らないようロックをかける、外出時にはガスの元栓を閉める、製品のプラグを抜くなどの注意をしましょう。
落下する
ベランダには出さない、窓を閉め忘れない、網戸が劣化したり破れたりはずれやすくなったりしていないか気を配りましょう。
アクシデントが起こったときの対処法
誤食をしてしまったとき
誤食したものが猫に毒性のあるものかどうかによって、緊急度が異なります。
毒性がないものの場合、便と一緒に排泄されればいいですが、胃腸内で詰まると手術が必要になることもあります。
誤食したものの一部が猫の口から出ていても、その先がどこにあるか確認できない場合は、無理に引っ張ったり、吐かせたりしようとしないでください。また、飲食も厳禁です。受診のときには、誤食した残りや、猫が吐いている場合は、吐いたものも持参しましよう。
出血したとき
止血直後に患部を消毒するのは、やめましょう。再び出血することがあります。消毒は、ある程度時間をおいてから動物病院でしてもらいましょう。
また完治するまでは傷の状態をしっかり観察して、腫れたりジュクジュクしたりして治りが悪い場合は早めに受診しましょう。
落下したとき
受診する場合は、バスタオルなどにくるみ、キャリーケースに入れてください。内臓が傷ついたり、骨折している可能性があるのでなるべく動かさないように注意しましょう。ただし猫がパニックになって暴れていたら、無理をせず落ち着くまで少し待ちましょう。
何ともないように見えても、痛がる様子はないか、歩き方がおかしくないか、排泄できているかなど数日間は観察してください。
ヤケドをしたとき
ヤケドをしたら、まず冷却剤で患部を冷やしてください。一刻も早く患部を冷やすことが大切です。
タオルで巻いた冷却剤か、濡れタオルを使うといいでしょう。受診する場合は、冷やしながら動物病院に向かいます。
広い範囲を冷やす場合は、冷やし過ぎによる低体温症に注意してください。太い動脈がある胸や脇の下などを避けて、背中側や足を冷やすようにしましょう。
溺れたとき
水やぬるま湯ではなく、高温のお湯で溺れた場合には、ヤケドの有無もチェックしてください。被毛で皮膚の状態がよくわからないときには、念のために冷やしながら緊急受診をしたほうがいいでしょう。 溺れた後、いつも通りにしているなら家で様子を見てもOK.です。ただし、しばらくは猫の状態をよく観察して、呼吸状態がいつもと違ったらすぐ受診してください。
感電したとき
感電した猫は驚いて動揺して、暴れたり隠れてしまったりすることもあります。猫が少し落ち着くのを待ってから体のチェックをしましょう。また、時間がたってから何かの症状が表れることもあるので、元気そうでも受診しておくのが安心です。
車にひかれたとき
全身の状態(脈、呼吸、出血の程度など)を詳しく伝えて指示を仰いでください。内臓破裂や骨折の可能性もあります。動かすとさらに傷める恐れもあるので、なるべく動かさないようにキャリーケースにいれましょう。開口部の狭いキャリーケースしかない場合は段ボール箱などを使ってください。
見た目に異変がない場合も、早めに受診しましょう。
けいれんを起こしたとき
猫が高所でけいれんを始めたら、落ちてケガをしないように、床に下しましょう。床でけいれんを始めたら、体をぶつけてけがをしないように、周囲のものを片付けてください。
「けいれんが続いた時間の長さ」は、診断の上でとても重要な情報です。飼い主さんの感覚では長く感じてしまいがちなので、できれば時計を見て時間を正確に計ったり、スマートフォンで動画撮影をしたりなど、けいれんの様子をできるだけ正確に獣医師に伝えるようにしましょう。
熱中症になったとき
猫の意識がある場合、部屋の窓を開けたりエアコンをつけたりして、部屋を涼しくしてください。さらに濡らしたタオルを猫の体を覆うように掛けて、冷たい水を飲ませましょう。それでも症状が改善されなければ、動物病院に受診しましょう。
意識がない場合は浴槽の残り水に猫の全身をひたしたり、シャワーを使ったりして、とにかく猫の体を冷やし、その後動物病院に電話をして指示を仰いでください。
「意識がなくぐったりしている状態」はかなり重い熱中症にかかっています。氷や保冷剤を使って体を冷やしながら一刻も早く受診してください。
意識の有無を確認せずに体を冷やし過ぎてしまうと、血行が悪くなり、体から熱を逃がしにくくなることがあります。さらにひどくなると、低体温症になることもありますので、体を冷やすときは、必ず意識の有無を確認してからにしましょう。
そのほかの緊急事態
顔が腫れた
体に何かが刺さった
ワクチンでアレルギーが出た
舌を切った
猫が家から脱走してしまったときの対処法
それでも脱走した場合は、以下の対応を行ってください。
【1】キャリーケース、フードなどを用意する
【2】猫が潜みがちな場所を探す
【3】猫を見つけたら安全に保護する
【4】帰宅後は全身チェックをする。
脱走から保護した後のチェックポイントは以下です。
・ケガをしていないか
・歩き方がおかしくないか
・体をしきりにかいていないか
・ウンチやオシッコに変化はないか
・食べる量は減っていないか
該当するものがある場合は、すぐに動物病院へ行きましょう。
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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