“尿石症”という病気をご存知でしょうか。主に体質が原因といわれ、一度かかると再発率も高い病気です。獣医学博士の齊藤邦史先生に、猫の尿石症の原因や治療法について解説していただきました。
尿石症ってどんな病気?
尿石症は、オシッコに含まれるミネラル分が結晶・結石化することで尿管や膀胱・尿道などの尿路を傷つけたり、尿路を塞いだりしてしまう病気です。
腎臓から尿道にかけて結晶や結石ができると、膀胱が刺激を受け、何度もトイレへ行くのに毎回少ししかオシッコが出なかったり、にごったオシッコや血尿が出たりします。
尿石症の原因は食事内容にあり!? 膀胱炎との併発も
尿石症は、体質が原因になることもありますが、食事内容も影響します。水分摂取量が少なかったりマグネシウムが多く含まれたフードを食べたりすることで、尿のpHがアルカリ化し、ストルバイトという結晶・結石ができやすくなります。一方、脂肪分を摂り過ぎていると、シュウ酸カルシウムの結晶化が起こりやすくなります。
また、膀胱炎にかかり膀胱が傷つくと、細胞の死骸などから結晶が形成され、尿石症を併発することもあります。
治療は食事療法がメイン、場合によってはカテーテルや外科手術も
尿石症の治療では、尿を適切なpH値に戻すために食事療法を行います。結石が尿道に詰まりオシッコが出にくくなっている場合は、カテーテルや外科手術で結石を取り除くこともありますが、その場合でも手術後は食事療法を行います。
食事療法では、ミネラルバランスが考慮されたフードを与えたり、ウェットフードを取り入れたりして飲水量を増やすなどの工夫をします。
尿石症は再発率が50~80%と高いため、一度治ったあとも食事管理が大切です。ほかにも、トイレを清潔に保つことで膀胱炎にかからないようにすることも予防になります。
ストルバイトの尿石症は、比較的若い猫がかかることが多いとのこと。「まだ若いから」と油断せず、愛猫の健康のために気をつけていきましょう。
お話を伺った先生/齊藤邦史先生(獣医学修士 斉藤動物病院院長)
参考/「ねこのきもち」2020年12月号『発症のしくみがイラストでわかる! 図解「うつる」「再発する」病気』
文/緒方るりこ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。