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【獣医が教える】猫の「危険な嘔吐」「大丈夫な嘔吐」~吐く理由、対処法
猫は吐きやすい動物で、健康でも吐いてしまうことがあります。そのため、病気かどうかの判断はとても難しいものですが、すぐ病院に行くべき「危険な嘔吐」と、様子を見てもいい「大丈夫な嘔吐」の違いを理解することはとても重要です。また、猫は我慢強い動物なので、症状が出た時には病気が進行している場合もあります。吐き方の違いを知り、「危険な嘔吐」のときは、早めに動物病院を受診しましょう。
1. 猫は吐きやすい動物
どうして猫は吐くの?
猫は健康でも吐くことがあります。これは、食道や胃の構造が他の動物に比べて嘔吐しやすいことがあげられます。また、猫はネズミや小鳥などの獲物を捕まえた時に、消化できない被毛や骨を吐き出すために吐きやすくなったとも言われています。吐きやすい動物ですが、重篤な病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
猫が吐く主な原因とは?
猫が吐く原因には、大きく分けて「胃腸の病気」と「胃腸以外の病気」があります。胃腸の病気には、胃腸炎や消化できない物を食べてしまった誤食、さらには胃腸の腫瘍など様々あります。また、胃腸以外の病気にも腎臓病やおしっこが出なくなる尿路閉塞など様々あります。異物による嘔吐は若い猫に多く、腫瘍や腎臓病による嘔吐は高齢の猫に多い傾向があります。しかし、上記以外にも様々な病気によって嘔吐は起こるので、どのような嘔吐が危険かをしっかり理解することが大切です。
2. すぐ病院に行くべき「危険な嘔吐」
1日4回以上の嘔吐
1~2回の嘔吐で元気も食欲もある場合は、一時的なこと多いですが、突然短時間に何度も吐く場合は、緊急性の高い病気が隠れていることがあります。また、何度も吐いてしまうと体が脱水し、より危険な状態になります。
連続3~4日以上続く嘔吐
嘔吐が長く続く場合には、慢性的な病気が隠れていることがあります。また、嘔吐が長く続くことで体が脱水し、さらに状態が悪化します。
嘔吐物に大量の血が混じる
胃や腸、口の中での出血が疑われます。血の色は量などにより変化しますが、チョコレート色の場合は、大量出血の可能性があり大変危険です。嘔吐物の色を獣医師に伝えることは難しいので、嘔吐物も病院に持参すると良いでしょう。
吐いた後にぐったりして元気がない、痩せてきている
様々な病気が考えられますが、すぐに対処しなければ命に関わる場合があります。また、痩せてきている場合は、慢性的な病気の可能性もあります。猫の体重は健康のバロメーターでもあるので、日頃の愛猫の体重を把握しておくことも大切です。
食べたものをすべて吐いたり、お腹が張っている
おもちゃなどの異物を食べてしまい、腸などに詰まっている可能性があります。お腹が張っているが元気だからと思っていても、急変する可能性もあるので、すぐに病院へ行きましょう。また、お腹を触ると痛がるなどの様子が見られる場合も要注意です。愛猫と遊んだ後は、おもちゃが壊れていないかなどチェックするようにしましょう。
嘔吐とともに下痢が起こる
元気も食欲もあれば一時的な場合もありますが、ウイルス性の感染症や中毒を引き起こす物を食べてしまった可能性があります。また、嘔吐だけでなく下痢をすることで、より体が脱水し状態が悪化します。
3. 様子をみても大丈夫な嘔吐の原因と対処法
1〜2回吐いたが元気、食欲がある
一度にたくさんの量の食事を食べたり、急いで食べた時に起こる事があります。お腹を休めるためにも、1日程度絶食し、絶食後は少量ずつご飯を与えるようにしてみましょう。また、同居猫などと競って食べる場合は、食事をする場所を分けるといいでしょう。ご飯を変えて吐き始めた場合は、ご飯がその子に合っていないことが考えられます。その子に合った適切な食事量や種類を見つけてあげてください。
空腹時に吐いた
空腹時間が長くなることで起こる事があります。1日の食事量は変えずに、食事回数を増やすことで改善することがあります。吐く時間が決まっている場合は、その時間に空腹にならないように食事時間を見直してあげましょう。
毛玉を吐いた
猫は綺麗好きなので、よくグルーミングをします。その際に毛を飲み込み、ある程度毛が溜まると、吐き出します。しかし、大量の毛が溜まり、腸などに詰まってしまうこともあります。そのため、大量の毛を飲み込まないように日々のブラッシングがとても重要です。また、毛玉の排出を促すようなご飯やサプリメントもありますので、獣医師に相談してみるのもいいでしょう。過剰なグルーミングは、皮膚病やストレスを感じている可能性があるので、動物病院を受診しましょう。猫のなかには、毛玉を全く吐かない子もいますが、そういった子が毛玉を吐き始めた場合は病気の可能性があります。
4. まとめ
猫は吐きやすい動物ではありますが、いつもと違う吐き方や量、回数などで重大な病気が隠れていることがあります。また動物病院に行く時は、一緒に嘔吐物も持って行くようにしましょう。嘔吐物の色や量、匂いなどで重要な情報を獣医師にスムーズに伝えることができます。さらに猫は、舌がザラザラしているので紐のついたおもちゃなどが舌に絡まり、そのまま飲み込んでしまうことがあります。そのため、愛猫と遊んだ後はおもちゃが壊れていないかチェックすることも大切です。日頃から愛猫の様子をよく観察し、細かな変化に気づいてあげるようにしましょう。
監修/八木田智洋先生(かんもん動物病院副院長)
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