“美人猫”と評判の端正な顔立ちと、野性的な体躯が魅力的なアビシニアン。その引き締まった体とは裏腹に、無邪気で愛らしい一面もあるアビシニアンの性格や特徴、歴史やかかりやすい病気について、ご紹介します。
アビシニアンの性格は、人なつっこく、穏やかで活発!
外見は野性的なアビシニアンですが、猫より人のほうが好き? と思えるくらい人なつこい性格のようです。
アビシニアンの性格|他の猫は苦手で人が大好き
アビシニアンは、人とのコミュニケーションが良好な反面、ほかの猫との同居が苦手など勝気で神経質な面があるといわれます。
アビシニアンの性格|遊び好きで運動神経抜群!
しなやかな体から想像できるように、アビシニアンの運動能力は高く、野性が色濃く残っているので、狩りの代わりといわれる遊びも大好きです。
アビシニアンの性格|警戒心より好奇心のほうが強い
アビシニアンは、好奇心旺盛で人好きなので、宅配便などが来たときに玄関まで出て行き、そのまま脱走してしまうなど、チョロチョロ動く分、ハプニング的な脱走が心配です。充分注意しましょう。
アビシニアンの性格|とても賢い!
人がしゃべっていることを理解できるといわれるくらい、賢いアビシニアン。学習能力が高く、一度開け方を覚えたら、ドアを両前足で開けてしまうなんて行動も見られます。
アビシニアンを飼うときに気を付けたい、3大ポイント
アビシニアンは飼いやすいようですが、何か気を付けるところはあるのでしょうか?
1.本能を満たすために、たくさん遊んであげて
アビシニアンは人なつっこい性格で、人とのコミュニケーションが大好き。そして運動量も多いので、お気に入りのおもちゃを使うなどして1日に最低でも5~10分以上は集中して遊んであげましょう。スキンシップも好むので、喜ぶところを触ってあげるコミュニケーション方法もおすすめです。
2.留守番させるときは居場所確認を忘れずに、部屋もしっかり片付けて
アビシニアンは活動的で好奇心旺盛なので、飼い主さんがいないときに様々イタズラされる心配が。留守番させるときは入って欲しくない場所には行けないよう制限し、誤食につながるような細かいものなどは片付けておきましょう。また、鳴き声が聞こえないので呼んでも滅多に返事がなく、そういう意味では、出かける前に居場所をよく確認しておくといいでしょう。確認せずに出かけると、一日中クローゼットに閉じ込めてしまっていた、なんてことも。
3.換毛期は毛が驚くほど抜けるので、こまめなブラッシングを
短毛なのでブラッシングはスムーズですが、独特な毛質ゆえ、換毛期は抜け毛が非常に多くなります。春から夏にかけての換毛期は、とくに頻繁にブラッシングするようにしましょう。
アビシニアンを飼う際に注意したい病気
アビシニアンはどんな病気にかかりやすいのでしょうか。遺伝的にどんなリスクがあるのか、知っておくといいですね。
「拡張型心筋症」… 心臓の筋肉が薄くなって、血液をうまく送り出せなくなる病気。
「アミロイドーシス症」… 心臓、肝臓、腎臓、消化器、末梢神経など多臓器のはたらきが悪くなる病気。
「アミロイドーシス腎症」… 腎臓を少しずつ、壊してゆく病気。
「ピルビン酸キナーゼ欠乏症」… 貧血や黄疸(おうだん)や脾腫(ひしゅ)などの症状を引き起こす病気。
「尿路細菌感染症」… 何度もトイレに通ったり、血尿や白く濁ったおしっこをします。
「猫遺伝性腹膜炎(FIP)」… コロナウイルスというウイルスが原因で、発熱、食欲不振、嘔吐、下痢などの症状により徐々に弱ってしまい、一度発病すると死亡率が高い病気。排泄物に含まれる菌が口、鼻経由で感染する病気。
「非定型抗酸菌に属する2種の菌複合体感染症」… 細菌により皮膚や消化管、リンパ節に肉芽腫をつくることがあります。
「重症筋無力症」… うまく歩けなくなり、衰弱していく病気。
「膝蓋骨脱臼」… ひざのお皿が外れてしまう。後ろ足を引きずったり、ひざの関節炎の原因にもなります。
「進行性網膜萎縮」… 徐々に視力が低下し、最後には失明に至る病気。
「鼻咽頭ポリープ」… 鼻や咽頭部にポリーブができ、鼻水や、鼻血の原因になります。
アビシニアンの個性的な特徴が魅力的!
一度飼ったら、ずーっとアビシニアンばかり飼いたがる人が多いくらい、人を魅了するアビシニアンの見た目の特徴は?
毛色はルディ、ソーレル、フォーン、ブルーの4種類
アビシニアンの代表的な毛色はルディ(赤褐色)、ソーレル(赤系の毛色)、フォーン(金色がかった褐色の毛色)、ブルーの4種類。アビシニアンの毛は、ティッキングと呼ばれる1本の毛に濃い色と薄い色が交互に入っているのが特徴で、毛先には色が入っています。1本の被毛が4~6色の濃淡がある帯状に区切られているので、太陽の下にいると、まるでキラキラ輝いて見えます。
逆三角形の顔形は、「美人」猫と評される
細身で筋肉質のボディ、軽々とジャンプする動きが野性的で美しいアビシニアン。瞳が大きく、逆三角形の顔は“美人猫”ともいわれます。瞳の色はゴールド、グリーン、ヘーゼル(ライトブラウンとダークグリーンの中間の色)、カッパー(銅色)の4種。目尻にあるアイラインのような模様が大きな瞳をより際立たせています。
ほとんど鳴かない
アビシニアンは、あまり鳴かず、鈴の音のような「コロコロコロ」と鳴く独特の鳴き声がキュートです。
アビシニアンは聖なる猫かも
約4500年前の古代エジプトでは、猫が神として崇められていたといいます。アビシニアンは、1860年代、アビシニア(現在のエチオピア)からイギリスに持ち帰った猫の「ズーラ」が、ルーツとされ、古代エジプトの壁画に描かれた猫に似ていることから、「聖なる猫」と呼ばれることも。「アビシニアン」という名前も、アビシニア(現在のエチオピア)という地名が由来です。その後ブリティッシュショートヘアーなどさまざまな猫種との交配により、外見や色がよりカラフルになりました。
人なつこくて飼いやすい野性的な猫!
アビシニアンは、歴史が古く野性的で美しいことに加えて、鳴き声が小さいので、集合住宅での飼育にも適しています。人が大好きで甘えん坊な面もあるので、とても飼いやすく、コンパニオンキャットとしてよきパートナーとなってくれるでしょう。
出典元/『ねこのきもち』WEB MAGAZINE(監修:高野八重子先生)