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【獣医師監修】猫にメロンを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

メロンは基本的に猫が食べても大丈夫な果物のひとつ。水分やビタミンC、カリウム、食物繊維など、猫の健康を守るのに役立つ栄養素が多く含まれています。ただし、与える量や与え方には少し注意が必要です。猫がメロンを食べるメリットに加え、与える際に注意すべき点を紹介します。

佐野 忠士 先生

猫にメロンを与えるときは与え過ぎとアレルギーに要注意

スプーンでカットグリーンメロンを食べる
kuppa_rock/gettyimages
メロンは水分が多く、体内ですばやく吸収される糖分を豊富に含んでいます。ほかにも、ビタミンCやカリウム、食物繊維などの栄養素も豊富なので、猫があまり水を飲みたがらないときや、食欲が落ちて元気がないときにおすすめの果物といえます。

ただし、糖分が多い分カロリーが高く、食べ過ぎるとカロリーオーバーになり、肥満や糖尿病などの原因になる可能性があります。また、メロンはスイカやきゅうりなどと同じウリ科の植物なので、ウリ科の果物や野菜にアレルギーがある猫には、メロンを与えないほうが安心です。

猫にメロンを与えるメリットとデメリット、与える際の注意点を紹介します。

メロンのおもな栄養素|約90%が水分、糖分とビタミンC、カリウムも豊富

メロン柄のミロ李色の布で顔をぐるりと覆われたノルウェージアンフォレストキャット
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
メロンに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
※緑肉種・赤肉種の成分比率はほぼ同じ
エネルギー40kal
水分87.8g
タンパク質1.1g
脂質0.1g
炭水化物10.3g
灰分(無機質)0.7g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

猫がメロンを食べるメリット|熱中症予防、高血圧予防、老化防止、腸内環境の改善など

頭にメロンゼリーの蓋をかぶって座っている黒猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
メロンに含まれる成分のうち、猫の体にメリットとなるおもな栄養素とその働きを紹介します。

水分|約90%が水分、水分補給で熱中症予防

メロンの約90%は水分です。愛猫にもっと水を飲んでもらいたいとき、メロンを食べることで水分補給できれば、下部尿路疾患や熱中症の予防になるでしょう。

食物繊維|腸内環境の正常化、便秘や下痢の予防

メロンには、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2つがバランスよく含まれています。

水溶性食物繊維は糖質の吸収をおだやかにすることで、食後の血糖値の上昇を緩やかにし、コレステロールの排出をサポート。

不溶性繊維質は、腸内で水分を吸って膨らむことで便のカサを増し、便通を改善してくれます。さらに不溶性食物繊維は、腸内にある善玉菌のエサとなって、腸内環境を整える作用があります。
普段から軟便や下痢、便秘がちな猫には、メロンの食物繊維が役に立つかもしれません。

ビタミンC|病気や老化の防止

メロンにはビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCには、病気や老化の要因になると考えられる活性酸素を強力な抗酸化作用で取り除くほか、鉄分の吸収促進や、解毒をしたり、ホルモン代謝をサポートしたりするなどさまざまな働きがあります。愛猫を病気から守るだけでなく、若さを維持して関節炎を予防するのに役立つ重要な栄養素といえるでしょう。

カリウム|高血圧の予防

メロンはバナナに次いでカリウムの含有量が多い果物です。
カリウムには、体内の水分の濃さを調整する作用があり、体内に溜まった塩分を尿と一緒に体外に排出することで、高血圧を防いでくれます。また、神経の伝達や筋肉の収縮にも深く関わっています。つまり、カリウムは猫の体を健康に保つために必要不可欠なミネラルのひとつなのです。

猫にはβカロテン摂取のメリットはない

猫がメロンを食べるメリットのひとつにβカロテンを挙げている情報を目にすることがあります。
犬の体内ではβカロテンがビタミンAに変換され、皮膚や目、粘膜の保護などに活用されることから、猫も同様だと思われがちですが、猫は体内に取り込んだβカロテンをビタミンAに変換して活用する酵素を持っていないため、βカロテンは猫にとってメリットのある栄養素とはいえません。猫は食べ物から直接ビタミンAを摂取する必要があります。

猫がメロンを食べるデメリット|心臓や腎臓への負担、アレルギーに要注意

大きな口を開けてあくびをしている茶色いエキゾチックショートヘア
ねこのきもち投稿写真ギャラリー 
どんなによい成分でも、与える量や猫の体調、体質によっては害を及ぼすこともあります。猫にメロンを与える際に考えられるデメリットを知っておきましょう。

カリウム|過剰摂取は高カリウム血症の原因に。腎臓病、心臓病の猫はとくに注意!

高齢で腎臓機能が低下している猫や腎臓病や心臓病を患っている猫の場合は、カリウムの摂取量に注意が必要です。健康であれば余分なカリウムは尿で体外に排出されますが、過剰摂取は健康な猫の腎臓にも負担となります。

さらに腎臓の機能が低下していると十分にカリウムが排出されず、血液中のカリウム濃度が高まる「高カリウム血症」になる可能性があります。「高カリウム血症」は、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈など体の不調をきたす原因になり、重篤になれば命を落とす場合もあります。

カリウムなど、体内の水分に含まれる電解質のバランス影響は、臨床症状などでははっきりとわからないことも多いです。「メロンを与える」「与えない」とは関係なく、定期的な健康診断と血液検査の実施をおすすめします。

口内・喉を刺激する「ククミシン」や中毒を引き起こす「ククルビタシン」に要注意

ククミシン

「ククミシン」は、皮の表面に網目が入っているメロン(マスクメロン、夕張メロン、アンデスメロンなど)に多く含まれているタンパク質分解酵素です。
人間がメロンを食べたときに、口の中や喉にピリピリとした喉の痛みや舌のしびれを感じる人がいますが、その原因となっているのがこの成分です。ククミシンが口の中の粘膜を刺激することで、それらの症状が生じると考えられています。

ククミシンはアレルギーを引き起こす原因になる「アレルゲン」という報告がありますが、メロンを食べてすぐ起こる喉や口中の不快な症状はアレルギー反応ではなく、ククミシンによって口の中の粘膜などが攻撃を受けたためのものと考えられています。

ククルビタシン

メロンに含まれる「ククルビタシン」という苦味成分は、メロンの皮やヘタの近くに多く含まれ、メロンが熟すにつれて量が多くなっていきます。

「猫がメロンを食べて嘔吐した」という飼い主さんの声を聞くことがあります。これは、熟れたメロンに含まれるククルビタシンが嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こしたと考えられますが、詳細なことはわかっていません。

愛猫がメロンを食べて吐いたり、下痢をしたりした場合には、かかりつけの動物病院もしくは救急病院で獣医師の診察を受けましょう。

タンパク質にアレルギー反応を示す場合も

食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰反応する現象です。メロンにも可食部100g中1.1gのタンパク質が含まれているので、メロンがアレルギー源になる可能性はゼロではありません。

以前も何らかの食べ物でアレルギーを起こしている猫や、愛猫に初めてメロンを与えるときは、ごく少量から。食べたあとに皮膚の痒みや湿疹、目の充血、嘔吐、下痢などのアレルギー症状が起こらないことを確認してから、次を与えるようにしてください。もし、何らかの症状が見られたら、獣医師の診察を受けてください。

猫にメロンを与えるときの注意ポイント|皮と種は取り除いて。メロン加工品もNG

体を丸めてぐっすり眠っている茶トラの可愛い寝顔
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬にメロンを与える際の注意点、与え方は以下の通りです。

与えてよい部位

皮や種は猫が消化しにくいので、皮を厚めに剥き、種とワタをのぞき、果肉部分だけを与えます。

与えるときの適量

猫にメロンを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、猫の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。
猫の体重目安1日あたりの摂取可能目安
4~5kg60g~70g(中1/5個~大1/8個)

※数値は、避妊・去勢済みの猫で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
※メロン中1個=可食部325g、大1個=可食部547gとして計算

調理のしかた

皮を剥き、種とワタを取り除き、小さく切って与えます。生のまま与えてOKです。

人間用のメロン加工食品は与えてはダメ

メロンはもともと糖分の多い果物ですが、人間用に加工されたゼリーやジュースなどの加工品は、さらに甘みを加えられていることも多いので、猫には与えないようにしてください。とくに「メロンパン」はさらにハイカロリーなので、愛猫にお裾分けするのはやめましょう。

メロンを愛猫に与えるときは、適量を守る。与え過ぎないよう気をつけて

メロンは、基本的に猫が食べても大丈夫なフルーツです。ただし、過剰摂取とアレルギー、熟したメロンによる中毒には注意が必要です。愛猫の健康を守るのは飼い主さんの責任。与え過ぎで猫が体調を崩すことのないよう、気をつけましょう。
猫には与えてはいけない食べ物があります。確認しておきましょう。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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