ぷにぷにでかわいい猫の肉球は、ついつい触ってみたくなりますよね。普段何気なく見ている肉球ですが、実は猫が生きるために役立つ能力がたくさん隠されています。今回は、哺乳動物学者の今泉忠明先生に、猫の肉球に関するマメ知識を教えていただきました。
体重の10倍以上の衝撃を吸収する
猫が高い場所から飛び降りて着地するとき、前足には体重の10倍以上もの衝撃がかかります。その衝撃を和らげてくれるのが肉球で、弾力のある掌球(しょうきゅう)がクッションとなって衝撃を吸収し、体の負担を軽減します。
音を消すのも自由自在
野生時代、獲物にそーっと近づいて狩りをしていた猫。獲物に気づかれないよう静かに忍び寄るとき、肉球のクッションが足音を消す役割を担っていました。飼い猫は慎重に歩く必要がないためか、音をたてて歩くこともあります。
肉球からフェロモンを出して存在感をアピール
肉球にかく汗にはフェロモンが含まれるため、猫特有のニオイをつけるマーキングの役割もあります。縄張り内をパトロールするときに自然と自分のニオイが地面につくので、ほかの猫に対して存在をアピールし、鉢合わせによる不要な争いを避ける効果があるのです。自分のニオイをつけて縄張りを主張するために、爪とぎをすることもります。
温度や質感をキャッチするセンサーの役割も
野生時代、猫は前足の肉球で触れて捕らえた獲物の状態を確認していました。肉球には温度や質感などを調べるためのセンサーの役割もあるので、本来とても敏感な部位です。肉球を触られるのが苦手な猫が多いのも納得ですね。
ネコ科の動物でピンクの肉球をもつのは猫だけ
野生のネコ科動物の肉球の色は、基本的にすべて黒。猫が人と関わるようになってから、野生では目立つ白っぽい毛色の猫が多くなり、ピンクの肉球をもつ猫が生まれたといわれています。
かわいいだけでなく、実はたくさんの重要な役割をもつ肉球。その役割を知れば、肉球を見る目が変わるかもしれませんね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2023年1月号『見かけによらず、じつはハイスペック! ねこの肉球 その秘められた能力は?』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。