猫が抱っこを嫌がる理由はさまざま。とはいえほとんどの猫の場合、飼い主さんの努力次第で嫌がられずに抱っこできるようになります。そこで今回は、猫を上手に抱っこするコツについて、アニマル・ケアサロン FLORA院長の中桐由貴先生に聞きました。
猫が好きな抱っことは?
抱っこに苦手意識がある猫には、抱っこの仕方やタイミングなど、猫のことを考えた配慮がとくに必要です。なかでも猫が好きなのは、以下のような抱っこといわれています。
安定している抱っこ
猫が安心して体をあずけることができるのは、体がぐらぐらしたり、落ちそうになったりしない安定した抱っこです。お尻を包み込むように、しっかり支えましょう。
圧迫しない抱っこ
飼い主さんは愛情表現でぎゅっと抱きしめているつもりでも、猫にとっては体を圧迫されて苦しいだけ。腕は猫を支えるために添えるイメージで、猫には力を加えないでください。
ある程度自由に動ける抱っこ
猫は、自由をうばわれると不安やストレスを感じます。必要以上に拘束せず、顔や体の向きを変えられる体勢で抱っこすることで、抱っこへの苦手意識が低くなります。
猫が嫌がりにくい基本の抱っこの仕方
ここからは、抱っこが苦手な猫でも嫌がりにくい、基本的な抱っこの仕方を紹介します。この抱っこの仕方は、猫が自分で伏せている体勢に近く無理がないので、猫の体に負担がかからないのが特徴です。
1.両手で猫を持ち上げる
猫の両脇から、左右の親指と人差し指で肩甲骨を、薬指と小指で前足のつけ根をはさんで持ち上げます。もしくは、お腹側から前足のつけ根に一方の手を添え、首の後ろをつまんで持ち上げてもOK。胸まわりをつかむと、両手で胸を圧迫してしまうのでNGです。
2.猫をひざにのせ、前足の下からお尻の下へ腕をまわす
猫を持ち上げたら、猫をひざの上に横向きにのせます。持ち上げられた状態が短いほど、猫が嫌がらず抱っこが成功しやすいので、すばやくのせることがポイントです。ひざの上にのせたら、猫の頭側にある自分の腕を、猫の前足の下からお尻のほうへまわします。二の腕のあたりに猫をもたれさせ、もう片方の手は猫の胸のあたりに添えましょう。
3.お尻をしっかり抱えて猫の体を引き寄せる
お尻を片方の手のひらで包むようにしっかり抱え、猫の体を自分のほうに引き寄せたら抱っこ成功。猫が腕から抜けてしまわないよう、もう片方の手は猫の胸に添えて。猫は体や顔の向きを変えられて安心、快適です。
猫のタイプに合わせた抱っこの仕方
抱っこができる愛猫なら、猫のタイプに合わせれば、もっとよろこぶ抱っこができます。
甘えん坊の猫には「あお向け抱っこ」
まず、両手で猫を持ち上げ、両太ももの間に猫の背中が添うようにあお向けにしてのせます。次に前足のつけ根を軽く持って、猫の上体を起こします。お尻が太ももにのっているので安定するほか、背中側が飼い主さんの体に密着しているので甘えん坊の猫におすすめです。
好奇心旺盛な猫には「後ろ向き抱っこ」
両手で猫を持ち上げ、ひざの上にのせます。自分と猫を向き合う体勢にしたら片方の手でお尻、もう片方の手で肩に手を添えて支えます。こうすることで飼い主さんの肩越しにいつもと違う視界が広がるので、好奇心を刺激すること間違いなしですよ!
愛猫に抱っこへの苦手意識を持たせないためには、猫が好きなやり方で抱っこをすることはもちろん、ふだんから信頼関係を築くことも大切です。愛猫がなかなか抱っこさせてくれないという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/中桐由貴先生(アニマル・ケアサロン FLORA院長 日本ペットマッサージ協会理事)
参考/「ねこのきもち」2019年10月号『“できない”も“できてるつもり”ももう、大丈夫。 パーフェクト抱っこできるようになりたい!』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。