猫の便の固さには個体差があり、便秘気味や下痢気味でも健康体である場合があります。しかし、飼い主さんとしては、愛猫に下痢の症状が出たらとても心配ですよね。
そこで今回は、注意したい便の形や下痢から疑われる病気など、猫の下痢にまつわる知っておきたい知識を、獣医師の重本仁先生に伺いました。
はっきりとした形がない便は要注意
便がゆるくても、かろうじて形を保っている程度であれば、そこまで心配することはありません。しかし、はっきりとした形を保てないような泥状の便や水様性の便は、腸内の健康状態がよくないサイン。何らかの病気が隠れているおそれがあるので、注意が必要です。
また、1回の排せつで最初は固い便が出ていても、最後に水様性の便が出るようなら、これも心配。動物病院を受診して、検査をしてもらいましょう。
フードが合っていないと下痢になりやすい
猫が下痢になる原因の1つに、食べているフードが合わないことで起きる「消化不良」があります。新しいフードに変えた際に、腸内の常在細菌叢(じょうざいさいきんそう)が対応できないと、消化不良を起こして下痢の原因に。
また、フードを変えた際に下痢になるのは、消化不良の他に「食物アレルギー」のおそれもあります。3日以上下痢が続く場合は、動物病院を受診しましょう。
下痢の症状から疑われる病気は?
下痢の症状から疑われる病気は、ウイルス・細菌・食事・ストレスなどが原因の腸炎、食物アレルギー、膵炎などです。他にも、猫伝染性腹膜炎(FIP)や猫汎白血球減少症(ねこはんはっけっきゅうげんしょうしょう)などの感染症にかかると、激しい下痢の症状が出るケースがあります。また、季節の変わり目などには、寒暖差がストレスになって下痢をする猫もいるようです。
ちなみに子猫の下痢は、回虫や条虫、肉眼で見えない原虫類などが腸内に寄生する「寄生虫症」であることが多いようです。
愛猫の排せつ物は、健康状態を知るための重要なアイテムです。日頃からチェックする習慣をつけて、少しでもおかしいなと感じたら、早めに動物病院で診察を受けてくださいね。
お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2023年4月号『実例写真をもとに獣医師が解説 ねこの便秘&下痢ウンチ見極め表 様子見してOK?すぐ受診が必要?』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。