親しい猫同士はお互いにコミュニケーションをとり、さまざまなかわいらしいしぐさを見せることがあります。今回は、そんな複数飼いだから見られる猫同士のかわいいしぐさにクローズアップ。しぐさの理由や猫の気持ちを、動物看護師の小野寺温先生に教えていただきました。
「なめ合う」のは毛づくろい以外にも理由がある
猫は好きな猫に対して、なめて毛づくろいをします。なめることで相手のフェロモンを感じ、さらに自分のフェロモンを付けて安心するのだとか。なめる場所は顔が中心で、自分では直接なめられない部位なのでとても気持ちがよく、なめられることで相手をますます好きになるようです。
「顔をこすり付け合う」のは愛情表現
顔をこすり付け合う「スリスリ」も、相手に自分のフェロモンを付けるためのしぐさ。猫の顔には多くの臭腺があり、そこをこすり付けることでフェロモンが放出されます。顔はスリスリしやすい部位でもあり、互いにこすり付け合うことで愛情表現をしているのだそうです。
「しっぽを絡ませ合う」のは親愛の印
猫のしっぽの付け根(背中側)は臭腺が集まる場所。しっぽを絡ませ合ってニオイを交換することで、親愛の情を互いに伝え合っています。親子やきょうだいなど、特に親密な関係性の猫同士に見られるしぐさです。
「鼻と鼻を近付ける」のは相手のニオイを確認している
猫の口まわりには、口周囲腺というニオイを発する箇所があります。鼻と鼻を近付けるしぐさは、ここのニオイを嗅いで、相手が知り合いかどうかを確認しているのです。知り合いではない猫だった場合は、「はじめまして」と伝える意味合いも。なかには鼻息荒くニオイを嗅ぐ猫もいますが、これは判断が難しく、より慎重に相手を確認するときに多く見られます。
「くっ付いて寝る」のは飼い猫特有のしぐさ
成猫同士がくっ付いて寝るしぐさは、野生の猫にはあまり見られません。猫は本来、血縁関係でない限り、基本的に一定の距離を保ちます。特に無防備な就寝時に猫同士でこのようなしぐさをするのは、互いに心を許している証拠。また、血縁関係でもない猫が密着して眠る姿は、野性味が薄れた飼い猫ならではのコミュニケーションといえるでしょう。
かわいいしぐさで意思を伝え合う、猫同士のコミュニケーション。飼い猫は血縁関係になくとも強固な信頼関係を築けることも多く、寄り添うかわいい姿を目撃することも多いでしょう。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2021年4月号『猫同士のコミュニケーションがお手本! 愛猫と気持ちを通わす“ネコメソッド”』
文/小泉美筆
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。