もともと体の構造上、体内の水分を効率よく使える猫は、オシッコが濃くて少ない傾向があるといわれています。そこへ個体差や食習慣などが関係して尿中の成分が凝縮され結晶となり、やがて結石化することがあります。今回は、愛猫が尿石症になったことのある飼い主さんが尿石症に気付いたきっかけや治療法をご紹介します。また、尿石症について獣医師の重本仁先生に伺いました。
尿石症とは?
尿石症とは、オシッコの通り道(尿路)である腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石ができる病気です。結石の原因は体質のほか、水分摂取量の不足など食習慣によるものと考えられています。
結石ができる部位によって、「腎結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」と呼ばれ、とくに尿管結石は痛みが強く、急性の腎臓障害を引き起こすことが。また、オスの尿道結石は尿道閉塞を引き起こし、尿毒症など命に関わることもあります。
食欲がなく、猫カゼと思い受診したら腎臓・尿管・膀胱に結石が
ここからは、実際に愛猫が尿石症になったことがある飼い主さんにお話を伺いました。
東京都 Yさんは、愛猫に食欲がなかったため動物病院を受診しました。すると、レントゲン検査で尿管に結石があることが判明。かかりつけの動物病院から大きな動物病院を紹介され、詳しく検査をしたところ、腎結石、膀胱結石もあることがわかりました。右の腎臓は尿管結石が原因で機能しなくなっていたそうです。
尿管結石は手術で取り、膀胱結石は入院中に排出されたそうですが、腎結石は経過観察をすることに。右の腎臓の機能は回復していないため、3カ月に1度の検診で様子を見ているそうです。
トイレ砂が赤黒い色に 検査後に腎結石が判明
群馬県 Kさんの愛猫は、2才のときに腎結石になりました。気付いたきっかけは、トイレ砂が赤黒く染まっていたことからだそう。動物病院の指示に従い自宅で採尿し、プラスチック容器に入れて動物病院へ。詳しい検査の結果、腎結石と診断されました。薬と療法食を続けた結果、尿の色は正常に戻ったそうです。
頻繁なトイレと鳴き声 原因は尿管結石だった
北海道 Yさんの愛猫は、7才のときに頻繁にトイレに行くようになり、ふだん聞いたことのない声で鳴くように。病気を疑い動物病院を受診すると、尿管結石でオシッコが出にくくなっていることがわかり即入院。2~3ミリの結石を手術で取り除き、術後は元気を取り戻して再発することはなかったようです。
深夜起こしに来るように 異変の原因は膀胱結石だった
大阪府 Tさんの愛猫は、2才~6才のあいだに4度膀胱結石を発症。深夜寝ている飼い主さんを起こして鳴いてウロウロし、座ってじっと見つめ、その後トイレに行くもオシッコがほとんど出ていないことがきっかけで気付いたそうです。
飲み薬と療法食で治療していますが、一般のフードやおやつ、多すぎる食事量や少ない飲水量で再発する可能性があるため、その後は管理を徹底。療法食以外のフードやおやつは与えず、水を飲む機会を増やすようさまざまな工夫をしているそうです。
尿石症は、場合によっては命にも関わる病気です。些細な異変も見逃さず、「おかしいな」と感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2023年7月号『飼い主さんの10のケースから学ぶ 猫に多い尿石症 ウチはコレで気付きました。』
文/小林けい
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。