尿石症とは、オシッコが濃くなり結石ができる病気で、結石ができる場所により「膀胱結石」「尿道結石」などと呼ばれます。
猫は体の構造上オシッコが濃く少ない傾向がありますが、そこに個体差や食習慣も関係することで尿中の成分が結晶となり、やがて結石化することが。今回は、愛猫が尿石症を経験した飼い主さんの体験談をご紹介。獣医師の重本仁先生監修のもとお届けします。
膀胱結石だったケース
ペットカメラで異変を発見
石川県 Yさんは、仕事の休憩中にペットカメラで愛猫の様子を見ていたところ、頻繁にトイレに行くことに気付きました。帰宅後トイレを確認すると、血尿が。膀胱結石ということがわかり、投薬と食事療法を続けたところ症状は改善しましたが、療法食を食べてくれない時期はもとの症状に戻ってしまうそう。現在は初診時より結石が大きくなっているため、手術を検討中とのことです。
陰部をずっとなめている
東京都 Sさんの愛猫は、トイレに行くと排尿の姿勢のまましばらく動かず、出てきたと思ったら陰部をずっとなめる、ということを繰り返していたそう。動物病院で受診すると、膀胱結石のほか膀胱炎を併発していたことがわかりました。結石を取り除くとともに、尿の通りをよくする会陰尿道瘻手術も行い、退院後は療法食に切りかえたそうです。
ペットシーツに茶色い跡が
埼玉県 Rさんは、ある朝愛猫のペットシーツに付いた茶色い跡を発見。動物病院で受診したところ、膀胱内にできた結石が尿道を傷付けていることが判明しました。獣医師からは「ストレスも要因になる」と聞き、思い返したところ、当時保護したばかりの猫が子猫を産むなど慌ただしい状況が続いていたので、それが発症の引き金となったのかもと感じているそうです。
お腹の毛がはげ出した
兵庫県 Yさんの愛猫は9才の頃、膀胱結石になりました。ある日飼い主さんが、愛猫のお腹の一部がはげていたのに気付き動物病院で詳しい検査をしたところ、膀胱の中にキラキラと光る結晶があったそう。愛猫もお腹のあたりに違和感があったのか、なめているうちに毛が抜けてしまっていたようでした。療法食を与え定期的な検査を続け、症状は改善され、脱毛も治り再発していないそうです。
尿道結石だったケース
健康診断の尿検査で判明
福岡県 Yさんの愛猫は年に1回の健康診断で尿道結石が判明。愛猫に症状はなく、いつもどおりの排尿でしたが、検査によって早期発見・早期治療に繋げることができました。現在は療法食を与え、月に1度の尿検査で様子見。結石は尿道にまだ残っているものの、尿の排出に問題はないそうです。
オシッコを失敗するようになった
奈良県 Nさんの愛猫は、あるときふだんは失敗したことのないオシッコをあちこちにするようになったそう。粗相したあともソワソワと動きまわり、やがてぐったりと元気がなくなったので、動物病院で受診。尿道結石が判明しました。
導尿で結石を外に出し、最初の1カ月間は食事療法を行いながら、週に1度の尿検査と点滴をして、その後も間隔をあけながら治療をしたそう。現在は半年に1度の尿検査を行い、粗相もなく結石もない状態になっているようです。
何かしらの異変から尿石症に気付くほかにも、症状はなくても健康診断で発見に至る場合もあるようです。愛猫の健康を守るためにも、日頃の健康チェックは欠かさないようにしましょう。
お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2023年7月号『飼い主さんの10のケースから学ぶ 猫に多い尿石症 ウチはコレで気付きました。』
文/小林けい
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。