愛猫に家の柱や家具などに爪とぎをされて、困っている飼い主さんもいるでしょう。しかし、野生時代に狩りをしていた猫にとって、爪を尖らせておくことは、本能的な行動であり欠かせないもの。爪とぎ自体をやめさせることはできません。
とはいえ、愛猫にあった爪とぎ器を見つけてあげれば、困った爪とぎの解決の一助になる場合も。そこで今回は、愛猫にぴったりの爪とぎ器を選ぶ3つのポイントについて、愛玩動物看護師の小野寺温先生に教えていただきました。
ポイント(1)さまざまな素材の爪とぎ器を用意し反応をチェック
製品化されている爪とぎ器の素材としては、段ボール、麻、カーペット地などがあります。素材によってとぎ心地が違うので、まずはそれぞれ安価なものを用意し、愛猫の反応をチェックしてみましょう。掃除や交換頻度、設置場所など、飼い主さんの使い勝手も考慮して選ぶとよいですね。
段ボール
比較的安価で入手しやすく、サイズやデザインも豊富。また、軽くて扱いやすく、交換・処分も容易です。とぎクズが出やすいですが、最近では対策された製品も多数あります。
麻
耐久性があり長く使え、とぎクズが出にくいのが特徴。樹皮に似た感触で好む猫が多いようです。大型で重量のあるものは移動も処分も大変なので、あらかじめ設置場所を検討しておくとよいでしょう。
カーペット地
段ボールや麻よりも種類は少なめですが、もともと布ソファやカーペットなどで爪とぎをしていた猫には、好まれるでしょう。丈夫で長持ちし、とぎクズもほとんど出ません。
ポイント(2)愛猫が爪をとぐ方向をよく観察する
外猫も、立木で垂直方向にとぐこともあれば、倒木で水平方向にとぐこともあります。どちらの方向にとぐかは、好みやそのときの気分で決めるはずなので、室内でもどちらの方向でも爪をとげる環境を用意し、愛猫の行動や好みをよく観察して調節しましょう。
垂直方向
遊んで興奮したときなどに、激しく爪をとぐアクティブなタイプの猫は、垂直方向を好む傾向が。寝起きに伸びを兼ねてとぐときも、垂直だとしっかりストレッチできます。
水平方向
水平方向は体勢を大きく変えずにとげるので、寝起きに寝ころんだままちょっととぐ、通りすがりに爪とぎ器があったからちょっととぐなど、“ついでとぎ”に向いています。
ポイント(3)生活シーンに合わせる
猫によって爪をとぎたくなるタイミングはさまざま。寝起きにすぐとぐ、上下運動をして興奮したときにとぐなど、傾向がわかっているなら、猫ベッドや猫タワーと兼用のものなど、愛猫の爪とぎシーンにあった製品を選びましょう。
なお、壁やケージなどに取り付けて、猫タワーのように上下運動ができる環境がつくれるアイデア商品などもあります。
猫の“爪とぎニーズ”に合わせて工夫することが大切
爪とぎ器を用意したら、使ってもらえる工夫をすることも大切です。
たとえば、猫が爪とぎをしたい衝動にかられたらすぐにできるよう、家の中に複数箇所爪とぎ器を設置するなど。また、見慣れない爪とぎを見ると警戒する猫もいるので、猫が使っているタオルなどで爪とぎ器にニオイをつけるのもおすすめです。
猫によって、どんなときにどんなもので爪とぎをしたいかは異なります。愛猫がどんな“爪とぎニーズ”をもっているかを見極め、快適な爪とぎ環境を整えてあげましょう。
お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2021年9月号『No more 困った爪とぎ! もうさせないために 愛猫にぴったりの爪とぎ器を見つけよう!』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。