歯磨きを苦手とする猫は少なくありませんが、飼い主さんのなかには自分と愛猫に合う方法を見つけ、信頼関係を深めている方もいるようです。そこで今回は、飼い主さんが取り入れている「歯磨きの工夫」を4つ取り上げ、獣医師の中桐由貴先生に解説していただきました。
飼い主さんの工夫(1)口元に触れることに慣れさせています
口元に触れられることに抵抗を感じないように、歯磨きのときだけでなく、日ごろのスキンシップのなかでも自然に口元に触れるようにしています。
また、歯磨き用の歯ブラシのほかに、遊び用の歯ブラシを用意し、床や壁をこすってシャカシャカと音を鳴らして飛びつかせたり、顔まわりをやさしくナデナデしたりしているので、愛猫は歯ブラシが大好きです。
(Hさん/愛猫 ナポリくん・オス・3才)
信頼関係を築くのにも役立ちますね
歯磨きのときだけ口元を触ろうとしても、猫が身構え、嫌がるので難しいもの。ふだんからスキンシップの一環として、口元を触ったり、口の中に指を入れたりすることに慣れさせるのは、信頼関係を築くうえでもとても効果的ですね。
また、遊び用の歯ブラシを用意し、歯ブラシによい印象をもたせるアイデアもすばらしいです。
(中桐先生)
飼い主さんの工夫(2)ポジティブな言葉を連発し楽しい雰囲気を心がけています
歯磨きの前後におやつを与えることと、自分も楽しんでコミュニケーションをとることを心がけています。「歯がキレイになるね~」「終わったらおやつだね~」など、ポジティブな言葉をたくさん繰り出すと、愛猫たちに伝わるのか、じっとしてくれるようになります。
(Hさん/愛猫 アッシュくん・オス・5才、きなこちゃん・メス・2才)
楽しい気持ちが伝わっていますね
飼い主さんが「よし、磨くぞ」と緊張していると、猫は「怖いことが起こりそう」と不安に。逆に、飼い主さんが楽しそうにしていると、猫も「よいことが起こりそう」と安心しますね。おやつを使った習慣化も大成功だと思います。
(中桐先生)
飼い主さんの工夫(3)イヤなことをしないように気を付けています
歯磨きにイヤな印象をもたせないように気を付けています。ポイントは、できるだけ歯茎をこすらないことと、なるべく短時間で終わらせること。また、空腹だと嫌がることが多いので、食後のリラックスしているタイミングで、歯磨きをするようにしています。
(Tさん/愛猫 蘭丸くん・オス・4才)
短時間で磨くのは大事なポイント
手早さは大事なポイントですね。猫がほんの数秒しか耐えられないなら、今日は犬歯だけ、上の歯だけなど、数日かけて全体を磨いてもOK。また、痛い思いをさせない配慮や、タイミングを計るのもよいですね。
(中桐先生)
飼い主さんの工夫(4)指にガーゼを巻いて磨いています
歯ブラシで磨こうとすると逃げてしまったため、今はガーゼを指に巻いて、フレーバーつきのジェルをつけて磨いています。まず、愛猫をひざにのせて抱っこをして磨き、次にクッションの上にのせて仰向けにし、しっかりとホールドして磨きます。
「歯磨きシュシュシュ♪」と自作の歌を歌いながら準備するとわかるようで、自分から確保されに来てくれますよ。
(Sさん/愛猫 マーブルくん・オス・13才)
歯ブラシが苦手ならガーゼでもOK!
歯ブラシで磨くのが理想ですが、どうしても口に硬いものが当たるのが苦手な猫も。その場合は、ガーゼなどで磨くとよいですね。クッションの上で体を密着させて、ホールドする工夫も◎ 猫の安心感が高まります。
(中桐先生)
猫の歯磨きは、「歯磨き=イヤなもの」と印象付けないことがポイントのようです。ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/中桐由貴先生(アニマルケアサロンFLORA院長 獣医師 日本ペットマッサージ協会理事)
参考/「ねこのきもち」2024年7月号『上手な飼い主さんの工夫を紹介 2大苦手ケア 猫の爪切り&歯磨きシーン、見せて!』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。