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【獣医師監修】猫のあごの黒いポツポツは猫ニキビ!症状や原因、治療法は?

猫のあごの下にできる、黒いポツポツとした猫ニキビ。今回は、医学的には「痤瘡(ざそう)」と呼ばれる猫ニキビの症状をはじめ、原因や治療法、予防法など飼い主さんの疑問を解決していきます。早期に気づくことができれば、家庭でも治すことができるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

佐藤 貴紀 先生

 獣医師
 目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院顧問
 VETICAL動物病院(オンライン相談)
 慶應義塾大学大学院経営管理研究科

●経歴:
麻布大学獣医学部卒業
西荻動物病院副院長
日本獣医生命科学大学獣医内科学教室研修生
dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長
株式会社FORPETS設立 白金高輪動物病院院長
株式会社FORPETS代表取締役
JVCC動物病院グループ代表取締役
株式会社WOLVES Hand取締役

●資格:獣医師/獣医循環器認定医

●所属:日本獣医循環器学会

●主な診療科目:循環器科

●書籍:『いぬのココロがわかる本』ぶんか社文庫/『お仕事熱血ストーリー 感動する仕事!泣ける仕事!第2期』学研/『教えて!獣医さん 犬の悩みなんでも相談室』学研プラス/『猫の急病対応マニュアル』鉄人社『動物たちのお医者さん』小学館ジュニア文庫『犬の急病対応マニュアル』鉄人社

●SNS:公式Facebook公式ブログ公式TwitterYouTube『名医のいる相談室』

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猫のあごの下が黒ずんでいる?猫ニキビかもしれません

仰向けの茶トラ猫
@chinon_anjou_saumur
愛猫と遊んでいる最中に「あごの下がちょっと黒い?汚れかな?」と思ったことはありませんか?それは猫ニキビができているからかもしれません。まずはニキビのときに出る症状について、具体的にチェックしていきましょう。

猫ニキビの症状とは?痛みやかゆみはあるの?

猫ニキビは、あごの下側に症状が現れやすいので、飼い主さんがあごの下をチェックしてあげましょう。あごの下に黒いブツブツや黒ずみがあるようならば、それはニキビの可能性があります
黒猫の場合は毛色の関係でニキビを発見しにくいため、あごの下を触ってみてブツブツしたものができているかどうかもチェックしてあげましょう。

また、軽症の場合は痛みやかゆみなどはありませんが、あごの下が脱毛していたり、赤くなってただれていたりする場合は、猫ニキビが重症化しているおそれがあります
症状が確認しにくい猫の場合には、家具に血が付着していることで初めてニキビができていることがわかった、というケースも。飼い主さんがときどきあごの下をチェックしてみて、猫ニキビができていないかこまめに確認してあげましょう。

あご以外の場所にもニキビはできるの?

猫のニキビは、汚れがたまりやすく猫自身が毛づくろいできない場所にできます。その毛づくろいができない場所というのが「あご」です。
ほとんどの猫にとって、あご先・口周りは自分でお手入れできないパーツ。特にあご下あたりは、猫にとってメンテナンスが難しい場所です。知らないうちに汚れがたまり、ニキビなどの皮膚炎を起こすおそれがあります
皮脂分泌の多い体のほかの場所にもできる可能性はありますが、毛づくろいをすることでニキビにならずに済みます。そのため、あご以外の場所にニキビができる可能性はありますが、確率としてはかなり低めです。

猫ニキビの原因は?

窓の外を見る3匹の猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
それでは、猫ニキビが発症する原因は何なのでしょうか?
実は、猫ニキビの原因は明らかになっていませんが、考えられる可能性について解説していきます。

腺の詰まりによる皮膚炎

猫のあごには、皮脂腺とアポクリン汗腺があります。
アポクリン汗腺は、性ホルモン(フェロモン)の役割を果たしていると推測され、成分は脂質・たんぱく質・アンモニア・尿素などといわれています。粘稠度(ねんちょうど)が高いことが特徴であり、毛穴から分泌できず詰まってしまうことでニキビができる可能性が高いのです。
分泌できない原因としては、粘稠度が高いことのほか、さまざまな場所にこすったりすることで皮膚が炎症を起こし、二次的に分泌しづらくなることなども背景にあると考えられています。

食事するときの衛生面

猫ニキビの原因としてまず考えられるのが、食事環境です。フードボウルや水を飲む容器で繁殖した雑菌が猫の皮膚につき、猫ニキビの原因となっていることがあります。雑菌を増やさないためにも、猫の食事が終わったらフードボウルを必ず洗う、1日に1回は水の容器を洗うなど、猫が口をつける器は清潔に保ってあげましょう。
また、器の材質にも注意が必要です。プラスチックは比較的雑菌のつきやすい材質のため、雑菌のつきにくいガラスなどの材質に変えてみてもよいでしょう。また、食後の口周りの汚れがある場合には口周りをきれいにしてあげましょう。

食器素材によるアレルギー

猫によっては、プラスチックやステンレスといった器の材質自体がアレルゲンとなり、アレルギーから猫ニキビを発症しているおそれもあります。この場合も、アレルギーになりにくいガラスや陶器の器に変えるとよいでしょう。

フードが体質に合わない

食器と同様に、食事の成分に猫のアレルゲンが含まれていたり、フード自体が猫の体質と合わないケースも。特に脂肪分のバランスが猫の体質と合っていないと、ニキビができる場合があるようです。
フードの急な変更はお腹を壊すおそれもあるため、様子を見ながら少しずつ変えていきましょう。

グルーミング不足

先述したように、猫の口周りは猫自身での手入れがしにくい場所です。グルーミングが不足していると食べカスやよだれが毛に残り雑菌が繁殖してしまうため、飼い主さんがサポートしてあげましょう。
また、猫があごを乗せる敷物などにも注意が必要です。汚れがついているとそこから雑菌が繁殖してしまうため、敷物は常に清潔でやわらかいものを用意してあげましょう。

環境の変化によるストレス

引っ越しなど、猫の暮らす環境に何かしら変化が起こると、ストレスの引き金となり猫ニキビを発症することがあります。これはストレスでホルモンバランスが崩れたり、免疫力が低下したりすることが要因。できるだけ猫がリラックスできる環境を作ってあげましょう。
また、怪我や去勢・避妊の手術、出産でも猫のホルモンバランスは崩れやすくなります。心当たりのある飼い主さんは注意してみてください。

ニキビダニによる炎症

ごく稀ですが、ニキビダニが原因で、猫ニキビを発症しているケースもあります
ニキビダニとは、健康な猫の皮膚にもわずかに存在している寄生虫のこと。猫から猫へうつることはなく、免疫力が低下している場合にこのような炎症を起こすと考えられます。
猫のニキビダニは大変稀ですが、動物病院でニキビダニが見つかった際は、薬で駆除してもらいましょう。

猫ニキビを治してあげたい!家庭でできる治療法とは

シャンプー後の猫
@nao_co5
ニキビがまだ重症化はしていないようなら、ご家庭でできる方法を試してみてください。猫ニキビの治療は、患部を清潔にしてあげることが大切です

まずは、ニキビ部分を優しく拭き取ってあげましょう。ニキビを拭き取るときは、38度くらいのぬるま湯に浸したタオル、またはコットンをしっかり絞って、患部をゆっくりとこすらないように優しく拭きます。黒い皮脂をふやかして取り除くような感覚で拭いてあげるといいでしょう。
強くこすってしまったり、タオルの水分が多すぎたりすると、摩擦による傷や湿気で患部に雑菌が繁殖しやすくなります。ぬるま湯の拭き取りで落ちにくい場合は、猫の皮膚に使っても大丈夫な消毒液を動物病院で処方してもらい患部を拭く、もしくは猫用シャンプーで患部を洗うなどもよいでしょう。

治療するタイミングが大事!エリザベスカラーで保護も

ニキビを拭いてあげるタイミングは、特に猫の食事後が適しています。食事の際は食べカスが猫のあご下について汚れやすいため、食後のケアで汚れがこびりついてしまう前に人の手で優しく拭いてあげましょう。
また治療中は、炎症のかゆみによる猫のひっかき防止として、エリザベスカラーをつけてあげるとより安心かもしれません

家庭で対応できないなら病院へ!

エリザベスカラーを付けた猫
@cosmo.1210
家庭での治療でなかなか治らない場合や、ニキビが重症化した場合は、動物病院で診てもらうことをおすすめします。動物病院ではぬり薬や消毒液、薬用シャンプー、重度のときは内服薬なども処方してもらえるので、ご家庭で様子を見たいときでも、まず一度受診しておくのもいいでしょう。

特に重症化している場合は、外用薬と内服薬を上手く使用して、症状を長引かせないようにしてもらうことが大切です。また、ニキビが悪化していると、膿皮(のうひ)症などが合併することも。動物病院で診てもらうことによって、ニキビの状態から合併症の診断をしてもらうことができ、必要があればその場で治療をしてもらうことが可能です。

清潔さを意識して、猫ニキビを予防しよう

ブラシを見つめるペルシャ
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫ニキビは、早いうちに見つけることができれば治療がしやすくなります。また、猫の生活環境を快適に維持してあげることが、何よりの予防に。愛猫の皮膚の健康を守って、毎日快適に過ごせるよう、サポートしてあげてくださいね。
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監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院 循環器担当)
文/kagio
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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