1. トップ
  2. 猫と暮らす
  3. 健康・病気
  4. 病気の兆候
  5. 【獣医師監修】猫のひげの役割って?抜けたり切ったりしても大丈夫?

猫と暮らす

UP DATE

【獣医師監修】猫のひげの役割って?抜けたり切ったりしても大丈夫?

今回は、猫のひげの役割や抜いたり切ったりする危険性、自然と抜ける原因、種類、ひげでわかる猫の気持ちについて解説します。猫のひげを保存する方法や便利な保存グッズ、飼い主さんの猫ひげ保存方法も画像つきでご紹介するので、参考にしてみてくださいね◎

草場 宏之 先生

 獣医師
 横浜戸塚プリモ動物病院院長

 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業

●資格:獣医師/東京医科歯科大学医歯学総合研究科 研修生終了

●所属:日本獣医麻酔外科学会日本小動物歯科研究会

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)、救急診療、整形外科、歯科

続きを読む

猫のひげの役割って?抜く・切るはNG!

ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫のひげは、口吻だけでなく、目の上や顎の下と左右の頬など、顔だけで4カ所から生えています。そして実はそれだけでなく、手足にも短いひげが生えているので、体全体のひげの数は約50~60本もあるといわれています。
猫のひげは別名「触毛(しょくもう)」と呼ばれることからもわかるように、その毛の根元には神経が通っていて、毛の根元には血管が通っています。そのため、ひげが何かに触れると、神経を通ってその情報を脳へ運び、「何かがある!」と感じるのです。いわば日常生活で役立つ“センサー”のような役割を担っているのです。
では具体的に、猫のひげはどのような役割をしているのでしょうか。

猫のひげの役割① 視力の弱さなどを補い平衡感覚を保つ

猫のひげは、かすかに感じる空気の変化などもキャッチできるほど繊細です。視力が弱く、人の視力の10分の1程度とされる猫が、暗い場所などでも視覚に頼らずしっかりと歩くことができるのは、ひげによって得られる情報で平衡感覚を保っているからなのです。

猫のひげの役割② 通れる場所かを判断する

猫のひげは、顔の周りに丸く円を描くように生えているので、狭い所を通る際は、ひげを広げて顔を入れ、ひげが当たらないかをまずは確かめます。ひげが当たらなければ体も通ることができると判断し、猫はその場所を通るようです。

猫のひげの役割③ 獲物や食べ物を察知する

風で運ばれてくる獲物のニオイや音など、耳ではわからない空気の微妙な振動さえも、猫のひげはとらえることができるといいます。また、ひげで獲物に触れたときの振動から、獲物の生死を見極めることもあるそうです。

猫のひげの役割④ 目を保護する

猫のひげは「反射弓」という神経経路により、まぶたとつながっています。そのため、顔の近くに刺激を感じたとき、素早くまぶたを閉じて目を保護することができます。また、小さなゴミなどを吸着し、目に入るのを防ぐ役割もあるようです。

猫のひげは抜かない・切らない!

猫のひげは被毛より深いところから生えていて、先述通り血管や神経が通っているため、強く引っ張ってしまうとかなりの痛みを感じます。
また、上記のような猫のひげが持つ重要な役割は、切ってしまうことで能力が低下するため、生活に大きな支障をきたすでしょう。そのため、猫のひげは、抜いたり切ったりしないでください。

猫のひげが抜ける・切れる原因とその対処法

飼い主さんが抜いたり切ったりしなくても、猫のひげは自然に抜けたり切れたりすることがあります。ここでは、飼い主さんが注意したい猫のひげが抜ける(切れる)原因と対処法をご紹介します。

猫ざそう(猫ニキビ)

猫ざそう(猫ニキビ)は、猫がかかりやすい病気のひとつで、食べカスや水分などが皮膚に残ることで常在菌が異常繁殖し、皮膚に炎症を起こすことが原因と考えられています。はじめはツブツブの黒い点状のものが顎にあらわれますが、悪化すると赤くただれ、脱毛したりひげが抜けたりすることがあります。

対処法


初期の場合は、湿らせた温かいタオルなどで顎を拭いたり、猫用シャンプーで体を清潔にしたりすると治ることがあります。ただし、ひげが抜けるほど、炎症や細菌感染が起こっている場合には、抗生剤や抗炎症剤の投与、または軟膏の塗布が必要になることがあるので動物病院を受診してください。

猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)

猫エイズウイルスの感染により発症し、徐々に免疫が働かなくなることで、あらゆる病気に対する抵抗力が弱くなってしまうのが猫免疫不全ウイルス感染症です。主な症状は、口内炎や結膜炎、下痢などさまざまですが、ほかの重い病気を併発する危険性があり、その症状のひとつとして、ひげが抜けてしまうことも少なくありません。

対処法


猫エイズは、感染→急性期→無症状キャリア→発症というように進行していきます。現時点では猫エイズに有効な治療法はなく、対症療法を中心に、症状を和らげたり、免疫力を上げたりするための治療もあわせて行われることが多いようです。

ストレス

ストレスを感じると白血球数が減少し、免疫力が下がってひげが抜け落ちることがあります。あまりに大量にひげが抜けてしまっているときは、ストレスだけではなく病気も疑われます。

対処法


ストレスの原因を突き止め、速やかにその原因を取り除きましょう。ストレスを蓄積したままにしておくと、免疫力が落ちるなどさまざまな健康被害を引き起こすことがあります。

もっと詳しく!猫のひげの種類とひげでわかる猫の気持ち

ねこのきもち投稿写真ギャラリー
ここでは、猫のひげについてもっと深掘りしていきましょう。まずは、猫のひげの種類についてご紹介します。

猫のひげの種類

  • 眉上毛 … 目の上に生えているひげ。目や頭を傷つけないように危険を察知する役割があります。

  • 口角毛 … 猫の口角の直線上にある頬の短いひげで、1~2本生えています。

  • 上唇毛 … 口の上に生えている、猫を象徴するひげ。左右合わせて24本生えているとされ、障害物があることを察知するなどの役割があります。

  • 頬骨毛 … 目の下の頬骨の上に2本程度生えるひげですが、生えていない猫もいるようです。

  • 下唇毛 … 顎に生えている短いひげで、視界に入りにくい顎の下にある障害物を察知します。身を低くして歩くときに、障害物によって喉元を傷つけるのを防ぐ役割もあります。

写真で解説!ひげでわかる猫の気持ち

猫のひげには、そのときの猫の気持ちが表れることも。ひげでわかる猫の気持ちを画像とともにご紹介します。

◆平常心のとき → 自然に垂れる

ひげは、被毛の約2倍の太さがあって重いため、口元にまったく力が入っていない状態では、重力に任せて垂れ下がっていることが多いようです。

◆恐怖・緊張しているとき → ピタッと頬に沿う

ほかの猫に攻撃されそうなときや、反対に自分から相手に攻撃するときなど、猫が恐怖や緊張を感じているときは口元に力が入るため、ヒゲが張り、頬に沿うように反ります。人に対してするときは、「やめて」「近づかないで」という気持ちなので、そっとしておいてあげましょう。

◆興味・興奮しているとき → グイッと前に出る

猫は興味があるものに対して、ひげをなるべく近付けて情報を得ようとするため、ひげが前に出ます。また、遊んでいるときなど、楽しくて興奮しているときにも同じような状態になることが。

猫のひげで金運アップ?ユニークな保管グッズも

ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫のひげは定期的に生え変わるため、1~2本のひげが抜け落ちる程度なら心配はいりません。猫の抜けたひげは、日本では“金運アップ”に、ヨーロッパでは“恋のお守り”として重宝されることも。愛猫の抜け落ちたひげを見つけたら、お守り代わりに取っておいてもいいかもしれませんね。

では最後に、猫のひげを保管するグッズや実際にやっている飼い主さんの写真をご紹介します。

猫のひげを保管するグッズ

ビーグラッドストア 猫専用桐製猫のひげケース ロング

かわいらしいデザインの猫ひげ保存ケース。ひげの長い長毛猫用なので、ピンと美しい愛猫のひげの保存に役立ててみてはいかがでしょうか。

猫専用猫のひげスタンド (ブラック)

陶器で作られた猫のひげを飾るためのスタンドです。愛猫のひげをただ保管するのではなく、飾りたいと思っている人に◎

ほかの飼い主さんはこんな風に猫のひげを保管しています!

@pmponpoko
ツイッターでこの画像を投稿された@pmponpokoさんは、愛猫(2匹)の抜けたひげを集め始めて3年目になるそうです。とってもユニークな方法で保存されているので、マネしたくなりますね!
@siberian.prince.loa1008
@siberian.prince.loa1008さんは、2ヵ月かかってようやく愛猫のひげをGETできたそうです。ひげ探しもなかなか難しいのかもしれませんね。

猫のひげにはさまざまな役割があることがわかりました。もし自然と抜け落ちた場合は、本数や猫の様子を観察し、あまりにも本数が多い場合は獣医師へ相談しましょう。
参考/「ねこのきもち」2018年9月号『キホンからカンチガイしやすいものまで パーツでわかるねこのきもち』(監修:帝京科学大学助教 動物看護師 小野寺温先生)
   ねこのきもちWEB MAGAZINE『えっそんなにすごいの!? 猫のすぐれた五感に迫る!』
   ねこのきもちWEB MAGAZINE『【獣医師が解説】猫エイズにかかってしまったら?寿命と長生きさせるための最適な治療法』(監修:ねこのきもち相談室獣医師)
   ねこのきもちWEB MAGAZINE『【獣医師が解説】猫の顎にポツリ?猫ニキビの症状と治療法』(監修:ねこのきもち相談室獣医師)
監修/草場宏之先生(横浜戸塚プリモ動物病院院長)
文/hasebe
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

★Instagram、Twitterで「#いぬのきもち#ねこのきもち」でご投稿いただいた素敵な写真・動画を紹介しています。
CATEGORY   猫と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「猫と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る