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保存料が猫に与える影響はあるの?キャットフードの選び方

キャットフードに加えられている保存料とはどのようなものなのでしょうか。今回は、保存料などの添加物が猫の健康に影響を及ぼすものなのか、法律などで定められた基準や制限などから考察し、正しいフードの選び方とともに紹介します。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

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キャットフードに含まれる保存料とは?

ねこのきもち投稿写真ギャラリー
保存料は、腐敗の原因となる細菌やカビの繁殖を抑制し、保存性を高めるための添加物であり、ペットフードの品質を長期間維持するためには必要不可欠です。ペットフードに使用される主な保存料としては、人の食べるケチャップや練り物、チーズなどにも使用される、食品の指定添加物である「ソルビン酸カリウム」や「デヒドロ酢酸ナトリウム」などがあります。

指定添加物
「指定添加物」とは科学的な安全試験によって⼈の⾷品に⼊れることを認められているもの。一方、「既存添加物」とは⻑い⾷経験があり例外的に使⽤、販売されているものです。また、使用制限のないものが、特に安全性に優れているというわけではありません。

猫の健康への影響は?

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細菌やカビなどの微生物は、人や猫とは体の構造が大きく異なり、その生命活動を維持する仕組みも異なります。保存料とは、微生物が繁殖するために必要な条件を阻害することにより、繁殖を抑制する効果を持つ物質のこと。ちなみに、人では食品ごとに使用の上限が設定されていますが、キャットフードについては、通常の使用量であれば安全性に問題ないので上限が設定されていません。
さらに、保存料について、添加物の1つである酸化防止剤と混同するケースがあるようですが、日本の食品添加物においてこの2つはまったくの別物として取り扱われています。これは、双方とも保存性を高める添加物だから混同されているのではないかと考えられています。

◇酸化防止剤
キャットフードに含まれている脂肪は、光に当たったり空気に触れたりすることで酸化してしまいます。そのためそれを防ぐために、化学的に合成されたもののほか、天然由来の酸化防止の役割を果たす栄養成分が、酸化防止剤として使用されています。酸化するとフードの味が落ち、嗜好性が低下するだけでなく、嘔吐や下痢などの症状を引き起こすこともあるため、フードの質と安全を守るためには、保存料とならんで必要な添加物といえるでしょう。

キャットフードに保存料を使用する際の基準と制限

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前述したように、保存料については商品に使用される量に上限はありませんが、使用してはいけないものや、使用するにあたって注意が必要な添加物の上限値について、国の法律である『ペットフード安全法』によりきちんと定められています。それは、言い換えれば、ペットフードの安全性を守るために必要な添加物に限り、必要かつ安全な量のみが使用されているということです。なお、その基準は、ペットフードを毎日食べ続けても健康被害が出ることのないように、科学的知見等をふまえて設定されています。ちなみに、保存料については安全性が高いため、上限が設定されていません。
また、これらの安全基準は、法律の施行後も追加や見直しが随時行われています。


◇フードのパッケージにも表示に関する規制がある
ペットフード公正取引協議会で制定されている『ペットフードの表⽰に関する公正競争規約』においては、添加物を含む原材料についてパッケージに全て記載することに加え、特定の添加物に関しては何の⽬的で使⽤しているのかがわかるよう、その⽤途名も併記することが義務づけられています。どんな物質がどのような⽬的をもって添加物として使⽤されているかについては、飼い主さんの関⼼の⾼い事柄でもあるため、それを正しく伝えるために、この規約が設けられているのです。ペットフード公正取引協議会に所属しているメーカーを確認するのもひとつの⼿かもしれません。

キャットフードの選び方

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キャットフードには添加物が⼊っていないほうがいいのではないかと思われる⽅もいるようですが、前述のとおり、保存料などの添加物はきちんとした役割をもって使⽤されており、また、法律でもペットフードの質と安全が守られています。体に危険を及ぼす添加物は認められていないので、必要以上に気にしすぎることはありません。それよりも⼤切なのは、パッケージの情報についてきちんと理解した上で、愛猫にとって適切な栄養バランスのフードを選ぶことです。ここでは、キャットフードの選び⽅のポイントをご紹介します。

◇主食には総合栄養食を!
ペットフードのパッケージには、「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」のいずれかの目的が記載されています。なかでも「総合栄養食」は、そのフードと水だけを食べ続けていても健康を維持することができるように栄養バランスが調整されたフードです。そのため、毎日の食事にはこちらを選ぶようにしましょう。総合栄養食にもさまざまな商品がありますので、愛猫に合ったものを選ぶことが大切です。まずは獣医師さんに相談することがいいのではないでしょうか。

◇愛猫のライフステージに合わせて
「総合栄養⾷」は、「⼦猫⽤」や「成猫⽤」などのライフステージに合わせたものや、「○才以上」といったように詳しい年齢を表⽰しているものまで、さまざまな成⻑段階に合わせたものが販売されています。各成⻑段階によって必要なエネルギー量や栄養素が異なるため、表⽰を参考に、個体差も考慮した上で選択するのも⼿です。

◇ドライフードとウエットフードはどちらにもメリットが◎
フードには、ドライフードやウエットフードなど、さまざまな⾷感のものがあります。大きな違いとしては水分含有量ですが、それぞれにメリットがあるため、どちらのほうが良いということはとくにありません。

《ドライフード》
水分が10%以下で、細菌やカビが繁殖しづらく保存がききます。価格も比較的安く、肥満予防や毛玉ケアなど、機能性の選択肢も多くあります。

《ウエットフード》
水分が75%程含まれていて、食事から水分を補給することが可能です。やわらかく風味が良いので食欲を刺激することができ、また食べやすいためシニアにも適していることもあります。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
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