猫の歯肉口内炎、じつは“舌”にもできることをご存じでしたか? しかも、歯肉口内炎は飼い主さんが気づかずにほうっておくと、大変なことに……。
そこで今回は、歯肉口内炎の特徴と、家でもできる舌の健康チェック方法について解説します。
歯肉口内炎とは
歯肉口内炎は一度発症すると治りにくく、重症化しやすい粘膜の病気で、菌が口腔粘膜に広がりただれが起きます。炎症は頬の内側のほか、舌にできることも(舌炎)。発症すると菌で唾液が臭くなり、あくびや毛づくろいで気づくケースもあります。
歯垢に潜む細菌が原因で発症するため、現在のところ、歯垢が付着している歯をすべて抜くのが一番効果的な治療方法とされています。
実際の症例
治療で抜歯した猫の写真です。舌の中央奥がただれ、トゲもなくなっています。
歯肉口内炎にかかりやすい猫
以下のような猫は、歯肉口内炎にかかりやすいといわれています。
○純血種
○5才以上
○歯垢や歯石が蓄積している
○猫カゼの発症歴がある
純血種と成猫に多いというデータはあるものの、原因は不明です。口内環境が悪いと悪化しやすいのはもちろんですが、猫カゼと同じウイルスでも発症するため、猫カゼの病歴がある猫も要注意です。
舌の健康チェックをしよう
歯肉口内炎は早期発見が重要です。次のような方法でときどき愛猫の舌をチェックできるといいでしょう。
※猫によっては口元を触ると怖がって攻撃してくる場合があるので、無理には行わないようにしましょう。
舌の表面を見てみよう
正面から口を開けようとすると猫は後ろに逃げようとするため、猫の動きを制限する意味でも、猫の胴体を背後から腕で挟むようにして保定します。
猫が落ち着いたら、片手の親指と中指で左右の犬歯の後ろをつかみ、もう片方の腕は肘を床に着けたままで、人差し指を下あごの前歯に引っかけます。
犬歯の後ろを上に引き上げるように少し強めに押すと、猫の口が開きます。さらに下あごも開いて、舌をよく見ましょう。なるべく短時間で済ませるようにしてください。
舌の裏面も見てみよう
上記③の流れで、舌の裏面も見てみましょう。下あごにあてている手の親指を、下あごのくぼんでいる部分(画像斜線部分)にあてます。
下あごのくぼみを強めに押すと、反動で舌の両側面がすぼまるようにめくれ、舌の裏側を見ることができます。猫の下あごは痛みを感じにくいので、焦らず落ち着いて行いましょう。
ふだんの生活の中でも舌をチェック
毛づくろいやあくび、舌なめずりをしているときも、舌をチェックするチャンスです。
歯肉口内炎をほうっておくと、愛猫の大切な歯を失うことになってしまうかも。そうならないために、ふだんから愛猫の舌や口の中をチェックすることを心がけたいですね。
参考/「ねこのきもち」2018年7月号『健康をつかさどる最重要パーツ!?今すぐ猫舌チェックしてみよう』(監修:フジタ動物病院院長 獣医学博士 日本小動物歯科研究会会長 藤田桂一先生、哺乳類学者 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/terasato
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。