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【獣医師監修】猫にりんごを与えるときは注意が必要。与えるメリットとデメリットを解説

猫がりんごを少し食べる程度なら害にはなりませんが、与え方には注意が必要です。猫に与えてもよいのはりんごの果肉の部分のみで、有毒な成分を含む種や、消化が悪い皮や芯を与えるのはNG。また、過剰摂取すると高カリウム血症や便秘を引き起こす恐れもあるため十分に注意しましょう。

佐野 忠士 先生

猫にりんごを与えるときは過剰摂取により高カリウム血症や便秘などに要注意

赤いリンゴを嗅ぐ猫
Ekaterina Gorokhova/gettyimages
「1日1個のりんごで医者いらず」ともいわれる栄養豊富なりんご。そんなりんごを、猫がたまに少し食べるくらいなら問題ありませんが、与えるときにはいくつか守るべきポイントがあります。

りんごにはビタミンCやカリウム、食物繊維などの有用な栄養素が含まれていますが、過剰摂取すると、高カリウム血症が引き起こされることもあり注意が必要です。とくに腎機能や心機能が低下している猫に与えると命に関わることもあるため、腎臓病や心臓病の猫にはりんごを与えないほうがよいでしょう。また、食物繊維の過剰摂取により便秘になることもあるので、猫がほしがったとしても少量にとどめておくことをおすすめします。

猫はもともと肉食動物であまり雑食性はなく、また酸味を好まないのでりんごを嫌がる猫も多いですが、りんご好きの猫にたまにご褒美として与える場合は、中毒症状を引き起こす恐れのある成分が含まれる種や、消化に悪い皮や芯は、しっかり取り除いてください。また皮の残留農薬が気になる場合は、厚めに剥くなどの対策をとることも大事です。なお、リンゴジャムやリンゴ酢など人間用の加工品を与えるのはたとえ少量であってもNGだということを覚えておきましょう。

りんごのおもな栄養素|水分と炭水化物が豊富

驚き顔のスコティッシュフォールドロングヘア
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
りんごに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー53kal
水分84.1g
タンパク質0.1g
脂質0.2g
炭水化物15.5g
灰分(無機質)0.2g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

猫がりんごを食べるメリット|抗酸化作用のあるビタミンCや、カリウム、食物繊維が含まれる

まっすぐ見つめるアメリカンショートヘア
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫がりんごを摂取することにより、いろいろなメリットを得られます。おもな栄養素とその効果を見ていきましょう。

ビタミンC|抗酸化作用が期待できる

ビタミンCには、強い抗酸化作用があり、体内の酸化を防ぐほか、関節炎の予防にも役立つといわれています。猫は体内でビタミンCを合成できるため必須栄養素とされていませんが、5歳をすぎると合成能力が落ちるうえ、水溶性のビタミンCは水に溶けやすく体外に排出されやすいため、食事からしっかり摂取することが推奨されます。ただ、総合栄養食を与えている場合は、心配する必要はないでしょう。

カリウム|ナトリウムとの相互作用により体液の浸透圧を調整

カリウムはナトリウムと相互に作用しあって、体液の浸透圧を調整したり、pHのバランスを整えたりする役割を果たします。また、心機能の働きやエネルギー代謝、神経刺激の伝達、筋肉の収縮などにも深く関わっていて、猫にとって欠かせないミネラルのひとつとなっています。

食物繊維|不溶性・水溶性食物繊維を含み便秘の改善などに役立つ

りんごには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方が含まれていますが、とくに含有量が多いのは不溶性食物繊維です。水に溶けにくい不溶性食物繊維は、便のかさを増やして腸を刺激し、便通を促す働きがあることから、便秘の改善に役立つといわれています。一方、水に溶けやすい水溶性食物繊維は、胃腸の中をゆっくりと進むため、血糖値を上げにくくするほか、腸内細菌のエサになって善玉菌を増やす働きがあるといわれています。

猫がりんごを食べるデメリット|種や葉に含まれるアミグダリンは中毒症状の恐れあり。食物繊維やカリウムの過剰摂取にも注意

キレイなオッドアイの白猫(ミックス)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫がりんごを摂取するとデメリットになることがあります。猫の体に悪影響を及ぼす可能性のある栄養素とその理由を確認しましょう。

アミグダリン|シアン化水素により中毒症状を引き起こす可能性あり

バラ科の植物であるりんごや梨、桃、ビワなどの種や葉には、「アミグダリン」という成分が含まれています。シアン化合物の一種であるアミグダリンを過剰摂取すると、腸内で「シアン化水素(青酸配糖体)」という毒性物質を発生させ、嘔吐や痙攣などの中毒症状を引き起こすことがあります。重篤になると呼吸困難を起こし、最悪の場合は死に至ることもあり危険です。

りんごの種に含まれているアミグダリンは微量で、少し誤飲した程度ではさほど影響はないと考えられますが、体によいものではないので与えないほうが安心でしょう。

食物繊維|過剰摂取により便秘が助長されることも

前述したとおり不溶性食物繊維は便秘の改善に役立つといわれていますが、過剰摂取には注意が必要です。便が大きくなりすぎたり、硬くなりすぎたりと排便しづらい状態になって、かえって便秘が助長されることもあるため気をつけましょう。

カリウム|過剰摂取により体に不調をきたす恐れ

過剰摂取により、余分なカリウムが排出されず体内のカリウム値が上昇すると、高カリウム血症になることがあります。嘔吐や四肢のしびれ、筋力の低下、不整脈や頻脈などの脈拍異常といった症状が現れるほか、腎機能が低下している腎臓病の猫では、命に関わることもあるため注意が必要です。また、心機能が低下している猫にとっても危険なので、腎臓病や心臓病の猫にはカリウムを含むりんごを与えないようにしてください。

食物アレルギー|下痢や嘔吐、皮膚炎などのアレルギー性反応に注意

りんごに含まれるタンパク質により、猫によっては稀に食物アレルギーを起こして、下痢や嘔吐、皮膚炎などのアレルギー性反応が現れることがあります。初めてりんごを与える場合は、お試しでほんの少し与えてみて、下痢などの症状が出ないかしばらく様子を見るようにしてください。

なお、これまでりんごを食べて問題がなかった猫や、食物アレルギーを持っていない猫でも、突然アレルギーを発症することがあります。愛猫がりんごを食べたあとにアレルギー性反応が見られたら、以後は与えないようにしましょう。

猫にりんごを与えるときの注意ポイント|有毒な成分を含む種や、消化に悪い皮、芯を与えるのはNG

ハチワレのスコティッシュフォールド
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫にりんごを与える際の注意ポイントを確認しましょう。

与えてよい部位

猫に与えてよいのはりんごの果肉部分のみです。種には有毒なアミグダリンが含まれているため与えないほうが安心です。また、皮や芯も消化しにくいので取り除きましょう。

なお、人間用に加工されたリンゴジャムやリンゴ煮、リンゴジュースなどの加工品には糖分などが多く使われているので、猫に与えるのはNGです。甘さ控えめだとしても、猫は人間よりも体が小さいため不調をきたす恐れがあります。また近年、健康志向の人などに人気のリンゴ酢も、猫にとっては刺激が強いので与えてはいけません。

与えるときの適量

猫にりんごを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、猫の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。

猫の体重目安1日あたりの摂取可能目安
4~5kg45g~53g(約1/4~約3/10個)

※数値は、避妊・去勢済みの猫で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理方法

りんごの皮を剥き、種や芯を取り除きます。果肉部分のみを食べやすいように小さくカットするか、すりつぶしてペースト状にしてから猫に与えてください。

なお、りんごの皮には微量でも農薬が残留していることも考えられるため、心配な場合は厚めに剥いてから与えるとよいでしょう。

りんごは栄養豊富だが猫にあえて与える必要はない

「1日1個のりんごで医者いらず」といわれるほど、りんごは栄養豊富な果物ですが、総合栄養食を与えているなら、愛猫にわざわざ与える必要はありません。といっても、もともと猫は酸味を嫌うので、りんごを好んで食べる猫は少ないようです。それでも愛猫がほしがるようなら、ごくたまに、果肉の部分のみをカットしてほんの少し与えるようにしましょう。
猫には与えてはいけない食べ物があります。確認しておきましょう
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/倉田千穂
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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