猫と暮らす
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【獣医師監修】猫にキャベツを与えても大丈夫。キャベツを食べるメリットと与え方を解説
キャベツは猫に与えてもよい食品です。キャベツのおもな栄養素はキャベジンやビタミンC、K、葉酸などで、猫に害となる成分はとくに含まれていません。ただし、過剰摂取により尿路結石ができたり、稀に食物アレルギーを起こしたりすることがあるので、与える場合は適量にとどめましょう。
佐野 忠士 先生
酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授
酪農学園大学附属動物医療センター集中治療科診療科長
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了
北里大学獣医畜産学部および同大学獣医学部勤務
日本大学生物資源科学部獣医学科勤務
●資格:獣医師/博士(獣医学)/世界的獣医心肺蘇生ガイドラインインストラクター(RECOVER インストラクター)/CCRP
●所属:日本獣医麻酔外科学会/日本獣医学会/日本獣医師会/日本動物リハビリテーション学会/動物臨床医学研究所/日本麻酔科学会/日本臨床モニター学会
●主な診療科目:麻酔科/集中治療科
●書籍:『asBOOKS チームで取り組む獣医師動物看護師のためのICU管理超入門』/『as BOOKS チームで取り組む獣医師・動物看護師のための輸液超入門』/『動物看護師のための麻酔超入門・改訂版』 など多数
猫は適量ならキャベツを食べても大丈夫
キャベツはアブラナ科に属する野菜で、世界におよそ60種類以上の品種があるといわれています。日本で多く流通しているキャベツは寒玉(冬キャベツ)という種類です。ほかにも、春玉(春キャベツ)や高原キャベツ(夏キャベツ)、グリーンボール、レッドキャベツなどの種類があり、いずれも適量であれば猫が食べても大丈夫です。ただし、キャベツの原種といわれるケールや、キャベツの仲間の芽キャベツには、「グルコシノレート」という成分が多く含まれていて、猫の体に害を及ぼすこともあるので、与えないほうがよいでしょう。
寒玉など一般的なキャベツには、胃腸によいといわれる成分「キャベジン(ビタミンU)」をはじめ、ビタミンCやK、葉酸などの栄養素が含まれています。猫に与える場合は、消化がよくなるように加熱して、食べやすいように細かく刻んでから与えましょう。与える量は、フードに軽くトッピングする程度がおすすめです。
ただ、猫はもともと完全肉食動物なので、キャベツをほしがる猫はあまりいないかもしれません。総合栄養食を与えているなら必要な栄養はしっかり摂れているので、あえてキャベツを与える必要はないでしょう。
キャベツのおもな栄養素|9割以上が水分で、炭水化物やタンパク質、ミネラルも含まれる
エネルギー | 21kal |
---|---|
水分 | 92.7g |
タンパク質 | 1.3g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 5.2g |
灰分(無機質) | 0.5g |
キャベツ(キャベツ類/茹で)に含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー | 19kal |
---|---|
水分 | 93.9g |
タンパク質 | 0.9g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 4.6g |
灰分(無機質) | 0.3g |
文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照
猫がキャベツを食べるメリット|キャベジン、ビタミンC、K、葉酸などの栄養効果を得られる
キャベジン(ビタミンU)|胃粘膜の修復や胃酸の分泌を抑える効果がある
キャベジンには、傷ついた胃の粘膜を修復する働きや胃酸の分泌を抑える働きがあり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防や改善効果なども期待できます。キャベツのこのような効果は古くから知られていたようで、古代ギリシャ時代にはすでに胃腸の調子を整える健康によい食品として食べられていたという記録も残っています。
ビタミンC|抗酸化作用が期待できる
猫は肝臓内でビタミンCを合成・貯蔵できるため、食事から摂取すべき必須ビタミンには含まれていません。とはいえ、体内で合成される量だけでは不十分だとする研究結果があることや、5歳をすぎると急激に合成能力が落ちることを考えると、定期的な体外摂取が推奨されます。
なお、水溶性ビタミンに分類されるビタミンCは体内に蓄積されず、余分なものは尿と一緒に排出されるので、過剰摂取によるリスクは低いと考えられますが、腎機能が低下している猫はうまく体外に排出できないこともあるので注意しましょう。
ビタミンK|血液凝固や骨の形成に不可欠
葉酸|神経組織の発達や、猫の胎児の成長に必要
猫にキャベツを与えると尿路結石になる?
過剰に与えなければそれほど心配する必要はありませんが、尿路結石症の猫や既往歴がある猫には与えないほうが安心です。
猫にキャベツを与えるときの注意ポイント|消化がよいように加熱するのがおすすめ
与えてよい部位
与えるときの適量
また、猫の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。
キャベツ生
猫の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
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4~5kg | 113g~134g(約1/7~約1/6個) |
キャベツ茹で
猫の体重目安 | 1日あたりの摂取可能目安 |
---|---|
4~5kg | 125g~148g(約2/11~約3/15個) |
※数値は、避妊・去勢済みの猫で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
調理方法
加熱方法は、茹でる、もしくは水に溶けやすいビタミンCなどの栄養素が逃げないように蒸しキャベツにしてもよいでしょう。ただし、尿路結石の原因となるシュウ酸は、茹でたり水にさらしたりすることで抜けやすくなるといわれています。心配な場合は、ビタミンCの流失を加味しつつ短時間で茹でるか、水にさらしてから蒸してもよいかもしれません。加熱後のキャベツは、猫が食べやすいように手で細かく割くか小さくカットして、十分に冷めてから与えましょう。
猫に与えるキャベツは、塩や醤油などで味つけする必要はありません。食欲増進のために猫の好きなかつおぶしを乗せて与えたいという場合も、できれば人間用ではなく猫用の無塩タイプを選びましょう。
なお、生のキャベツを与える場合は、冷蔵庫から出して冷たいまま与えるとお腹の調子が悪くなることもあるので、常温に戻してから与えてください。
そのほかの注意事項
また、キャベツなどのアブラナ科の野菜には「グルコシノレート」という成分が含まれています。過剰摂取しなければ問題ありませんが、猫が食べすぎると、胃を刺激して嘔吐を引き起こしたり、甲状腺の機能を低下させたりすることがあるので気をつけましょう。
キャベツは適量であれば猫に与えてもOK
文/倉田千穂
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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