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猫の誤食事故、開腹手術のリスクが高いのはマットだった!起こったときのNG行動は

猫本専門出版社「ねこねっこ」から3月に出版された『猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑』。出版を記念して、4月7日、書泉グランデ(東京都千代田区)にて、監修の服部 幸先生(東京猫医療センター院長)のトークイベントが行われました。服部先生は、「ねこ医学会(JSFM)」CFC理事であり、院長を務める「東京猫医療センター」での猫の診察は年間1万7千件に上ります。

関心の高さが伝わる発売記念イベント

服部幸先生
トークイベントというスタイルは初めてという服部幸先生。リラックスした和やかな雰囲気
密を避ける小規模なイベントながら、猫の飼い主さんや猫に関わる活動をされている方たちが参加し、それぞれ同書を手元に見ながら、服部先生のお話に熱心に耳を傾けていました。
お話が終わった後の質疑応答コーナーは1時間に及び、服部先生もときに悩みながら、丁寧に答えていたのが印象的でした。
服部幸先生
難しい質問に少し考えながらも、丁寧に答える服部先生

猫の誤食事故で多い意外なもの

イギリスの猫ライラックポイント
Magdalena Kowalik/gettyimages
同書は、服部先生が実際に診療現場で対応することが多いケースをふんだんに盛り込んだ内容になっています。

猫にとって誤飲・誤食による事故は身近です。読者からの「ねこのきもち獣医師相談室」への問い合わせも多く、ねこのきもちWEB MAGAZINEが飼い主さん400名に実施したアンケート調査では、約4割の飼い主さんが、愛猫の誤飲・誤食を経験していました。

手術に至るリスクが高い「ジョイントマット」

イベントで、服部先生が特に多く経験したとお話しされたのが、このアンケート調査でもあがっていたジョイントマットの誤食。
「弾力性の高い素材が多く、特にジョイントマットのつなぎ目は猫が気になり、食感もいいのかもしれません。猫がかじって飲み込んでしまうと、その弾力性によって胃や腸にはまってしまい、吐いたり排泄したりができないまま、閉塞を起こすことが多いです。」(服部先生)

慌てて救急外来を受診する飼い主さんに聞くと、初めて(ジョイントマットを)誤食した猫ではないことが多いそう。
「以前からマットをかじっていたけど、いつも吐いていたから大丈夫だと思っていた、という方が多いです。必要に応じて設置されてるとは思いますが、猫がよくかじると思ったら、マットは取り除く方が無難です。いずれ手術しなければならない事態になることもあるので。」(服部先生)


「食べちゃったかも」というときの間違った対応は

ワイヤーで遊ぶ猫
ramustagram/gettyimages

動物病院を受診前に食事をさせるのはNG

猫が誤食してしまったときの対応も大切です。

「夜、猫がおもちゃの一部を食べてしまったようだ、ということがあったとします。夜間対応の動物病院は遠いし、猫は今のところ元気。そんなとき、どうしますか?」という服部先生の問いかけに、来場者のみなさんも考えます。

「異物を食べても、だいたいの猫は元気なんです。そして、朝になっていつものようにごはんを与えると食べる。でもやっぱり心配だからと、朝一番で動物病院にいらっしゃいます。
そうすると、胃の中がキャットフードでいっぱいなので、レントゲンで異物を確認できたとしても、内視鏡で取り出せず、腸閉塞が起こるのを待つしかなくなることもあります。また、麻酔のときのリスクも高まります。
もし、誤食の可能性があって病院に行く場合は、キャットフードや水などを与えないようにしてください」(服部先生)


また、ネットなどの情報をみて、猫に吐かせようとする飼い主さんが多いようなのですが、同書によると、「一般の飼い主さんが安全に吐かせることはできない」そう。かえって重症化することもあるので、獣医師にゆだねたほうが安全です。同様に、誤食したものが、おしりの穴から少しだけ飛び出たままになっている場合、それを引き抜こうとすることも危険です。腸の内壁を引っ張ってしまい、組織を壊死させてしまうことがあるそうです。



猫の暮らしが変化し大きなリスクとなった誤食

本木文恵さんと服部幸先生
出版した「ねこねっこ」の本木文恵さんと監修の服部幸先生 ※イベント終了後、十分な距離をとり撮影時のみマスクを外していただきました
同書の発行元である「ねこねっこ」代表の本木文恵さんは、この出版の背景をこのように語っています。
「室内の環境も時代に合わせて変化し、人の食べ物や観葉植物、室内用品など、猫が口にするものも多様化しています。人には健康によいもの、問題のないものでも、猫にとっては有害なものや、犬よりも中毒症状が強く表われるものもあります。飼い主さんたちに正しい情報を手元に置いていただくことで、未然に事故を防いでもらえたら、と思います。」(本木さん)

監修の服部先生も、病院に置いて飼い主さんの説明に使っているそう。
「猫の誤食事故は、家の中で最も多く起きる重大な事故になっています。病気は予防しきれない場合も多いですが、誤食事故は飼い主さんの対応で防ぐことができます。」(服部先生)

猫を飼う経験がまだ浅い飼い主さんはもちろん、ベテランの飼い主さんも改めて読んでおきたい一冊です。

「猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑」(ねこねっこ) 2,222円(税込)

「猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑」
「猫が食べると危ない食品・植物・家の中の物図鑑」
ねこねっこ
撮影(イベント)・文/ねこのきもちWeb編集室
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