猫が病気になってしまったら、できるだけ早く病気に気付き、治療してあげたいものですよね。しかし、肝臓の病気は進行がわかりにくく、発見が遅れてしまう場合があります。そこで今回は、肝臓から十二指腸につながる管が炎症を起こすことで発症する「胆管肝炎」という病気をご紹介。症状や治療法、予防法などを解説します。
肝臓は「沈黙の臓器」
人の場合、肝臓やすい臓のことを「沈黙の臓器」と呼ぶことがあります。肝臓やすい臓の病気は、病状が進行しないと自覚症状が出にくく、気付いたときには病気が進行してしまっていることが多いためです。
猫の肝臓やすい臓も、基本的な働きは人と同じ。病気になった場合も同様で、初期には目立った症状が見られないケースが多いようです。
しかし、わかりにくいだけで少しずつ症状は出てきます。ささいな変化も見逃さないよう、常に猫の健康状態に気を配ってあげましょう。
猫の「胆管肝炎」とは
猫に見られる肝臓の病気のひとつに、「胆管肝炎」があります。「胆管肝炎」とは、何らかの原因で肝臓・胆嚢・十二指腸をつなぐ胆管が炎症を起こし、その炎症が肝臓まで広がった状態のことです。
肝臓の炎症を繰り返すと、肝臓が萎縮し、最終的には「肝硬変」になってしまいます。「肝硬変」まで病状が進行すると、治療は困難です。
胆管肝炎の症状
肝臓の機能が低下することで体がだるくなり、徐々に元気がなくなっていきます。また、肝臓は消化器なので、嘔吐や下痢などの症状が出ることも。飼い主さんが気付きやすい主な症状は、以下の通りです。
頻繁に嘔吐する
ある程度消化され、ドロドロとしたものを嘔吐するのが特徴です。胆汁が混じり、黄色っぽくなっていることも。
尿の色が濃くなる
煮込んだかぼちゃのような、濃いオレンジ色の尿になります。普段から、尿の色をチェックする習慣を付けておくのがおすすめです。
胆管肝炎の検査方法と治療法
血液検査で肝臓の数値を調べ、必要があれば、レントゲンや超音波検査を行います。確定診断をするために、開腹手術や腹腔鏡手術を行い、肝臓の一部を切り取って詳しく調べることも。
細菌が原因で胆管肝炎を発症した場合は抗生剤を、自己免疫が原因の場合はステロイドホルモン剤などを投与し、治療を行います。
胆管肝炎は予防が大切!
胆管肝炎など、肝臓やすい臓の病気を予防する、3つのポイントをご紹介します。
定期的な健康診断
胆管肝炎に限らず、病気は早期発見が大切です。定期的に健康診断を受け、病気の予防・早期発見に努めましょう。
太らせないようにする
肝臓の病気は、肥満の猫ほどかかりやすいといわれています。フードは規定量を守り、与えすぎないよう注意。また、毎日遊びに誘うなどして、しっかりと運動をさせてあげましょう。
人の食べ物をむやみに与えない
人の食べ物の中には、猫にとって毒になるものも多くあります。猫が欲しがったとしても、むやみに与えてはいけません。
発症するとやっかいな病気のひとつ、胆管肝炎。
このような病気があることを知ったうえで、日々予防に努めましょう!
参考/「ねこのきもち」2016年11月号『症状に気付きにくい“沈黙の臓器”だから 進行すると怖い 肝臓とすい臓の病気』(監修:日本大学生物資源科学部獣医学科獣医外科学研究室教授 附属動物病院外科長 浅野和之先生)
文/higarina
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。