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【獣医師監修】猫の口臭の原因は歯周病?症状や治療、予防法は
猫も長生きの時代。3才を過ぎた猫の8割以上に歯周病の心配があるといわれています。歯周病になると、ひどい口臭や激しい痛みが出ることも。今回は、歯周病とはどんな病気なのか、なりやすい猫の特徴、進行のしかた、治療法や予防法について解説します。
猫の歯周病ってどんな病気?
初期症状が似ている口内炎
初期症状として、フードを口に入れることを嫌がる、よだれが増える、口臭がきつくなるなどがあり、歯周病の初期症状とよく似ています。
歯周病になりやすい猫って?
猫の場合、歯垢が歯石になる期間が1週間と人より短く、さらに歯みがきも難しいことが多いため、歯石がつきやすいです。ひどい歯周病は7才を過ぎた高齢猫に多く見られますが、歯石は2才を過ぎると付着が見られるといわれるので、若い猫でも歯周病にかかるおそれがあります。
猫の歯周病はどんなふうに進行するの?
歯石を放っておくと、その上に付着した歯垢中の細菌が、歯ぐきやその近辺の血管を通って全身に運ばれ、心臓や腎臓をはじめとする、さまざまな内臓疾患を引き起こすおそれも。
また、歯周病により歯ぐきが腫れると猫はフードを食べづらくなり、食欲が低下したり、充分な栄養がとれずに体力が落ちて病気にかかりやすくなったりしてしまいます。
歯周病 初期(軽症)の例
歯周病 中期の例(歯肉炎)
上下の奥歯に歯石がつき、とくに下側の歯は歯石が盛り上がっています。歯ぐきも赤く腫れており、これが歯肉炎の症状です。口腔内で強く痛みを感じはじめ、猫の元気がなくなったり、食欲が低下したり、よだれや口臭が目立ちはじめたりします。
歯周病 重症の例(歯槽膿漏)
歯肉からの出血や痛みがあり、食事がほとんどとれなくなってしまう場合もあります。また、内部の組織が壊れることで、歯の安定感もなくなり、進行していくと歯が抜け落ちてしまうことも。
猫の歯周病の治療法は?
飼い主さんの体験談!
「8才の頃から口臭が気になっていましたが、9才で受診。視診後、全身麻酔をして歯石除去をしてもらいました。その後、12才で再受診。このときは抜歯による治療も行いました。その後も再発したのですが、慢性腎臓病になり、全身麻酔が必要な歯石除去の治療ができませんでした。晩年、痛みで食欲がないときは、処方された抗生物質を与えてしのぎましたが、食事のたびに痛そうだったので『若い頃にデンタルケアを習慣にしておけばよかった』と後悔しました」
実際に抜歯した歯↓。歯石が根元から塊になっているのがわかります。
猫の歯周病の予防法は?
ただし、すでに歯石がついてしまっている場合は、歯石の上からいくらみがいても効果は期待できません。歯みがきをする前に、愛猫の歯と歯ぐきの健康状態をチェックしましょう。健康な猫の歯ぐきは、全体的に薄いピンク色。歯には歯垢や歯石がついておらず、白色です。このような状態なら歯みがきをしてもOK。歯ぐきが赤く腫れ、歯に歯石がついて黄土色の場合、歯ブラシを当てると猫が痛がることがあるので、まずは動物病院で治療の相談をしましょう。
猫の歯みがきのやり方
- 猫の口角を持ち上げ、歯ぐきと奥歯の間にブラシを当て、横方向に小刻みにみがきます。
- 猫のヒゲの付け根を上げて、前歯は横方向に、長さのある犬歯は縦方向にもみがきます。
「歯みがきは無理!」な場合はデンタルケアグッズを
デンタルケアにまつわる飼い主さんの疑問
口内炎のときにできるデンタルケアはあるの?
猫が口まわりを触られるのを嫌がるようであれば、飼い主さんが指を噛まれてケガをするおそれがあるので、無理に歯みがきなどをしないほうがベター。
歯みがきが難しい場合は、飲み水に入れるタイプのデンタルケアグッズや薬などで、口内環境を整えてあげてもいいでしょう。
また、全抜歯による治療を行うと、約6割のケースで口腔の病気は良化することがわかっています。猫は食べ物を咀嚼せず飲み込んで食べる習性があるので、症状次第では抜歯を検討しても。
歯石除去は全身麻酔が必要なの?
麻酔なしで歯石除去を行うと、手術中に猫が暴れて歯石を安全に取れない可能性が高いので、全身麻酔は必須です。しかし、全身麻酔は臓器への負担が大きいため、腎臓病を患う猫の場合は歯石除去が難しいことも。
ただし、程度によりますが、腎臓病であっても、絶対に麻酔ができないわけではありません。愛猫の病状や体調を把握したうえで、全身麻酔をしてくれる動物病院を探してみるのも手です。
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日ごろのケアで猫の歯の健康を守ろう
参考/「ねこのきもち」2010年9月号『長生きにつながるカンタン歯みがきしてみよう』
「ねこのきもち」2015年5月号『ねこのお口トラブルは日頃のチェック&ケアで防いで』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/kagio
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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