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猫の歯周病&口内炎は人よりも重症化しやすいは本当!?獣医師が解説します!

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ねこの病気、そこが知りたい!~「歯周病&口内炎」~

『ねこのきもち』本誌で毎号連載中の「ねこの病気、そこが知りたい!」。実際に愛猫が病気になった飼い主さんが治療中に「知りたかったこと」について、獣医師の重本 仁先生が教えてくれます。今回は「歯周病」&「口内炎」についてです。

お話をお伺いした先生

お話をお伺いした先生
重本 仁先生
王子ペットクリニック院長(東京都北区)

猫に多い口腔の病気 人よりも重症化しやすいので要注意!

「歯周病」や「口内炎」はどの年齢でも発症し、重症になりやすい傾向にあります。
「歯周病」は、歯肉に炎症が起きる「歯肉炎」や歯の根元の歯槽骨などに炎症が起きる「歯周炎」の総称。おもな原因は、歯に付着した歯石や歯垢中の細菌の増殖によるものです。

一方、「口内炎」は口の中の粘膜に炎症が起きる病気のこと。人でも同名の病気がありますが、猫の場合は口内に赤みや腫れ、肉芽増殖(粘膜が盛り上がる)などが見られ、何年も治らないケースがあります。発症の原因として、口腔内の細菌バランスの乱れや、猫カゼを引き起こすカリシウイルス、エイズウイルスなどの関与が疑われていますが、まだ解明されていません。

どちらも初期症状として、フードを口に入れることを嫌がる、よだれが増える、口臭がきつくなるなどがあります。治療は、軽症なら歯石の除去や抗生物質の投与、重度の場合は全身麻酔のうえ抜歯を行います。

歯周病

3才以上の猫の80%近くが歯周病にかかっているといわれています。
下記の写真は、歯周病により、上の歯に歯石が多量に付着して歯肉が赤く腫れた状態。このくらい歯垢や歯石が付いているときは抜歯による治療を行うのが一般的です。

画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』
画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』

口内炎

とくに口内炎ができやすい部位は上あごと下あごをつなぐ口峡部(こうきょうぶ)下記写真の赤い囲みのある部分です。

写真は口峡部の粘膜に炎症や肉芽増殖が起きているほか、舌がただれて舌炎の症状が見られます。口内炎は歯垢や歯石が付着しない箇所にも発症します。

画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』
画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』

歯周病でこんな体験をしました

9才の頃、フードを食べるときに痛がるしぐさが見られて受診。
「歯周病」と診断され、歯石除去をしましたが、その3年後に口臭が気になり、再受診。
歯石除去とぐらつく犬歯を抜歯しました。
その後、慢性腎臓病を発症したため、全身麻酔を要する歯石除去ができず、歯周病に悩まされ続けました。

東京都 S・Oさん クロコちゃん(メス・享年20才)

8才の頃から口臭が気になっていましたが、9才で受診。視診後、全身麻酔をして歯石除去をしてもらいました。その後、12才で再受診。このときは抜歯による治療も行いました。その後も再発したのですが、慢性腎臓病になり、全身麻酔が必要な歯石除去の治療ができませんでした。晩年、痛みで食欲がないときは、処方された抗生物質を与えてしのぎましたが、食事のたびに痛そうだったので「若い頃にデンタルケアを習慣にしておけばよかった」と後悔しました。

実際に抜歯した歯↓。歯石が根元から塊になっているのがわかります。

画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』
画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』

手術の同意書↓を見ると、治療には1万5千円かかったよう。

画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』
画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』

歯石除去後は、痛みから解放され食欲が出て、元のぽっちゃり体形に戻ったクロコちゃん。

画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』
画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」

おとなしい性格の猫だったので、全身麻酔なしでも歯石除去できたのでは? 
それができたら晩年歯周病で苦しむこともなかったのに……と思いました。
歯石除去は麻酔が必須なのでしょうか?

歯石除去は全身麻酔が必須ですが、腎臓病でも全身麻酔ができる場合があります

麻酔なしで歯石除去を行うと、手術中に猫が暴れて歯石を安全に取れない可能性が高いので、全身麻酔は必須です。そしてその全身麻酔は臓器への負担が大きいため、腎臓病を患う猫の場合は歯石除去が難しいこともあります。
ただし、程度によりますが、腎臓病であっても、絶対に麻酔ができないわけではありません。愛猫の病状や体調を把握したうえで、全身麻酔をしてくれる動物病院を探してみるのも手です。

イラスト/上垣厚子
イラスト/上垣厚子

口内炎でこんな体験をしました


保護したときに連れて行った動物病院で猫エイズウイルス感染症であることが判明。
その際に、獣医師から「口内炎」になりやすいと聞いていた通り、1才のときに口内炎に。
フードを食べるときに首を傾けて肩をすくめるように食べたり、ときどき声を上げたり、とても痛がっている様子でした。

神奈川県 M・Nさん 琥珀くん(オス・3才)

猫エイズキャリアであることが保護直後の検査でわかったので、猫カゼや口内炎になりやすいと、獣医師から説明されていました。
迎えたあと、フードを食べるときの様子がおかしかったので口の中を見たところ、歯茎や粘膜が赤くなっているのを確認。すぐに動物病院で診察をしてもらいました。
診断後は飲み薬による治療を行い、今は痛がることなくフードを食べられるまで回復しました。

イラスト/上垣厚子
イラスト/上垣厚子

口内炎の痛みからか毛づくろいをしなくなったため、下半身の毛が乱れていた琥珀くん。

画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』
画像/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」

口内炎がひどいときは、口周りを触らせてくれず、歯磨きができない
ので歯石がたまりがちでした。
口内炎がますます悪化するのではないかと心配になったのですが、
できるケアはあったのでしょうか?

飲み水に入れて飲ませるデンタルケアグッズを試しても

猫が口周りを触られるのを嫌がるようであれば、飼い主さんが指を噛まれてケガをする可能性があるので、無理に歯磨きなどをしないほうがいいでしょう。
歯磨きが難しい場合は、飲み水に入れるタイプのデンタルケアグッズや薬などで、口内環境を整えてあげても。
また、全抜歯による治療を行うと、約6割のケースで口腔の病気は完治することがわかっています。猫は食べ物を咀嚼せず飲み込んで食べる習性があるので、症状次第では抜歯を検討し
てもいいでしょう。

イラスト/上垣厚子
イラスト/上垣厚子

先生、ご回答いただきありがとうございました。
実際の体験談だけあって、参考になりそうなポイントがたくさんありますね。
いざというときに役に立つリアルな情報を今後もお届けしていきます。

監修/
重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)

参考/2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』
文/浪坂一
イラスト/上垣厚子
※この記事で使用している画像は2019年7月号『猫の病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。

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