愛猫に話しかけたとき、鳴き返してくれると嬉しいですよね。でも実は、「ニャー」という鳴き声ひとつとっても、いろいろな種類があることをご存じでしたか?今回は、猫の鳴き声の種類や込められている気持ちについて、注意すべき鳴き声とともにご紹介します。
猫が鳴くのは人と暮らしているからこそ!
もともと野生時代の猫は単独行動をとっていたこともあり、敵に居場所を知られないためなどの理由から、ほとんど鳴くことはありませんでした。しかし、人と暮らし人からゴハンをもらううちに、飼い主さんに自分の気持ちや要望を伝える必要性が出てきたため、自然と鳴き声を発する能力が発達したといわれています。
人とコミュニケーションをとるために猫の鳴き声が進化したかと思うと、何だか愛おしい気持ちになりませんか?
猫の気持ちは鳴き声の大きさ・長さ・高さでわかる
猫の鳴き声の意味を推測するには、鳴き声の高さや大きさなどがヒントになるそうです。声の高さや大きさは発声するときの力加減に左右されるため、猫の気持ちが顕著に表れるそう。さらに、鳴いたときの時間や場所、前後でどんな行動をしたか、どれだけ長く鳴いたかなどで、より詳しく猫の気持ちを読み取ることができます。
ここからは、どんなシチュエーションで鳴いているのか、こんな気持ちのときはどのような声で鳴くのかなど詳しく解説していきます。
甘え・安心・要求の気持ちの鳴き声
声を張ることが少ない猫があえて力を入れて高い声を出すのは、人の気を引こうとしたり、甘えたかったりする気持ちを表現するためです。このようなときによく見られる鳴き方や、それぞれの気持ちは以下のとおりです。
はっきりとした高い声の「にゃ~」「にゃーん」
猫を飼っていると特に聞く頻度が多い鳴き声で、飼い主さんに何か要求やおねだりをしているサインです。フード皿の前で「おなかすいた!ゴハンがほしい!」や、ドアの前で「ここを開けて~」など、鳴くときの場所やシチュエーションで意味は異なります。
特定の人に向けて高く大きく「ウニャア~」「アオーン」
高く大きい声で特定の人に返事をしたり鳴いたりするのは、その人を信頼している証拠です。その人に向けて、「大好き」「かまって」「甘えたい」という気持ちが抑えられないのでしょう。
仰向けになりながら「ウンニャッ」
猫がお腹を見せる(へそ天する)のは、その人に対して安心・信頼している証拠です。このとき小さく短めに鳴く場合は、「こっちを向いてほしいな」など淡く控えめに期待や要求をしているのでしょう。猫がこんなふうに鳴いてくるときは、好む部位をなでて応えてあげましょう。
のどを鳴らして「ゴロゴロ」「グルルル」
なでられているときなど猫の機嫌がいいときに聞こえる声で、「うれしい」「満足している」という意味があります。安心感をもっている相手にしかしない鳴き方なので、愛猫との信頼関係がうまく築けている証拠ともいえますね。
【関連動画】甘え声のかわいい猫
甘えたり要求したりする声の見極め方については、こちらのYouTube動画が参考になります。かわいらしい声につい癒やされてしまいますよ!
かわいらしい声をたくさん聞かせてくれているのは、ひのき猫さん宅のオデコちゃん。鳴き返すオデコちゃんのかわいい声と、飼い主さんのやさしいトーンの声がいいですね♡
画面に映るたくさんの猫ちゃんたちと、ゴハンやおやつをねだるかわいい声がたまらない動画!カメラにタックルしてくる音も、なんだかいい効果音になっています。
あいさつ・返事などコミュニケーションの鳴き声
ふだんと変わらない高くも低くもない高さの声は、平常心に近い気持ちや控えめな主張を表わしているといわれています。以下のように、あいさつや返事のときに使われる鳴き声も該当するそうですよ。
短く小さい声で「ニャッニャッ」「ふにゃふにゃ」
猫の短く小さい発声は飼い主さんや同居猫に向けた、「おはよう」や「調子はどう?」などのちょっとしたあいさつです。朝起きたときに愛猫が短くリズミカルに鳴くなら、「このあとはゴハンかな~」と、上機嫌な気持ちであいさつにきているのかもしれませんね。
話しかけられたときに「うにゃ」「にっ」
話しかけたときに短く鳴くのは、「な~に?」と飼い主さんに対してあいづちや返事をしていると考えられます。比較的社交的な性格の猫や、頭をなでてもらえたなど返事をしたときにうれしい経験をした猫などは、よくこの鳴き方をするようです。
【関連動画】あいさつや返事をしてくれる猫
あいさつや返事についての鳴き声を聞きたいときは、こちらのYouTube動画が参考になりますよ。
マンチカンのちゃいちゃんとすしちゃんが、かわいらしく朝のごあいさつ。しっかり飼い主さんを見上げてカメラ目線になっているのもかわいらしいですね♪
興奮・警戒・威嚇の気持ちの鳴き声
うなるように「ヴー」「マーオ」
のどの奥でうなるような鳴き方は、相手や周囲に対して警戒や警告をしているサインです。ちょっかいを出してきた相手に、「こっちにくるな!」とけん制しているのでしょう。体調が悪いときに自分を守るためにこの声を出していることもあるので、体調や様子がおかしくないかなど見極めることも大切です。
口を閉じて「んー」「うー」
口を閉じて低くうなるように鳴くのは、これ以上近寄ってきてほしくないなどの威嚇の気持ちです。見知らぬ人や猫、不審なものに対してよく出される声といえます。
口を大きく開けて「アウアウ」
口を大きく開けて「アウアウ」と鳴くのは、怒ったり強く興奮したりしているサインです。人の赤ちゃんの声にもよく似ており、発情期を迎えたメス猫がオス猫を誘惑するときにも、このような声を出します。
毛を逆立てて「フー」「シャー」
毛を逆立てたり、しっぽを大きくふくらませたりしながらこの声を出すのは、警戒や脅威を感じているサイン。縄張りに侵入した猫や家電などに対して、「嫌い」や「こっちにこないで」と強い威嚇の気持ちが込められています。
遠くを見つめながら「クルル」「ケケケ」「カカカ」
「クラッキング」と呼ばれる猫特有の鳴き声で、窓の外に虫や鳥を見つけるなど、狩猟本能が刺激されたときに出します。「あそこの獲物を捕まえたいのに捕まえられない!」といった、もどかしい気持ちや葛藤を表しているのだといわれています。
【関連動画】威嚇・怒り中の猫
猫が威嚇しているときの声は、こちらのYouTube動画が参考になります。姿はかわいいですが、威嚇声は結構迫力がありますよ。
大人気姉妹猫のモカちゃんとラテちゃんが、保護されたばかりのときの動画です。へっぴり腰からの「シャー!」にびっくり!ラテちゃんもジャンプして驚いちゃっています♡
不安・不満の気持ちの鳴き声
猫が低い声で鳴くのは威嚇や警戒以外に、以下のような不安感から来ていることも考えられます。
扉の前などで長く低い声で「あーお」「にゃおーん」
飼い主さんや家族の姿が見えず不安な気持ちになっているときの鳴き方で、オス猫は太く低く、メス猫は高くのどからふりしぼったような独特の声で鳴きます。鳴いていればどこかから出てきてくれるのではという期待の表れで、素直に応えていると激しいおねだりにつながる危険性もあります。
ウンチをしたあとに大きく「ヌォ~ン」
猫がトイレ前後に興奮したように鳴くのは野生時代の名残で、無防備になる排泄時に敵に狙われないかと不安な気持ちになっているのでしょう。砂で排泄物を隠しても落ち着かなかったり鳴き続けたりする場合は別の要因も考えられるので、日ごろの生活をよく観察し、不安要素を解消してあげましょう。
相手をにらみながら低く「ウニャ~」
飼い主さんがかまっている相手を睨むのは、相手に対する敵意や抗議のサインです。さらに低い鳴き声がプラスされることで、「どいてほしい」とより強い気持ちを込めているのでしょう。両方の猫を順番になでるなど、平等に接することを心がけましょう。
【関連動画】不安感や不満で鳴く猫
猫が不安や不満な気持ちから出す声は、こちらのYouTube動画が参考になります。
こちらはキジトラ猫のリキちゃんが、いつの間にかいなくなっていたお父さんを捜して不安そうに鳴いている動画です。リキちゃんの声は切ないけれど、お父さんを捜す健気な姿がかわいいですね。
こちらはアメリカンショートヘアのちょりちゃんが、飼い主さんの妹さんにかまってもらえず、寂しさや不安で鳴いている動画。最初の一生懸命鳴く姿と、最後のかまってもらえたときのとろけるような姿の対比はたまりません!
人の言葉をしゃべるように鳴く猫もいる!?
よく、「ゴア(ハ)~ン」や「オニャ(カ)エリ~」といった、人の言葉をしゃべる猫がネットで話題になったりしますよね。ただの飼い主さんの聞き間違いではと思ってしまいますが、実際にはどうなのでしょうか?
飼い主さんに直撃!「愛猫は人の言葉をしゃべりますか?」
実際に猫飼いさんたちにねこのきもち公式Twitterでアンケートを取ってみたところ、なんと58%の方の猫ちゃんが「人の言葉をしゃべっている」という結果が!真偽のほどは“飼い主さんのみぞ知る”ですが、興味深い結果ですよね♪
しゃべるような鳴き声は飼い主さんとのコミュニケーションで生まれる
人が都合よく解釈しているケースも多いかもしれませんが、人の言葉のように聞こえる猫の鳴き声は、ほとんどが飼い主さんとのコミュニケーションから生まれた声といえるでしょう。
猫がたまたまその鳴き声で応えたときに、飼い主さんが喜んでくれたり、いいことをしてくれたりしたので、その経験から同じような鳴き声を同じようなタイミングで繰り返すようになったと考えられます。
あなたは聞こえる?「おはよう」という猫
鳴き声が、「おはよう」に聞こえる猫の動画です。聞こえるかどうかは……動画をご覧ください!
こんな鳴き声のときは注意が必要!
夜中にうろうろしながら「アオ~ン」と鳴く
若い猫の場合は遊びが足りずに不満がたまっているサインですが、高齢猫の場合は認知症を発症しているおそれがあります。頻繁に夜中に鳴くようなら、一度動物病院を受診したほうがよいでしょう。避妊が済んでいない猫では、発情の可能性も示唆されます。
同居猫が亡くなったあとに「ウミャーウミャー」と鳴く
同居猫が亡くなったあとに鳴くのは、同居猫がいなくなったことで生じた部屋のニオイの変化や、飼い主さんの元気のない様子を察して、不安を感じているのかもしれません。あまりに続くようなら、一度獣医師に相談を。
そのほか、ふだんどおり体をなでているのにある一定の部分だけ嫌がったり、排泄をしているときに鳴いたりするのは、病気がひそんでいることも考えられます。何か気になる症状がある場合は、早いうちに動物病院へ相談するのがおすすめです。
鳴き声から愛猫の気持ちを理解しよう!
人のように話せなくても、猫はさまざまな抑揚や鳴き声で、こちらに気持ちを伝えてくれています。猫が鳴き声に込めた気持ちを理解すれば、愛猫との距離も縮まるはずです。
ご紹介した鳴き声以外にも猫にはまだまだいろいろな鳴き方があるので、ぜひご自分でも調べてみてくださいね!
猫の鳴き声にまつわる疑問については以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
参考/「ねこのきもち」2016年10月号『鳴き声の「高さ」で気持ちがわかる! サウンド オブ MEOWジック』
「ねこのきもち」2019年3月号『猫語をひも解くヒント集 鳴き声で気持ちはわかります!』
「ねこのきもち」別冊『ねこのしぐさ 鳴き声 事典』
監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院 循環器担当)
文/pigeon
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。