猫と暮らす
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【獣医師監修】猫はキャットフードに入っている穀物を消化できるの?
キャットフードには主原料に、小麦や米、トウモロコシなどの穀物を使っているフードがあります。猫はもともと穀物を食べる動物ではないので、飼い主さんのなかには、愛猫が消化不良を起こすのではないかと心配するかたもいらっしゃるようです。
猫はキャットフードの中の穀物を消化できるのでしょうか。詳しく解説します。
猫にとって穀物は悪いものなのでしょうか?
ちなみに人も穀物をそのままでは消化できません。人が穀物を食べることができているのは、火を利用することを覚え、食料を加熱する技術を手に入れたからです。米に水を加えて加熱してご飯をたいたり、小麦粉に水を加えて練って焼き、パンなどにしたりすることで、でんぷんを消化しやすく糊化させて食べているのです。
猫も加熱調理した穀物なら負担なく消化できる
炭水化物の量はペットフードのパッケージに記載されていませんが、一般的なキャットフードのでんぷん量は30~35%程度ですから、無理なく消化・吸収と利用ができるということです。
私たちは、愛猫に生の穀物を食べさせているわけではありません。ペットフードの原材料に使われている穀物は、水を加え、加熱されて、糊化された状態になっています。とくにドライフードは原材料を粉にして加熱・加圧してフードの形につくりあげますから、でんぷんの消化性が非常に高められています。ウエットフードに使用されるでんぷんも、加熱されて糊化されています。
キャットフードに穀物を入れる理由
完全な肉食動物である猫は、たんぱく質をエネルギーに変換する能力が高く、炭水化物をあまり必要とはしていません。しかし、炭水化物を分解してできる糖は体内で優先的に使われるエネルギー源で、脳は主に糖をエネルギー源として使うほか、授乳期には、良質な母乳をつくるために糖が必要です。ですから、炭水化物は、過剰にならない程度にペットフードに含まれていたほうが、栄養バランスがいいのです。このような目的が、炭水化物の供給源として穀物が使用される理由のひとつです。
また、猫の健康を維持するために必要な栄養バランスから考えたとき、肉だけのごはんで必要なエネルギーをまかなうと、たんぱく質や脂肪が過剰になり、ミネラルのバランスが崩れるなど、栄養素の過不足が生じる場合もあります。そのため、キャットフードは、さまざまな原材料を加えて栄養バランスを整えているのです。
また、穀類は、猫が多く必要としているたんぱく質の供給源にもなります。小麦や米、トウモロコシなどの穀物には、炭水化物だけでなく、たんぱく質、繊維質、ビタミン、ミネラルといった、さまざまな栄養素が含まれています。一方で、「小麦グルテン」「コーングルテン」といった、穀物からたんぱく質を取り出した原材料などもあります。
キャットフードの原材料に穀物を使う理由には、ドライフードの形を整えたり、ウエットフードにとろみをつけたりする目的もあります。とくに、ドライフードを製造する過程で、粒の形を保ち、砕けないようにするために欠かせません。」
「グレインフリー」のキャットフードのほうがいいのは一部の猫にだけ?
猫の体質に合ったフード選びを
推測でフード選びをせず、獣医師の診察も受けて不調の原因を正しく診断してもらい、フード選びのアドバイスを受けましょう。
※1: Meyer H, Kienzle E. Dietary protein and carbohydrates: Relationship to clinical disease. In: Proceedings. Purina International Nutrition Symposium, Orlando, FL, 1991: 13-26.
Kienzle E. Carbohydrate metabolism of the cat. 1. Activity of amylase in the gastrointestinal tract of the cat. Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition 1993; 69: 92-101.
Kienzle E. Carbohydrate metabolism of the cat. 2. Digestion of starch. Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition 1993a; 69: 102-114.
※2: Meyer H, Kienzle E. Dietary protein and carbohydrates: Relationship to clinical disease. In: Proceedings. Purina International Nutrition Symposium, Orlando, FL, 1991: 13-26.
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