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キャットフードの原材料に穀類が使われている理由は?

猫は、獲物をとらえて食べるネコ科の肉食動物です。それなのに、ペットフードの主原料(原材料表記のはじめのほうに書いてある原材料)に、小麦や米、トウモロコシや大豆などの穀類を使っているフードがあるのはなぜなのでしょう。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

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過剰にならない程度に炭水化物が含まれていたほうがいい

 現在、人と一緒に暮らして人からゴハンをもらっている猫ですが、野生のリビアヤマネコが人と一緒に暮らすようになってイエネコとなったと考えられています。農耕生活の発達によってネズミ番として重宝された歴史が示すとおり、狩りの能力が高い、完全な肉食動物です。

 猫に必要な栄養素の割合を、雑食動物であるわたしたち人や犬と比較してみましょう。
 肉食動物の猫は、脂肪やたんぱく質を主なエネルギー源とする人や犬に比べてたんぱく質をエネルギーに変換する能力が高く、たんぱく質が必要な割合が犬や猫より大きいことがわかります。とはいえ、炭水化物もある程度は消化・吸収、消費できます。また、糖は体内で優先的に使われるエネルギー源で、脳は主に糖をエネルギー源として使うほか、授乳期には、良質な母乳をつくるために糖が必要です。ですから、炭水化物は、過剰にならない程度にペットフードに含まれていたほうが、栄養バランスがいいのです。
 また、猫の健康を維持するために必要な栄養バランスから考えたとき、肉だけのゴハンで必要なエネルギーをまかなうと、たんぱく質や脂肪が過剰になり、ミネラルのバランスがくずれるなど、栄養素の過不足が生じる場合もあります。このため、キャットフードは、さまざまな原材料を加えて栄養バランスを整えています。

穀類は良質なたんぱく源

 小麦や米、トウモロコシや大豆などの穀類には、炭水化物だけでなく、たんぱく質、繊維質、ビタミン、ミネラルといった、さまざまな栄養素が含まれています。一方で、「小麦グルテン」「コーングルテン」といった、穀物からたんぱく質を取り出した原材料などもあります。

 愛猫の健康のためには、ゴハンから得られるエネルギーと栄養バランスが適切であることが大切です。キャットフードは、同じものをずっと食べ続けても健康が維持できるように、さまざまな特性をもった原材料を組み合わせて栄養バランスをとる工夫がされています。また、それらのコストパフォーマンスがよくその質や供給が安定していることも、商品がより多くの飼い主さんにいきわたってより多くの愛猫の健康を支えるうえで大切なことです。これらの面で、穀物は原材料として利点が多いのです。

 飼い主さんの中には、コストパフォーマンスがよいというと、粗悪であるととらえるかたもいるようですが、そのようなことではありません。安価でありながら良質であるなら、それは優れたものであるととらえるべきでしょう。大切なのは愛猫にあった品質、栄養バランスです。
 そのほか、キャットフードの原材料に穀類を使う理由には、ドライフードの形を整えたり、ウエットフードにとろみをつけたりする目的もあります。とくに、ドライフードを製造する過程で、粒の形を保ち、砕けないようにするために欠かせません。
※写真はアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」に投稿されたものです。
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監修/徳本一義先生(へリックス株式会社代表取締役社長)
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