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獣医師監修|オス猫の去勢手術の時期や費用は? メリット・デメリットも解説
オス猫を飼い始めると、去勢手術を受ける時期について悩むかたも多いでしょう。そこで今回は、オス猫の去勢手術に適した時期を、飼い主さんの体験談を交えてご紹介します。去勢手術の費用の目安や、メリット・デメリットも解説するので参考にしてください。
オス猫の去勢手術に適した時期は生後6か月ごろ
去勢手術のタイミングは、かかりつけの獣医師と相談しながら決めるのがベストです。一般的には、性成熟する前に去勢手術を行うことで、尿スプレー(マーキング)や放浪、ケンカなどの行動を抑えることができるといわれているので、オス猫が性成熟する前(生後6か月前後)に行われることが多いようです。
去勢手術の時期が早い場合の注意点
これまで、去勢手術を受けるタイミングが早すぎると、尿道の発達が未熟になるために、猫下部尿路疾患の発症率が高まるとされていましたが、現在は科学的根拠はないとされているようです。
また、去勢手術には全身麻酔が必要となるため、生後3〜4か月ほどの体の小さな猫が去勢手術を受けると、低体温症や低血糖のリスクがあります。動物病院によく相談してみましょう。できれば、小さな猫の去勢手術が経験豊富な獣医師だと安心です。
また、去勢手術には全身麻酔が必要となるため、生後3〜4か月ほどの体の小さな猫が去勢手術を受けると、低体温症や低血糖のリスクがあります。動物病院によく相談してみましょう。できれば、小さな猫の去勢手術が経験豊富な獣医師だと安心です。
去勢の時期が遅い場合の注意点
すでに尿スプレーや放浪などの行動が始まってから去勢手術を受けても、それらが改善しない場合があります。また、7才以上のシニア猫が去勢手術を受ける場合は、年齢的にも持病を抱えていたり、全身麻酔の手術のため負担になったりする場合もあります。
では、飼い主さんは愛猫が何才のときに去勢手術を受けたのでしょうか? アンケート(※)を実施して聞いてみました。
※2021年6月実施「ねこのきもちアプリ」内アンケート調査(回答者数 400人)
では、飼い主さんは愛猫が何才のときに去勢手術を受けたのでしょうか? アンケート(※)を実施して聞いてみました。
※2021年6月実施「ねこのきもちアプリ」内アンケート調査(回答者数 400人)
飼い主さんに聞いた! 愛猫の去勢手術は何才で受けた?

アンケートの結果、もっとも多かったのが生後6~9か月、次に多かったのは生後10か月~1才未満という結果に。この時期に去勢手術を受けた理由については、以下のような回答がよせられました。
生後6~9か月で去勢手術を受けた理由は?
- 「マーキングされるのも嫌だしストレスを軽減してあげたかった」
- 「マーキングが始まる前に手術しておきたかった」
- 「主治医に相談して決めました」
- 「獣医師にすすめられた」
- 「万が一脱走した場合のリスク、スプレー行動の防止」
- 「5,000円の助成金を受けられる時期であったため」
- 「病院やペットショップにすすめられたから」など
生後10か月~1才未満で去勢手術を受けた理由は?
- 「主治医に診てもらって」
- 「保護猫で丁度これくらいで母親共々去勢しました。ボランティアさんに頼み連れて行ってもらいました」
- 「我が家で保護してすぐ手術を受けたから」
どのくらいかかった? オス猫の去勢手術の費用の相場
同アンケートでは、去勢手術にかかった費用についても飼い主さんにうかがいました。
去勢手術にかかったトータルの費用

もっとも多かったのが1~2万円、続いては3~5万円という結果に。費用の内訳については、以下のような回答がよせられました。
去勢手術にかかった費用の内訳
- 「事前検査費 16,900円、手術費 22,200円、ストレスで血便が出るため薬代 1,000円、毛玉カット 500円」
- 「事前検査費 10,000円、手術費 20,000円」
- 「手術費 15,000円 抗生物質注射代 3,800円」
- 「事前検査費 11,200円、手術費 15,000円」
- 「事前検査費 5,000円、手術費 13,000円」
- 「術前検査費 6,480円、手術費 16,200円、抗生剤注射 1,615円」
- 「事前検査費と手術費(麻酔含む)で19,000円。その後の薬代で2,000円ほど、抜糸で2,000円くらい」など
猫の去勢・避妊手術には助成金・補助金制度も
猫の去勢手術や避妊手術に対して、助成金や補助金が出る自治体があることをご存じでしょうか?
これは居住しているあるいは猫を飼育している地域の市区町村や都道府県、各地域の獣医師会などが、猫の避妊去勢手術に対して費用の一部もしくは全額を負担してくれる制度で、野良猫や捨て猫、地域猫の問題への対策から取り組まれるようになったものです。
詳しくは以下の記事でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
これは居住しているあるいは猫を飼育している地域の市区町村や都道府県、各地域の獣医師会などが、猫の避妊去勢手術に対して費用の一部もしくは全額を負担してくれる制度で、野良猫や捨て猫、地域猫の問題への対策から取り組まれるようになったものです。
詳しくは以下の記事でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
知っておきたい! オス猫の去勢のメリット・デメリット
去勢手術を検討するときは、メリット・デメリットについてよく理解しておくとよいでしょう。
オス猫の去勢手術のメリット
尿スプレー(マーキング)が減少する
未去勢の場合、オス猫は性ホルモンの影響で縄張り意識が強い状態になるため、さまざまな場所に尿をかけて自分の縄張りを主張することがあります。しかし、去勢手術をすることで性ホルモンは抑えられるため、こういったマーキング行動はかなり減る傾向に。
放浪しにくくなる
去勢手術をすることで性ホルモンが抑えられるため、オス猫は繁殖相手を求めて放浪しにくくなります。頻繁な放浪は交通事故などに遭う可能性も高めるため、去勢手術を行うことで事故によるケガはもちろん、死亡するリスクも軽減できるといえるでしょう。
ケンカしにくくなる
去勢手術をすれば縄張り意識も弱くなる傾向があるので、猫同士のケンカを防ぐことができるでしょう。ケンカの外傷によるケガのリスクはもちろん、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスなどに感染する機会を減らすことができます。
オス猫の去勢手術のデメリット
麻酔によるリスクを負う
去勢手術は全身麻酔をかけて行うため、身体的な負担を伴います。ただし、事前に受ける身体検査や血液検査などによって、全身麻酔のリスクはある程度判断できるため、極端に心配する必要はありません。
肥満になりやすくなる
去勢後は性ホルモン減少することで代謝が落ち、さらにケンカや放浪をしなくなるといった行動面での変化が生じるため、去勢前よりも消費カロリーが減少する傾向に。そのため、去勢前と同じ量の食事を与えていると、摂取カロリーが消費カロリーを上回り肥満になることがあります。
去勢後は必要カロリーが8割ほどでいいとされています。食事管理をきちんと行うことで肥満は予防することができますので、食事量については獣医師と相談してください。
去勢後は必要カロリーが8割ほどでいいとされています。食事管理をきちんと行うことで肥満は予防することができますので、食事量については獣医師と相談してください。
猫の去勢手術は時期によってメリットとデメリットがある
猫の去勢手術にはさまざまな意見や考え方があると思いますが、メリットとデメリットを比較しながら、愛猫と飼い主さんにとってベストな選択をするようにしましょう。また、猫の去勢手術は早くても遅くてもリスクがありますので、かかりつけ医と相談しながら、時期を決めることが大切です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
監修/八木田智洋先生(かんもん動物病院副院長)
文/ハセベサチコ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
文/ハセベサチコ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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