猫と暮らす
UP DATE
【獣医師が解説】予防はできる?「猫白血病ウイルス感染症」の基礎情報
知らないと怖い、猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルス感染症はこんな病気
この感染症は猫から猫に感染する病気のため、他の猫と接する機会のない猫は安心しても良いでしょう。しかし、外に出かける猫や多頭飼いの猫は注意が必要です。
感染~発症まで、その症状は?
◆感染
感染すると、発熱やリンパ節が腫れるなどの軽い症状が出て元気がなくなり、猫によっては貧血や白血球の減少が見られることもあります。この期間は『急性期』と呼ばれ、1週間~数か月ほどとされています。
《主な症状》
- 元気や食欲がなくなる
- 体重の減少
- 歯ぐきが白っぽい(貧血)
- 下痢
- 発熱
- リンパ節の腫れ
- 口内炎
- 鼻炎
この『急性期』を経て回復する場合は、血中からウイルスが消失し、ウイルス排泄はなくなり、以降発症することはなくなりますが、ウイルスを排除できなかった場合は感染が続きます。
◆潜伏期
症状がなくなり、いつも通り元気に過ごせるようになりますが、子猫の場合、この時期から3年以内に発症する可能性が高いとされています。この期間を『無症候キャリア期』と呼びます。
◆発症
発症すると、白血球の減少により免疫機能が低下するため、ほかの感染症にもかかりやすくなります。そして、この発症から数か月で死に至るとされています。
《重症化したときに併発する病気》
- 悪性リンパ腫(がん)
- トキソプラズマ症
- 慢性腎不全
- 猫伝染性腹膜炎
- 口内炎 など
前述のような初期症状に心当たりがある際は、病院へ連絡をした上で、速やかに連れていかなければなりません。また、感染の可能性がある場合、病院内で隔離しなければならないこともあるため、事前に連絡をしておくとスムーズに対応してもらえます。
なお、病院へ連れて行く際は他の猫への感染を防ぐためにも、キャリーケースから猫を出さないようにしましょう。
主な感染経路は?
母猫からの感染
感染猫との接触による感染(唾液/血液/涙/糞尿)
・感染猫とのケンカ……猫同士のケンカによる噛み傷など
・感染猫とのグルーミング、食器共有……毛づくろいや同じお皿での食事、トイレの共有など
治療法はある?予防するには?
予防ワクチンを定期的に接種する
室内飼いを徹底する
飼い主さんが外からウイルスを持ち込まない
猫白血病ウイルス感染症の検査、検査法や費用は?
どんな猫に対して行うべき?
検査法は?
◆陽性の場合
陽性反応が出たからといって、必ずしも発症するとは限りません。中には陰転する猫もいるので、3~4ヵ月後に再検査を行います。そこで陽性が出てしまうといつ発症するか分からないので、体調の変化に気をつけましょう。初期の段階ならば、免疫力を高める治療で陰転する可能性があるので、早めの検査が重要になります。
◆陰性の場合
陰性の場合は、感染していなかったと見なされます。しかし感染直後でウイルスの数が少ないと反応が出ないこともあるため、まだ安心はできません。このようなとき、『PCR』という方法でより詳しく検査するケースもあります。
かかる費用は?
感染しても悲観的にならず、できることをしてあげよう!
例えば、『トイレはいつも清潔に』、『新鮮な水や食事を用意する』などといったように、猫にとってストレスフリーの環境を用意してあげるなど、今できる最善を尽くすことが、飼い主さんにとって大切なことといえるでしょう。
「ねこのきもち」2018年9月号『重症になりやすいから知っておきたい “アルファベット感染症”』(監修:Pet Clinic アニホス院長 弓削田直子先生)
「ねこのきもち」2015年11月号『2号連続[健診特集]後編・検査の内容 検査内容をくわしく紹介します!実際に健康診断受けてみました』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/菜々
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
UP DATE