猫と暮らす
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【獣医師が解説】猫にパンを与えてはいけない理由 特にダメなパンは
惣菜パンや菓子パンなど、私たちにとって「パン」はとても身近な食品。人間にとっては主食ですが、はたして猫に与えても良いのでしょうか?その答えは、ほぼNO。ではなぜ猫にパンはダメなのか、またどういった危険があるのか、獣医師監修のもと解説します。
基本的に人間の食べ物を与えてはいけません!

猫は人間と同じ哺乳類ですが、見た目からも分かる通り、体の構造はかなり異なります。必要な栄養も人間と猫では異なるため、人間には健康的だと言われている食べ物だとしても、猫にとっては毒物となることもあります。
私たち人間にとって必要な栄養素「ビタミンC」を一例にとると、猫はビタミンCを体内で作り出せるので、外から摂取する必要がないのだそう。人間に適度に必要な塩分も、猫はほぼ必要としません。人間用の食べ物は総じて塩分濃度が高いので、猫の健康を考えるのならば与えてはいけないということになりますね。
猫にパンはおすすめできない!その理由を解説!

「パンなら猫にあげても大丈夫じゃないの?」こんな風に思っている方も多いかもしれません。しかし猫からするとパンは必要なく、むしろ有害ともいえる食品なんです。猫は本来、肉食動物なので、主として必要な栄養素はタンパク質です。内臓の作りや持っている消化酵素も、タンパク質の分解に特化しています。一方で炭水化物を消化する能力がとても低いため、炭水化物の塊であるパンを摂取してしまうと消化不良を起こしてしまい、便秘や下痢の原因や、肥満、糖尿病になる恐れもあります。また、塩分やパンに入っている他の食物にも注意が必要です。
パン作りに欠かせないイーストも、猫にとっては危険な成分です。摂取したイーストがお腹の中で膨張してガスを発生させたり、体内でアルコールを発生させて中毒症状を起こさせたりすることもあります。パンには意外と食塩が多く含まれているので、注意が必要です。
これらの理由により、猫にパンを与えることはおすすめできません。与えるとしても2cm四方程度にしましょう。
パンの成分だけではない!〇〇入りのパンがこれまた危険!

パンはシンプルなものだけでなく、総菜パンや菓子パンなど、さまざまな種類が販売されていますよね。そういったパンに含まれている食品の中には、猫の健康どころか、命すら脅かす危険な食品も存在します。
チョコレート
チョコレートは、デザート系の菓子パンによく使用されています。しかし、チョコレートには注意が必要!カカオに含まれる「テオブロミン」という成分は、猫にとっては毒そのもの。摂取すると中毒症状を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。
玉ねぎなどのねぎ類
総菜パンには「ねぎ類」が含まれていることもありますが、ご存知の通り猫に与えてはいけない食べ物の定番です。ねぎ類には猫の赤血球を破壊し、貧血や血尿などを引き起こす成分が含まれています。加熱しても成分が変わることがないので、絶対に与えないようにしてください。
レーズン
レーズンが含まれているパンもよくありますが、レーズンはもちろんのこと、ぶどうそのものが危険。犬がぶどうを食べてしまい、腎臓の病気にかかった事例が報告されています。猫への安全性も確認されていないので、食べさせないでください。
他にも、アボカド・ナッツ類・貝類・アルコール類も猫にとっては危険です。取り扱いには十分注意しましょう。
最悪の場合、命を落とすおそれも?

パンには小麦・卵・牛乳などが使用されていますが、これらはアレルギーを起こしやすい食品でもあります。アレルギーによるアナフィラキシーショックは、死に直結しかねません。また、パンの袋などを一緒の誤食してしまうのも危険ですので注意が必要です。
パンの扱いには十分に注意しよう

猫は慎重な性格をしていますが、好奇心旺盛な動物でもあります。人間の食べ物に興味を示し、飼い主さんが見ていない隙に盗み食いをするなんてこともよくあります。猫が誤ってパンを口にしないよう、飼い主さんが対策を講じてあげる必要があるのです。
人間の食べ物の味を覚えさせない
もっとも重要なのが、人間の食べ物に興味を示さないように育てることです。猫には猫用のフードしか与えないようにして、人間の食べ物がおいしいと思われないようにしましょう。そのためには以下のような対策が有効です。
・人の食事中にお腹が空かないように、人の食事時間より前にフードを与えておく。
・人の食事中は、猫を他の部屋に移動させておく。
・人の食べ物を猫の見える範囲におかない。
食べ物は猫が入れない場所にしか置かない
食べ物を置く場所を、キッチンのみにする方法です。パンやおやつは、ついついリビングに置きがちですが、キッチンのみで扱うようにします。キッチン自体に猫ゲートやフェンスを取り付けて、猫が侵入できないようにしてください。
「高い所なら大丈夫かな」「戸棚の中なら手を出せないでしょう」と思っても、猫の生活範囲内に食べ物を置くのもタブー。猫は身軽で器用なので、飼い主さんの思いもよらない行動をすることも。「この上にのぼっているところを見たことがない」という場合でも、実は飼い主さんが留守中に散策していることもあるんです。
もしパンを食べてしまったら?

対策を講じたにも関わらず、もし猫がパンを食べてしまった場合は、焦ってはいけません。
・どのくらい食べたのか
・どういう種類のパンを食べたのか
・食べてからどのくらいたっているのか
・パンの袋は食べていないか
・猫の様子はどうか
まずは落ち着いて、上記4点を確認してください。プレーンのパンを少量食べた程度で大きな変化がなければ、様子見で大丈夫です。しかしあまりにもたくさん食べている場合や、菓子パンや総菜パンなどいろいろな食品が混ざっている場合は、念のため動物病院に連絡をして指示を仰ぎましょう。猫の様子がおかしいようなら、迷わず受診してくださいね。
パンは人間にとって美味しい食べ物でも、猫にとっては危険となり得る食べ物でした。猫の健康を考えるなら、猫のために作られた猫用のフードのみを与えるようにしましょうね。
出典元/『ねこのきもち』「猫に与えてOK?NG? 食べ物図鑑」(監修:高円寺アニマルクリニック院長 高崎一哉先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/higarina
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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