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キャットフードに含まれる「副産物」って?安全性や栄養について解説

キャットフードの原材料をみて「副産物」という文字が気になったことはありませんか?この副産物とは何なのか、安全性や栄養面なども含め、くわしく解説します。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

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そもそも「副産物」って何だろう?

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キャットフードの原材料で目にすることがある「鶏(家禽)副産物」や「肉副産物」。いったいどのような部位なのでしょう。食用の家禽や家畜の体で「肉」と定義されている部分、それは正肉(しょうにく)の部分です。それ以外の部分を総称して「家禽副産物」「肉副産物」と呼びます。このうち家畜については、革製品などに使われる原皮をのぞいた部分を「副生物」ということもあります。
副産物の中で多いものは「内臓」
では、副産物の中で多くの割合を占めるものはというと……実は「内臓」です。レバー(肝臓)、タン(舌)、ハツ(心臓)、ミノ(牛の第一胃)、センマイ(牛の第三胃)、マメ(腎臓)、テール(尾)、コブクロ(豚の子宮)など、一般的には「モツ」や「ホルモン」と呼ばれ、専門店があるなど焼肉でも人気ですよね。このように「肉副産物」には、わたしたちがふだん口にしている部位も多く含まれているのです。

たとえば食生活の上で鉄分やビタミンが多く含まれている食材を摂ろうと意識したときに、レバーなどを選ぶ場合がありますよね。このように家禽や家畜の部位によって、栄養価の特徴は異なります。副産物には、正肉=筋肉組織の肉よりも、さまざまな栄養素を含んだ部位がたくさんあるのです。

食べられないところや不衛生な部分は使われていない?

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キャットフードに適した部位を使用
「家禽副産物」「肉副産物」という分類は「正肉」以外すべてを指すわけですから、当然多くの部位が該当します。とはいえ、原材料に「副産物」と記されているからといって、それらすべてがキャットフードに使われているというわけではありません。キャットフードに適した部位を、「ペットフード安全法」にのっとって清浄に処理した上で使用しています。

主な部位としては「家禽副産物」であれば心臓(ハツ)や砂肝、肝臓(レバー)など。ほかの内臓や頭、脚を含んでいる場合もあります。「肉副産物」の場合は肺、脾臓、腎臓、脳、肝臓、血液、骨、脂をとったあとの脂肪組織や、内容物を含まない胃や腸などが使われています。食用に適さない部分を処分するためにペットフードに使用しているかのように言われることがありますが、実際には、そのようなことはありません。

安全性・衛生面は法律で厳しく管理
衛生面についても、大腸菌などの病原微生物に汚染された原材料を使用することがないよう「ペットフード安全法」で厳しく監視されています。キャットフードの製造過程においても何度も加熱処理が行われますので、製品内に影響が残ることはありません。

「カビ毒」「残留農薬」「重金属」「使用上の注意が必要な添加物」なども「ペットフード安全法」で基準・規格が定められており、キャットフードのメーカーや輸入業者にはそれを遵守する責任があります。

キャットフードは「ペットフード安全法」で守られている

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「ペットフード安全法」とは
先ほど述べた「ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」とは、ペットフードの安全性を確保し、犬や猫の健康を守って、動物愛護に寄与することを目的とした世界でも類を見ない法律のことです。製造方法や成分規格のほか、原材料の収集方法も厳しく定められていて、国の指示により「独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)」が管理しています。立ち入り検査や製品検査のほか、原材料についても調査を行っており、ときには抜き打ちで行われることも。

製造・輸入企業は届け出が義務付けられている
また、この法律の遵守を徹底するため、ペットフードの製造者や輸入業者は、事業者として国へ届け出ることが義務付けられています。ペットフードのパッケージにも、必ず法律が定めた一定の項目が記載されているほか、原材料の調達や製造、流通のトレーサビリティー(流通経路の追跡可能性)を確保するため、製造・輸入、販売に限らず、試供品として配ったものも含めて、ペットフードの名称や数量を帳簿に記載することを義務化しています。

法律による規制や検査が徹底されているので、粗悪なものや規格を満たしていないもの、あるいは不適切な製法で作られたキャットフードが見つかれば、製造企業や輸入販売した企業は責任を問われます。安全でないものを生産して実際に健康被害が起きれば、消費者はもちろん企業にとってもマイナスでしかありません。そのため、製造企業や輸入業者は、法や規格の遵守に努めているのです。

猫はもともと「さまざまな部位」を食べている

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猫本来の食生活とは
「家禽副産物」「肉副産物」について、その安全性はもちろんのことですが、注目したいのはさまざまな部位が含まれていることによる「栄養バランス」の良さです。

猫はもともと狩猟動物。ですから、狩りをして仕留めたネズミや虫などの小動物は、そのままほとんど食べてしまいます。昆虫や爬虫類であればまるごと食べますし、ネズミや小鳥であっても、細かな骨や羽根・皮などはバリバリと噛み砕いて飲み込んでしまいます。つまり猫は、筋肉組織である正肉や、ビタミン・ミネラルの豊富な肝臓などだけではなく、もともとさまざまな部位を食べる生き物であり、そうすることでいろいろな栄養素を摂取してきたのです。

さまざまな栄養素が含まれる良さ
そのように猫本来の食性を考えると、副産物も含めて摂取することが自然であるといえるかもしれません。そしてさまざまな栄養素を豊富に含んでいる副産物が、栄養バランスに優れたフードを作る上で重要な原材料になる可能性があることがわかります。

キャットフードは、猫が健康を維持するために必要なエネルギーや栄養素などを考慮し、さまざまなコンセプトで製造されています。それぞれのキャットフードの目的に合った栄養バランスを実現するために、正肉と副産物を使い分けて調整しているのです。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
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