「愛猫が目薬を嫌がる」とお悩みの飼い主さんも多いようです。そこで今回は、猫の目薬(点眼薬・眼軟膏(がんなんこう))をさすコツについて、写真つきでわかりやすく解説します。まずは、猫の目薬の種類について解説するので、参考にしてみてください。
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猫の目薬の種類は? 市販薬を使ってもいいの?
猫の目薬には点眼薬と眼軟膏の2つのタイプがありますが、猫の目の病気の治療では、点眼薬を処方されるケースが多い傾向があります。
例えば、猫が結膜炎や角膜炎にかかった場合には、消炎剤(抗炎症剤)と抗生剤(抗生物質)の点眼薬を処方されるのが一般的です。消炎剤は炎症を鎮めて腫れをとり、抗生剤は細菌感染や二次感染を防ぐ効果が期待できます。
また、角膜損傷(外傷)や角膜潰瘍の際には症状に応じて角膜の保護・修復作用のある点眼薬が処方されるほか、猫カゼなどウイルス性の病気に伴って発症した場合は、抗ウイルス作用をもつ薬剤を目薬に入れて処方されることもあるでしょう。
猫の結膜炎に関する詳しい情報は、以下の記事を参考にしてください。
眼軟膏が処方されるケース
猫が点眼(目の中に液体を入れること)をどうしても受け入れない場合は、眼軟膏が処方されることもあります。また、眼軟膏は患部に長くとどまるというメリットがあるため、頻回の点眼が難しい状況で有効成分を長くとどめたいなどの際に、処方されることもあるでしょう。
市販薬は避けたほうが無難
猫の目薬には、動物病院で処方される動物用医薬品のほかに、ネットやペットショップなどで購入できる市販薬もあります。しかし、市販薬は効果が出にくい場合もあるので、あまりおすすめできません。
猫の目に異変があるときは必ず動物病院を受診し、獣医師に処方された目薬を使用するようにしましょう。
ではさっそく、点眼薬・眼軟膏のさし方のコツを見ていきましょう。
猫に目薬(点眼薬)を投与するコツ
顔を支えて上まぶたを引き上げる
(1)猫の背後にまわり、手のひらを使って猫の顔をしっかりと支えます。
(2)親指で上まぶたを軽く引き上げましょう。
上まぶたと白目の間に1滴落とす
(3)上まぶたと白目の間を狙って、目から1cmほどのところから1滴落とします。
点眼薬は猫から見えにくい方向から投与するのがポイント。また、直後に猫の好きなおやつを与えると、目薬にいい印象をもつこともあるので、試してみてもいいですね。
猫に目薬(眼軟膏)を投与するコツ
チューブから直接つける方法
(1)チューブの先に軟膏を1~2mm出します。出しすぎに気をつけましょう。
(2)そのまま上まぶたの裏に軽くのせるようにしてつけます。
眼軟膏をつけるときは、チューブの先で強くこすらないように注意してください。
綿棒を使う方法
(1)綿棒の先のほうに、軟膏を1~2mmのせます。
(2)綿棒は猫の目に対して横にして近づけ、上まぶたの裏にそっとつけます。
このとき、猫の見えない方向から綿棒を近づけるのがポイントです。
なお、眼軟膏をつけるときに猫が動いてしまう場合は、1人が支える役・もう1人がつける役と、2人がかりで行うといいでしょう。
猫の気になる目の症状Q&A
猫の目の異変は、何となく見ているだけでは気づかないことが多いもの。ここでは、気になる猫の目の症状に関するQ&Aをご紹介します。
Q.猫の目に小さなゴミが入っていたら?
A.猫自身が気にしていなければ、いずれ涙と一緒に出てくるのでそのままでも大丈夫です。前足で触るなど気にする様子が見られたら動物病院を受診しましょう。
Q.猫の目の病気って人にもうつるの?
A.基本的に猫から人にうつるものはありません。しかし、猫同士ではくしゃみや鼻水などの飛沫や舐め合ったとき、噛み傷などから感染することもあるので注意が必要です。
Q.ときどき涙が出ているのですが……
A.猫の体質によっては、異常がなくても涙が出やすい猫もいます。しかし、たびたび涙が出るようなら、角膜に傷などがついていることもあるので、動物病院で調べてもらうと安心ですね。
人間用の目薬はNG! コツをつかんで目薬上手になろう
飼い主さんのなかには、愛猫の目の不調のときに「人間用の目薬や、以前動物病院で処方してもらった目薬を使えないかな?」と考えるかたもいるかもしれませんが、いずれにしても、飼い主さんの判断で目薬を使うのやめましょう。
たしかに、動物病院では人間用の眼科薬を処方されることがありますが、獣医師の指示に基づいて処方されています。また、傷の有無など、症状によって逆に悪化させてしまうこともありますし、年齢によって使わないほうがいい成分が含まれていることもあります。
猫に目薬を投与するときは、必ず獣医師の指示されたものを使い、猫が痛みや不安を感じないように、ご紹介したポイントを参考にしてみてください。
参考・写真/「ねこのきもち」2018年2月号『症例写真でよくわかる!猫がかかりやすい目の病気』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/ハセベサチコ
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。