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【獣医師監修】猫の目やにの原因 考えられる病気や取り方、対処法を解説

猫の目やには病気などのサインであるケースもあるので注意が必要です。今回は、猫の目やにの原因や、目やにが異常かどうかを判断する方法、目やにを引き起こす主な病気、目やにの取り方・対処法などについて解説します。

佐藤 貴紀 先生

 獣医師
 目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院顧問
 VETICAL動物病院(オンライン相談)
 慶應義塾大学大学院経営管理研究科

●経歴:
麻布大学獣医学部卒業
西荻動物病院副院長
日本獣医生命科学大学獣医内科学教室研修生
dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長
株式会社FORPETS設立 白金高輪動物病院院長
株式会社FORPETS代表取締役
JVCC動物病院グループ代表取締役
株式会社WOLVES Hand取締役

●資格:獣医師/獣医循環器認定医

●所属:日本獣医循環器学会

●主な診療科目:循環器科

●書籍:『いぬのココロがわかる本』ぶんか社文庫/『お仕事熱血ストーリー 感動する仕事!泣ける仕事!第2期』学研/『教えて!獣医さん 犬の悩みなんでも相談室』学研プラス/『猫の急病対応マニュアル』鉄人社『動物たちのお医者さん』小学館ジュニア文庫『犬の急病対応マニュアル』鉄人社

●SNS:公式Facebook公式ブログ公式TwitterYouTube『名医のいる相談室』

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猫の目やにの原因とは?

かわいい猫、選択と集中のビューを閉じます。
quantum40/gettyimages
目やにとは、ムチンを主成分とする粘液に、結膜という、まぶたの裏の、白目部分を覆う粘膜部分と、黒目部分の角膜からの老廃物や血液成分、そして目に付着したチリやほこりなどが混ざってできたもので、医学用語では「眼脂(がんし)」と呼ばれています。

目やにが出る原因はさまざまですが、目頭や目尻に少量の目やにが付着している程度であれば、目に入った汚れを体外に出す生理的な働きによるものなので心配いりません。しかし、目やにの量が多い場合や、色のついた目やにや、ドロッとした目やにが出ているときは、病気やケガが原因のケースもあるので注意が必要です。

猫の目やにが異常かどうか判断するポイント

金髪の女の子は灰色の縞模様の若いスコットランドの猫とベッドに横たわっている
Evgeniya Kurilova/gettyimages
猫の目やにが病気やケガが原因かどうかを判断するときは、以下の特徴を参考にするといいでしょう。

正常な猫の目やにの特徴

正常な猫の目やには、乳白色・赤褐色~こげ茶色をしていて、少量で固まっているか、固まっていなくても1日1回ふき取る程度です。

注意が必要な猫の目やにの特徴

黄色~緑色もしくは正常な目やにとは違う色をしているときは要注意。色以外にも量が多かったり、粘り気があったりする場合も病気の疑いがあります。なお、両目に見られるときは感染症が、片目だけの場合は外傷や異物の混入が原因である可能性が考えられるでしょう。

生まれつき目やにが出やすい描種も

ちなみに、生まれつき目やにが出やすい描種もいます。例えば、ヒマラヤンやペルシャ、エキゾチック・ショートヘア、スコティッシュフォールドなどの短頭種は、顔の構造上鼻涙管が詰まりやすく、涙が止まらない、涙やけといった症状がみられ、そこに細菌感染が起こり目やにが出やすい傾向に。気になる様子が見られたときは、動物病院で診てもらいましょう。

目やにの症状が出る主な猫の病気

ハッピーベンガル猫は、女性の手でストロークされているのが大好き
NiseriN/gettyimages
目やにの症状が見られる主な猫の病気は、以下のとおりです。

猫カゼ(猫風邪)

猫カゼとは、ヘルペスウイルスが原因の「猫ウイルス性鼻気管炎」や、カリシウイルスによって引き起こされる「猫カリシウイルス感染症」、クラミジアなどの細菌による「猫クラミジア感染症」などの総称です。くしゃみや鼻水など、人の「風邪」のような症状が見られることから、このように呼ばれています。

上記の症状のほか、猫カゼにかかると、目のかゆみや涙、目やになどの症状が見られ、結膜炎や角膜炎といった目の病気を発症するケースも。猫カゼに関する詳しい情報は、以下の記事を参考にしてください。

鼻炎

鼻炎とは、鼻の粘膜が炎症を起こした状態のこと。主に鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの症状が見られます。猫の鼻炎では、ウイルス感染、真菌感染や細菌感染、腫瘍、異物、歯周病などが原因と考えられ、ウイルス感染の場合は目やにの症状も見られるでしょう。

アレルギー

猫も人のようにアレルギーを発症することがあります。アレルギーの症状は原因(アレルゲン)によって異なりますが、目やにが出たり涙を流したりするほか、目が腫れたりする場合も。

猫が発症するアレルギーとしては、ハウスダストアレルギーや花粉症、食物アレルギーなどが挙げられます。詳しい情報は以下の記事も参考にしてみてください。

結膜炎・角膜炎

結膜炎

結膜炎とは、まぶたの裏側にある粘膜(=結膜)に炎症が起こる病気です。猫カゼなどのウイルス性の病気に伴って発症するほか、異物の混入やアレルギーなどの免疫異常、角膜炎や流涙症(りゅうるいしょう)といったほかの病気などが原因で発症することもあります。

角膜炎

目の表面を覆っている透明な膜を角膜といい、ここに炎症を起こす病気が角膜炎です。原因の多くはほかの猫とのケンカなどによるケガですが、猫カゼに伴い結膜炎と角膜炎を併発することもあります。

猫が結膜炎・角膜炎になるとこんな症状が出る

なお、結膜炎や角膜炎は猫がかかりやすい目の病気といわれています。猫が結膜炎・角膜炎になると以下のような症状があらわれますので、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
目やにが大量に出る
目やにが出ている猫
参考・写真/「ねこのきもち」2018年2月号『症例写真でよくわかる! 猫がかかりやすい目の病気』
黄色や緑色の目やにや、ドロッとした目やにが大量に出るほか、目やにが乾いて目が開かなくなることもあります。また、血の混じった赤い目やにが出る場合も。
目が充血する
目が充血した猫
参考・写真/「ねこのきもち」2018年2月号『症例写真でよくわかる! 猫がかかりやすい目の病気』
炎症を起こして充血すると、目の周囲の皮膚が赤くなったり、白目全体に血管が浮き出て赤くなったりします。また、白目の一部が赤くなることもあるでしょう。
涙が止まらない
涙を流す猫
参考・写真/「ねこのきもち」2018年2月号『症例写真でよくわかる! 猫がかかりやすい目の病気』
結膜や角膜に炎症が起こると、目を守ろうとする反応から、両目または片目から涙が止まらなくなることがあります。
目を開けにくそうにする
目を開けにくそうにする猫
参考・写真/「ねこのきもち」2018年2月号『症例写真でよくわかる! 猫がかかりやすい目の病気』
目が腫れたり痛みを感じたりすると、猫は目を開けにくそうにするほか、目を細めたり、ショボショボさせたりすることがあります。

結膜炎・角膜炎の詳しい症状や治療法などに関する情報は、下記の記事をご覧ください。

その他目やにの症状が見られる病気

上記のほかにも、ドライアイ(乾性角結膜炎)や流涙症、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)、ブドウ膜炎などの目の病気にかかると目やにの症状が見られます。
猫の目の病気は、早期に治療すれば改善が見込めるものも多いので、猫の目に異変を感じたときは、速やかに動物病院を受診しましょう。

猫の目やにの取り方・対処法

あなたの手のひらは慎重にシャムの顔を受け入れます
anna avdeeva/gettyimages
猫に目やにの症状が見られたら、目やにを拭き取り、目のまわりを清潔に保ってあげることも大切です。また、目やにの原因が病気やケガの場合は、猫が目をこするなどして悪化させないよう、エリザベスカラーで保護してあげる必要もあるでしょう。

目やにの取り方

  1. 38℃程度のぬるま湯を用意してカット綿(化粧用コットン)またはガーゼを浸し、水が滴らない程度に、指先でギュッと絞ります。
  2. 人差し指に湿らせたカット綿をのせ、猫の目頭の下側をそっと押さえましょう。
  3. そのまま鼻のほうへスライドさせるように、サッと目やにを拭き取ってください。
  4. 少量のカサカサした目やになら、乾いたコットンを使って拭いてもOKですよ。


ほかにも、動物病院でもらう消毒液や生理食塩水にガーゼを浸して、目のまわりを拭く方法もあります。目やにを取るときは、猫の体を背後から包み込むように支えてあげると動きをセーブできるので、安全に拭くことができるでしょう。

エリザベスカラー装着の注意点

エリザベスカラーは、猫が患部を触ったりなめたりしないようにする、プラスチック製の保護具です。しかし、エリザベスカラーをつけると視野が狭くなるため、猫にとってはストレスになったり、パニックを引き起こしたりするなど、日常生活に大きく影響することも少なくありません。

最近では、猫の負担になりにくいやわらかい素材のものやクリアなエリザベスカラーも販売されているので、目元の状況や猫の性格などを考え、獣医師と相談して対策してください。

人間の目薬はNG! 愛猫の目やにに困ったらすぐ獣医師に相談を

茶色の背景に女性の手と灰色の縞模様の猫。
Kseniia Soloveva/gettyimages
猫の目の不調に対して「人間の目薬で対処できないかな?」と考えてしまう人もいるようですが、人間用の目薬を猫に使用するのはNGです。市販の目薬はさまざまな成分が配合されており、猫には刺激が強すぎるものがあるほか、かえって悪化させてしまう目薬もあります。まずは目やにの原因が特定されなければ解決にはつながらないので、必ず獣医師の診断を受けて、適切な治療を受けるようにしましょう。
なお、猫の目薬については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

ねこのきもちWEB MAGAZINE「病気・症状データベース(目)」

参考・写真/「ねこのきもち」2018年2月号『症例写真でよくわかる! 猫がかかりやすい目の病気』
      「ねこのきもち」2020年5月号『5月10日はコットンの日! ねこにも地球にもやさしい コットン拭きでササッとかんたん愛猫ケア』
監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院 循環器担当)
文/ハセベサチコ
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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