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猫の「胃腸炎」をケアするには?  獣医師が解説します!

猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について重本先生が回答! 

今回は愛猫が「胃腸炎」にかかったときどうすればいいか、日頃のケアのしかたかをご紹介します。

重本 仁 先生

 獣医師
 王子ペットクリニック院長
 宮崎大学農学部附属動物病院所属

 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医臨床病理学研究室卒業
 現在 日本獣医生命科学大学獣医外科学教室研究生
 宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科(博士課程)
 宮崎大学と共同で先天性門脈体循環シャントの腹腔鏡での術式の研究と開発を行う

●資格:獣医師

●所属:日本小動物内視鏡推進連絡会推進委員/日本獣医再生医療学会理事/日本獣医内視鏡外科研究会東京都獣医師会北支部副支部長 防災/獣医神経病学会日本獣医がん学会日本獣医麻酔外科学会日本小動物歯科研究会/光線温熱療法(PHT)研究会/日本小動物血液透析協会(JSAHA)

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季節の変わり目は要注意! 下痢や嘔吐が起こる病気

胃腸炎は、胃や腸に炎症が起こる状態をいい、猫の胃腸のトラブルのほとんどを占めています。多くのケースで嘔吐か下痢、もしくは両方の症状が現れたり、食欲不振に陥ったりします。その原因は、フードの変更、刺激物や異物の誤飲、薬による中毒などのほか、寄生虫、ウイルスや細菌、食物アレルギーなどさまざまなことが考えられます。また、季節の変わり目など寒暖差が大きいと体に負担がかかり、胃腸炎を引き起こしやすくなります。

愛猫が嘔吐や下痢をした場合は、動物病院で受診し、検査・治療を。胃腸炎には突発的に起こる「急性」と長期にわたって続く「慢性」があり、急性胃腸炎など「急性」であれば、投薬や点滴などの治療を行います。投薬期間中も、トイレの回数や猫の様子をこまめにチェックしましょう。「慢性」の場合は、炎症性腸疾患などほかの病気の可能性が。完治が難しく、継続的な治療やケアが必要になることがあります。
画像/2020年4月号「ねこの病気、そこが知りたい」
急性胃腸炎になった猫のレントゲン写真。急性胃腸炎になると細菌の発生や腸管の運動が悪くなることでガスが発生。それにより苦しくなって嘔吐をしたり、消化不良で下痢をしたりします

胃腸炎でこんな体験をしました

ある日、食欲が減り、大好物のフードも食べなくなりました。動物病院で「腸内細菌のバランスが崩れているので、このままだと下痢をするかも」と言われ、抗生剤と整腸剤を処方されました。幸い3日後に食欲が戻ってきました。

――岩手県 N・Yさん/福太朗くん(オス・3才)
大好物のフードを口にしなくなったほか、抱っこしたとき、聞いたことのない大声で鳴き、嫌がったので「どこか悪いところがあるのでは?」と動物病院で受診。「急性胃腸炎でしょう。腸内細菌のバランスが崩れているので、このままだと下痢になるかも」と診断され、1週間分の抗生剤と整腸剤を処方してもらいました。薬のおかげで下痢などの症状は出ませんでした。投薬後2日間で、おやつを少しずつ食べるようになり、3日後には食欲がふだん通りに戻りました。
画像/2020年4月号「ねこの病気、そこが知りたい」
大好物のフードを出しても、まったく食べようとしない福太朗くん

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」

腸内にある細菌のバランスが崩れるのはどうしてでしょうか。バランスが崩れるのを予防する方法はありますか?

腸内細菌のバランスが崩れると 胃腸炎になることも

腸内にはさまざまな細菌が常在していて、こうした細菌のかたまりがまるで叢(くさむら)のように見えることから「腸内細菌叢(そう)」や「腸内フローラ」と呼ばれています。

腸内細菌叢は、複数の細菌が一定の数で常在し、バランスを保っていますが、猫がなんらかのストレスを受けたりして免疫力が落ちると、特定の細菌が増えるなどして細菌叢のバランスが崩れることが。有害な菌が増殖すると、これが原因で胃腸炎になり、下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。整腸剤などを服用することで治癒できますが、なかにはストレスに敏感で、急性胃腸炎になりやすい猫もいます。そうした場合は、腸内細菌の一種である乳酸菌などを成分とするサプリメントを服用してもよいでしょう。腸内細菌叢のバランスを保つ一助になると考えられています。

画像/2020年4月号「ねこの病気、そこが知りたい」
先生、ご回答いただきありがとうございました。
ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。いざというときに思い出し、役立ててくださいね。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/2020年4月号『猫の病気、そこが知りたい!』
文/犬神マツコ
イラスト/上垣厚子
※この記事で使用している画像は2020年4月号『猫の病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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