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猫の「結膜炎&角膜炎(角膜損傷)」をケアするには?  獣医師が解説します!

猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について重本先生が回答! 

今回は愛猫が「結膜炎&角膜炎(角膜損傷)」にかかったときどうすればいいか、日頃のケアのしかたかをご紹介します。

重本 仁 先生

 獣医師
 王子ペットクリニック院長
 宮崎大学農学部附属動物病院所属

 日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医臨床病理学研究室卒業
 現在 日本獣医生命科学大学獣医外科学教室研究生
 宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科(博士課程)
 宮崎大学と共同で先天性門脈体循環シャントの腹腔鏡での術式の研究と開発を行う

●資格:獣医師

●所属:日本小動物内視鏡推進連絡会推進委員/日本獣医再生医療学会理事/日本獣医内視鏡外科研究会東京都獣医師会北支部副支部長 防災/獣医神経病学会日本獣医がん学会日本獣医麻酔外科学会日本小動物歯科研究会/光線温熱療法(PHT)研究会/日本小動物血液透析協会(JSAHA)

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猫がかかりやすい代表的な目の病気

まぶたの裏の粘膜と白目の結膜が炎症を起こす「結膜炎」と、目の表面を覆う透明の膜が炎症を起こす「角膜炎(角膜損傷)」は、猫がかかりやすい代表的な目の病気です。「結膜炎」は、おもに猫カゼなどのウイルス性の感染症が原因で発症しやすく、「角膜炎(角膜損傷)」は、ほかの猫とのケンカによる外傷や「結膜炎」との併発などが原因となります。

「結膜炎」の症状は、充血したり、目の周囲が赤くなったりします。また、涙が増えたり、粘り気のある黄色や緑色っぽい目ヤニが大量に出たりすることも。「角膜炎(角膜損傷)」
の症状は、「結膜炎」と似ていますが、角膜に傷が付いている場合は痛みが強い傾向にあり、目をショボショボさせるなど開けにくそうにしていることが多いです。

治療はどちらも炎症を抑える点眼療法を中心に改善を目指します。予防は、原因に直結
する猫カゼを予防する意味で定期的にワクチン接種をすることでしょう
画像/2020年5月号「ねこの病気、そこが知りたい」
猫カゼから「結膜炎」になった子猫。重症化し、目ヤニが乾いて目が開けられなくなったことで処置。目は開けられるようになったものの目頭に少し見える程度の瞬膜がつねに露出しています

角膜炎(角膜損傷)でこんな体験をしました

仕事から帰宅したら愛猫の右目が赤く、目をショボショボさせていることに気付きました。慌てて受診したところ、角膜に傷があるので、同居猫とケンカをして引っかかれたのかもとの診断。点眼薬での治療でしたが、愛猫があまりにも嫌がるので完治まで点眼し続けることが大変でした。

北海道 R・Oさん
さつきちゃん(メス・1才)
「角膜炎(角膜損傷)」の原因となるケンカが勃発したのは、新入り猫を迎えて7カ月目の昨年10月。その日は、私が珍しく夜から仕事に行くことになり、夜間2匹だけで留守番をさせました。その10時間の間にケンカになったようです。点眼薬による治療でしたが、愛猫の嫌がり方がひどく、点眼薬を服のポケットに入れて見えないようにしても、なぜか察知して部屋中を逃げまわり……。ようやく抱っこをして点眼しようとしても目を開けてくれず顔を反らすような状態。点眼治療は5日間ほどでしたが、毎日が格闘でした。
画像/2020年5月号「ねこの病気、そこが知りたい」
同居猫とのケンカによって、右目の角膜に傷が付いたさつきちゃん。それからはこまめに2匹の爪を切るようにしているのだとか

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」

警戒心が強い猫でもうまく点眼する方法やコツはあるのでしょうか? また、点眼をどうしても嫌がる猫には、ほかの治療方法はないのでしょうか?

猫をなでるなどしてリラックスさせてから 点眼すると〇。それでも 無理ならまずは内服薬で治療しても

まずは、警戒心を少しでも解くように猫を背後から優しく包み込むように抱えて、触ると喜びやすい顔まわりなどをなでてリラックスさせて。猫が充分にリラックスしてからすばやく点眼するとスムーズにできるかもしれません。また、点眼薬にいい印象をもたせるために、おやつを少し用意して、点眼する直前と直後に与えたり、点眼時も左のイラストのようにしたりしてもいいでしょう。

治療は基本的には点眼薬ですが、どうしても嫌がるなら、まずは内服薬で治療できる場合もあるので、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。
画像/2020年5月号「ねこの病気、そこが知りたい」
点眼薬を持っていないほうの手のひらで猫のあごと首を支え、点眼薬を持っているほうの手で猫の頭を押さえて。指で上まぶたを少し上げて白目を露出させて猫から点眼薬が見えないようにさすといいでしょう
先生、ご回答いただきありがとうございました。
ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。いざというときに思い出し、役立ててくださいね。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/2020年5月号『猫の病気、そこが知りたい!』
文/Betty
イラスト/上垣厚子
※この記事で使用している画像は2020年5月号『猫の病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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