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【獣医師監修】猫に大根を与えても大丈夫。大根を食べるメリットと与え方を解説

猫が大根を食べても問題ありません。大根の白い根も、緑の葉っぱも与えることができます。大根には猫の体内でよい働きをする、ビタミンCや消化酵素アミラーゼなどが含まれています。大根を与えるときは味つけせず、根は大根おろしで、葉は刻み茹でてから与えるのがおすすめです。

佐野 忠士 先生

大根や大根の葉を犬に与えていいか
Promo_Link/gettyimages

猫は適量なら大根を食べても大丈夫

大根のニオイをかぐ猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
大根には、猫にとって害のある成分はとくに含まれていないため、適量であれば白い根も葉っぱも与えることができます。

猫が大根の葉を喜んで食べるので、飼い主さんが心配することもあるようですが、食べすぎなければ基本的には問題ありません。むしろ、適量を守り、正しい方法で大根を与えれば、嬉しい栄養効果が期待できるでしょう。

大根のおもな栄養素|水分量が9割以上と豊富

大根を手でさわる茶トラ(ミックス)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

大根のおもな栄養素

大根に含まれるおもな栄養素は以下のとおりです。
大根(根/皮なし/生)※可食部100gに含まれる成分
エネルギー15kal
水分94.6g
タンパク質0.4g
脂質0.1g
炭水化物4.1g
灰分(無機質)0.6g


大根(葉/生)※可食部100gに含まれる成分
エネルギー23kal
水分90.6g
タンパク質2.2g
脂質0.1g
炭水化物5.3g
灰分(無機質)1.6g

大根(根/皮なし/生/おろし)※可食部100gに含まれる成分
エネルギー25kal
水分90.5g
タンパク質0.6g
脂質0.2g
炭水化物8.0g
灰分(無機質)0.6g

文部科学省「食品データベース」より参照

猫が大根を食べるメリット|水分補給や栄養素を補うのにおすすめ

真っ白いペルシャ
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

水分|水分補給をサポート

9割以上が水分でできている大根は、水分補給に適した食材のひとつです。とくに根の水分量は約95%と豊富で、水を進んで飲まない猫に適量を与えれば、不足しがちな水分を補給させることにつながります。

じつは猫の祖先は砂漠地帯で暮らしていたことから、水分をあまり摂らなくてもよい体の仕組みをしています。しかし体内の水分量が低下すると、腎疾患のほか、結石や膀胱炎など尿路系の疾患を引き起こすことがあるため気をつけたいもの。愛猫にこまめに水分補給させるために、水分量の多い大根を適度に与えてみてはいかがでしょう。

ビタミンC|抗酸化作用で免疫力UP

ビタミンC(アスコルビン酸)には、強力な抗酸化作用があり、活性酸素を除去して老化を防ぐ働きがあります。また、免疫力を高めて風邪を引きにくくしたり、コラーゲンを生成して皮膚などを健やかに保ったりとさまざまな役目があり、猫の健康にとっても大切な栄養素のひとつとなっています。

猫は体内でビタミンCを合成・貯蔵できる動物ですが、5歳を過ぎるとその能力が急激に落ちてくるといわれています。肝機能が衰えてくるシニア期には、「体内で作られる量だけでは十分ではない」とする研究結果もあるため、不足分を補うためにビタミンCを含む大根を与えてもよいかもしれません。

なお、水溶性ビタミンに分類されるビタミンCは水に溶けやすく、余分なものは尿として排出されます。体内に蓄積されにくく、過剰摂取によるリスクも低いため、継続して与えても問題はないでしょう。
ただし、腎機能が低下している猫が過剰摂取すると、尿から十分に排出されないこともあるので気をつけてください。

カリウム|利尿作用で毒素を排出

主要ミネラルに分類されるカリウムは、猫の健康を保つのに欠かせない栄養素です。細胞を正常に機能させて、筋肉のエネルギー代謝や神経刺激の伝達を助け、体内の水分バランスを調整するのに役立ちます。

またカリウムには利尿作用があり、過剰なナトリウムの排出が促されることから、血圧低下や脳卒中予防が期待できるといわれています。その一方で、カルシウムが尿と共に排出されるのを抑制して、骨粗鬆症を予防する効果があるのではないかと考えられています。

なお、余分なカリウムは尿と一緒に排出されますが、健康な猫でも過剰摂取すると腎臓に負担がかかります。とくに腎臓病の猫は、十分に排出できずに「高カリウム血症」になることも。カリウム値が高くなると、筋力低下や四肢のしびれ、脈拍の異常、嘔吐ほかいろいろな不調をきたし、最悪の場合は命を落とすこともあります。また、心機能が落ちている猫にも悪影響をおよぼすことがあるといわれています。

これらの疾患を持つ猫には、カリウムを含む大根は与えないようにしましょう。

アミラーゼ|消化を促す酵素

アミラーゼ(シアスターゼ)は、デンプン(炭水化物)を分解する消化酵素のひとつで、食べた物ものの消化を助ける働きがあります。猫の場合は膵臓から分泌され、十二指腸で活性化して消化を促します。
何かを見つめるラグドール
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

イソチオシアネート|解毒作用と血液サラサラ効果に期待

イソチオシアネート(アリルイソチオシアネート)は、大根をすりおろしたときに発生する辛味成分のことで、「芥子油(からしゆ)」とも呼ばれます。おもに大根やキャベツ、ブロッコリーなどアブラナ科の野菜に含まれています。

厳密にいうと、大根にイソチオシアネート自体は含まれていませんが、大根をすりおろすことで生成され効果を発揮します。

たとえば、イソチオシアネートには解毒作用や血液を循環させる作用があり、がん予防への効果が期待されています。また、血液をサラサラにして動脈硬化や脳梗塞などを予防する効果にも注目が集まっています。

なお、猫に与えすぎると辛味成分が胃腸を刺激する可能性もあるようですが、適量ならば問題ないでしょう。

大根の葉|根よりも栄養素が豊富

大根の葉、じつは根よりも栄養素が豊富で、βカロテンやカリウム、カルシウム、ビタミンKなどが多く含まれています。

カロテノイドという色素の一種であるβカロテンは、白い根には含まれない成分で、体内でビタミンAに変換されて、免疫力を高めたり、皮膚を健やかに保ったりとさまざまな働きをします。ただし、猫はβカロテンをビタミンAに変換する酵素をほとんど持たないため、βカロテンにビタミンAの働きを求めることはできません。

なお、猫がカリウムやカルシウムを過剰に摂取すると、高カリウム血症や結石などの尿路疾患や、腎疾患を引き起こすことがあるので、大根の葉は与えすぎないようにしましょう。

猫に大根を与えるときの注意ポイント|生のまま与えるのがベター

大根の葉の後ろから覗くスコティッシュフォールド
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

与えてよい部位

猫には、大根の根も葉も適量であれば与えても問題ありません。なお、根の皮は固いので避けたほうがよいでしょう。

与えるときの適量

猫に大根を与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。

大根の根(生/皮なし)
の猫体重目安1日あたりの摂取可能目安
4~5kg159g~187g

大根おろし
の猫体重目安1日あたりの摂取可能目安
4~5kg95g~112g

大根の葉(生)
の猫体重目安1日あたりの摂取可能目安
4~5kg103g~122g

※数値は、体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出

調理のしかた

猫は基本的に肉食傾向の強い動物なので、植物性の栄養素を吸収することが苦手です。消化酵素のアミラーゼは熱に弱い成分で、茹でると低下するといわれているため、加熱しないほうがよいでしょう。

栄養素を効率よく吸収させるためには、皮をむき、すりおろしたもの、もしくはおろした汁などを与えるのがおすすめです。大根おろしやおろし汁は、少量をお試しで食べさせる際にも安心な与え方といえます。

お刺身に添えられているツマも、細くカットされているので比較的食べやすいようです。ただ、ツマを与えるときは、お刺身の成分が付着していないところを与えるか、洗ってから与えるようにしてください。また生物であるお刺身は傷みやすいので、作られてから時間の経ったツマは避けたほうが無難です。

大根の葉を与える場合は、食べやすいように細かく刻んで、茹でてから与えるとよいでしょう。


なお、大根にはタンパク質が含まれているため、稀にタンパク質に免疫機能が過剰反応して食物アレルギーを起こすことがあります。初めて大根を与えるときは、大根おろしなどを少し与えてみて、猫に下痢や吐き気などのアレルギー反応が出ていないかしばらく様子を見てください。

また、砂糖や醤油、だしなどで調理した大根を与えるのはNGです。生のままか、味つけせずに茹でたものだけを与えてください。

猫に大根の根も葉っぱも、適量なら与えても大丈夫!

大根には、猫にとって有害な栄養素は含まれていないので、適量なら与えても問題ありません。大根は水分量が多く、抗酸化作用のあるビタミンCや胃腸の働きを助ける成分も含まれているので、たまに少量を与えてみるのもよいかもしれませんね。
猫には与えてはいけない食べ物があります。確認しておきましょう
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学獣医学群獣医学類准教授)
文/倉田千穂
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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