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愛猫から口臭⁉…猫の「歯肉炎」にまつわる飼い主さんの疑問|獣医師が解説します!

猫がかかりやすい病気の事は、飼い主さんならよく知っておきたいもの。この記事ではそんな病気の解説のほか、実際に体験した飼い主さんの「気になりながら聞けずにいた疑問」について重本先生が回答! 

今回は「歯肉炎」の治療法やかかりすい年齢は?といった疑問を取り上げます。
お話をお伺いした先生

重本 仁先生
王子ペットクリニック院長(東京都北区)

歯肉炎とは、歯に歯垢・歯石が付着し歯肉(歯ぐき)が炎症を起こした状態

口内で、歯の表面や歯と歯肉の間に食べ物のカスや唾液中の成分、被毛などがたまり、歯垢となります。この歯垢には細菌も含まれ、その細菌が産生する毒素などによって炎症が起きます。こうして歯肉が炎症を起こした状態が「歯肉炎」です。歯垢は唾液中のカルシウムを取り込んで石灰化して歯石となり、歯垢と歯石の蓄積は歯肉炎の原因となります。予防するには歯ブラシなどで歯周ポケットを歯みがきし、歯に歯垢が付着しないようにすることが大切です。
ちなみに歯肉炎が進行すると、歯の根元の歯槽骨などに炎症が起きる「歯周炎」になり、これらを総称して「歯周病」と呼びます。猫の場合、歯垢が歯石になる期間が1週間と短く、さらに歯みがきが苦手なことが多いもの。そのため、3才以上の猫の約8割が歯周病にかかっているというデータがあります。
画像/はなさきロージー

おもな症状

◦本来はピンク色の歯ぐきが赤くなっている
◦歯肉が腫れている
◦強い口臭がある
◦よだれが出ている

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」① 

子猫なのに口臭がきつく、歯ぐきが赤く見えたので受診。
歯肉炎と診断され、乳歯の生え変わりの時期だったので2本抜歯しました。
どのような猫が若くても歯肉炎になりやすい?
また、初期に気付くポイントも知りたいです。

千葉県 K・Kさん
クウくん(オス・2才)

※歯肉炎と診断されたのは5カ月齢当時。

猫カゼにかかったことのある猫はリスクが高い傾向に。大半は食事中に気付きます

生後3カ月頃から、乳歯から永久歯への生え変わりが始まりますが、この時期に歯肉が赤くなったり、口臭がきつくなったりすることがあります。これは自然な現象なので、生え変わりが落ち着けば症状もなくなります。ただ、乳歯と永久歯が重なって生えると、歯肉炎になりやすいため、クウくんは乳歯を抜いたのでしょう。歯肉炎になる原因として、猫カゼにかかった経験のある猫は、若くても歯肉炎になりやすいと考えられています。
飼い主さんが気付くポイントとしては、まず変化が表れるのは食べ方です。歯肉の炎症部分にフードがあたると痛むため、食べるスピードが遅くなります。また、口臭がきつくなって異変に気付くケースも多いでしょう。
イラスト/はなさきロージー
歯肉炎のある猫は痛みをこらえながら、食事をするケースも。そのため、口からフードをポロポロこぼしたり、食べながら首を振ったり、鳴き声をあげることもあります

飼い主さんからの疑問「そこが知りたい」②

歯ぐきが赤く腫れたため受診すると歯肉炎でした。
歯みがきするように獣医さんより指示され、
以来歯みがきシートでケアをしているものの、
赤みは残っており、強い口臭が気になります。
何か別の治療法はありませんか?

埼玉県 Y・Yさん
のりこちゃん(メス・8才/ノルウェージャンフォレストキャット)

※歯肉炎と診断されたのは6才当時。

痛みを抑える内科的治療と、歯垢・歯石を除去する外科的治療が有効です

歯肉炎のある猫は、口内の細菌がつくりだす物質により、強い口臭がする傾向にあります。のりこちゃんは口臭が改善しないようですが、治療法としては抗生剤や、炎症・痛みを抑えるステロイド剤などを投与するのが一般的です。軽度の場合は、これらの治療で改善するケースもあります。
なお、歯肉炎が進行して歯の表面だけでなく、歯と歯肉の間に歯垢・歯石がたまっている場合は、全身麻酔をした上で歯石除去が必要です。キュレットとスケーラーという機械によって歯垢・歯石を除去し、一旦歯をキレイな状態に戻して、歯肉炎の再発を防ぎます。
画像/はなさきロージー
歯垢・歯石除去は全身麻酔が必要なため、事前に動物病院で健康状態のチェックが行われます。専用の機械で歯垢・歯石を除去後、歯と歯ぐきの間を洗浄し、歯の表面を研磨。およそ1時間で終了します
先生、ご回答いただきありがとうございました。
ご紹介した飼い主さんのエピソードは、あなたの愛猫に起こる可能性もあります。
いざというときに思い出し、役立ててくださいね。
お話を伺った先生/重本 仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2021年10月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』
文/はなまさ
イラスト/はなさきロージー
※この記事で使用している画像は2021年10月号『ねこに多い病気、そこが知りたい!』に掲載されているものです。
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