猫と暮らす
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【獣医師監修】猫のトイレ・排泄ケアのポイント お悩み解消法も紹介
猫はとてもきれい好きで神経質な動物なので、トイレが清潔でないとストレスを感じてしまいます。今回は、猫にとって快適なトイレ環境を作るためのポイントや、トイレに関するお悩みの解消法などを解説します。
長谷川 諒 先生
株式会社Ani-vet 代表取締役
保護猫施設専門往診病院 下京ねこ診療所 院長
動物病院京都 ねこの病院 所属獣医師
北里大学獣医生化学研究室 研究生
●所属:日本猫医学会/日本獣医腎泌尿器学会
●書籍(監修):『知っておきたい ネコの多頭飼いのすべて 獣医師が教える 幸せに暮らすためのポイント』メイツ出版 /『いちばんよくわかる猫種図鑑 日本と世界の60種』メイツ出版
猫のトイレ・排泄ケアのポイント
猫にトイレのしつけは必要?
もし、その猫自身の排泄臭のついたトイレ砂を以前の飼い主さん・保護主さんからもらうことができれば、設置するトイレ砂の中に混ぜておきましょう。猫は自分の排泄臭がする場所をトイレと認識して、よりスムーズにそのトイレで排泄するようになるでしょう。
もし粗相をしたら、そのオシッコを拭いたティッシュをトイレに置いておくと、トイレと認識するようになります。
猫はどんなトイレ環境が好きなの?
猫にとって快適なトイレ環境を作るポイントは7つです。
【1】トイレは毎日掃除する
トイレ砂の交換もパッケージに記載されている目安期間を超えないようにしましょう。清潔なトイレ環境は重要ですが、ある日突然新しい容器や違うタイプの砂に変わっていると、猫は不安になります。新しい容器や砂に慣れるまでは古いものも残して置きましょう。
【2】猫の好むトイレ砂を見つける
【3】猫がいつもいる場所にトイレを置く
【4】猫の排泄中はあまり近づかない
【5】排泄物はなるべく早く片付ける
日中に留守にすることが多く難しい場合は、トイレの数を増やして猫自身がきれいなトイレを選べるようにすると、ストレスなく排泄できます。
【6】トイレを定期的に丸洗いする
【7】トイレを静かで暗いところに置く
なるべく人が通らない、部屋の隅など囲まれているところがベターです。
猫のトイレに関するお悩みQ&A
【A】フチが高い野菜洗い用の容器の中にトイレを置くようにすると、容器がカバーとなって排泄物が飛び散らず、ずいぶん楽になるでしょう。
【Q】排泄後、足の指に挟まったトイレ砂をトイレの外に出てから落とすため、トイレのまわりに砂が飛び散ることがあります。
【A】細かい粒から大粒の砂に替えると砂が足の指に挟まらず、飛び散らせなくなるでしょう。猫は排泄物のニオイを消し、敵に居場所を知られないようにしていた習性があります。激しくかく行為は、不安を消し、安心感をアップさせるためのものでしょう。
【Q】これまでトイレで排泄していた猫が、トイレ以外の場所で粗相をするようになりました。
【A】粗相があった場合、多くは何かしら理由があります。まずは、きれいなトイレ環境を整えることが大切です。粗相は、猫がトイレ環境に不満をもっていることが原因の場合が多いです。ですから、家のトイレ環境や猫の状況に応じて、トイレの掃除やトイレ砂の素材、置き場所、個数などを見直す必要があります。また、病気のサインの場合もあるので、受診したほうがいいケースもあります。
【Q】長毛猫で排泄物がお尻の毛に付きがちなのですが、お尻を拭いてもいいものでしょうか?
【A】猫は、基本的には排便のたびにお尻を拭かなくてOKです。
拭かれることにストレスを感じ、ウンチを我慢する可能性もあります。猫の性格にもよりますが、捕まえられてお尻を拭かれることにストレスを感じる猫は少なくないでしょう。とくに、ウンチのあとすぐにお尻を拭かれる経験を繰り返していると「トイレでウンチをすること」と「お尻を拭かれること」を結び付けて覚える可能性大。その結果、ウンチを我慢して便秘になるなど健康を害したり、トレイ以外の場所で隠れてウンチをしたりするようになるおそれもあります。
猫は通常、とてもキレのよいウンチをしますし、自分で舐めてきれいにするので、拭く必要はありません。長毛の猫でお尻周りの毛が汚れやすい場合は、トリミングの際にお尻周りの毛をカットしてもらいましょう。高齢の猫や病気の猫は、汚れが付いている場合のみ、湿らせたコットンなどでやさしく拭きましょう。
どんな問題も鍵を握るのはトイレの状態です。
猫のトイレトラブルの相談を受けた時、お宅の環境やトイレの状態を実際に見て、アドバイスすることがあります。その経験から、猫のトイレトラブルをなくすには、できるだけこまめに掃除をして、清潔に保つことに尽きると思います。
こまめに掃除をすると、猫がストレスなく排泄できるだけでなく、愛猫の排泄シーンや排泄物を目にする時間も自然に増えます。異変に気付きやすくなるのもメリットでしょう。
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文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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