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【専門家監修】猫に散歩は必要?室内飼いのコツと散歩させる場合の注意点

猫の散歩は絶対必要というわけではありませんが、外が好きな猫にとっては散歩が良い刺激になることもあります。今回は、室内でも猫にストレスを感じさせないコツと、散歩に出す場合の注意点を解説します。

佐藤 貴紀 先生

 獣医師
 目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院顧問
 VETICAL動物病院(オンライン相談)
 慶應義塾大学大学院経営管理研究科

●経歴:
麻布大学獣医学部卒業
西荻動物病院副院長
日本獣医生命科学大学獣医内科学教室研修生
dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長
株式会社FORPETS設立 白金高輪動物病院院長
株式会社FORPETS代表取締役
JVCC動物病院グループ代表取締役
株式会社WOLVES Hand取締役

●資格:獣医師/獣医循環器認定医

●所属:日本獣医循環器学会

●主な診療科目:循環器科

●書籍:『いぬのココロがわかる本』ぶんか社文庫/『お仕事熱血ストーリー 感動する仕事!泣ける仕事!第2期』学研/『教えて!獣医さん 犬の悩みなんでも相談室』学研プラス/『猫の急病対応マニュアル』鉄人社『動物たちのお医者さん』小学館ジュニア文庫『犬の急病対応マニュアル』鉄人社

●SNS:公式Facebook公式ブログ公式TwitterYouTube『名医のいる相談室』

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室内飼いはストレスが溜まる?

キャットタワーの上にいる猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

室内飼いを決めたら徹底して

小さい頃から室内で育ち、自分の縄張りが家の中だけだと認識している猫は、たとえ外を見ていても、中に侵入してくるものがいないか見張っているだけだと言われています。しかし一度でも外に出たことのある猫は、窓から見える範囲も自分の縄張りだと認識し、外に出たがって鳴くことがあるようです。

外に出たがっている猫を鳴くのを止めさせるのは難しいですが、室内で飼うことを一度決めた場合は「室内飼い」を必ず徹底するようにしてください。

室内飼いでもストレスや運動不足にならない方法

完全に室内飼いにすると決めたら、猫が安全に楽しく過ごせるような環境を作るとよいでしょう。猫には本来、単独で獲物を捕まえるハンターとしての本能が備わっています。

室内では狩りができないので、棒付きおもちゃを用いて狩りの本能を駆り立てる遊びを取り入れたり、キャットタワーやトンネルを用意して猫が運動できるようにしたりするなど、室内でもストレスが溜まらず満足できるように、工夫してあげてくださいね。

脱走を防ぐためにできること

猫が脱走するきっかけで多いのは、窓や玄関から出てしまうケースです。ドアを開けると同時に外に出てしまうこともあるため、家族全員が玄関や窓の開閉に気をつける必要があります。また暑い季節は、窓を開けて網戸だけの状態にしている家庭も多くあると思います。網戸は猫が開けたり破ったりしやすいので、ストッパーをつけたり柵を取り付けたりするなど、脱走できないように対策しておきましょう。

猫に散歩は必要?

ハーネスをつけた猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

必須ではない

猫に散歩が必要かどうかは賛否両論で、専門家の間でも意見が分かれるところです。前項でもお話したように、猫は室内飼いが基本ですので、猫に散歩は必要ではありません。

家の外は猫にとって危険な場所

家の外は、猫にとってリスクの高い場所です。交通事故に遭ったり猫同士のケンカに巻き込まれたり、感染症をもらってきたりする可能性があるためです。また、きちんとリードを握っていないと、急に走り出して迷子になってしまう恐れもあります。猫が外に興味がなく外出を嫌がるようであれば、無理に連れ出すことはないでしょう。

外に出たがるようなら安全な場所で散歩を

何年か外で育ったことのある猫や好奇心が強い猫は、外に出たがる傾向にあるため、安全な場所で散歩をさせてあげるのもよいでしょう。また、動物福祉の観点から動物本来の暮らしを推奨する、「環境エンリッチメント」という言葉もあります。エンリッチメントとは「豊かにする」という意味で、動物の暮らしを心身ともに豊かにするという考え方です。外が好きな猫にとっては散歩中の自然との触れ合いが刺激になり、良い気分転換になるかもしれません。

【猫の散歩】準備するものと注意点

散歩をする猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

ハーネスとリードを用意する

猫と散歩をする場合、必ず必要となるのがハーネスとリードです。猫は体が柔らかいため、首輪にリードを付けるだけだとすり抜けてしまう恐れがあります。腕に通すタイプのハーネスなら、猫の体に負担がかかりにく安全です。できれば専門店に直接猫を連れて行き、体にぴったりフィットするサイズのハーネスを購入しましょう。いざという時に見つけやすいように、ハーネスとリードは目立つ色にすると良いですね。

まずはハーネスに慣れさせる

いきなりハーネスを装着しようとしても、抵抗する猫もいると思います。まずは家のなかで、ハーネスをつける練習をしてみましょう。ハーネスをつけた状態でご褒美やおやつを与えれば、ハーネスに対して良い印象を持ってくれるかもしれません。ハーネスに慣れるには時間がかかることもありますが、無理はせず気長に待ちましょう。

ただし、室内だからと長時間つけっぱなしにすることは危険。高いところから飛んだ時などにひっかかる可能性があるためです。ハーネスに慣れる練習をする時間以外は外してあげましょう。

慣れたら家の敷地内から散歩スタート

ハーネスに慣れてきたら、ベランダや庭など敷地内で歩き回る練習をします。ベランダにはワイヤーネットを張るなど、脱走には充分注意してくださいね。また、敷地の外に散歩に出す場合は、事前のワクチン接種やノミ・ダニなどの予防策も忘れずに行いましょう。車通りの激しい道路は避け、抱っこしてもいいですし家の周りを歩くだけでも充分良い刺激になるはずです。

もし迷子になったときのために装着する「マイクロチップと迷子札」

塀の上にいる猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

マイクロチップはなぜ必要?

脱走や災害などで猫が迷子になると再会できる可能性は低く、運よく再会できても痩せていたり汚れていたりして確信が持てないケースもあります。そんな場合に役立つのがマイクロチップです。家の中で飼っている場合でも玄関や窓、ベランダなどから脱走してしまうこともあります。特に、去勢・避妊手術を受けていない猫は、発情期に外に出たい衝動に駆られることがあるので、マイクロチップを装着していたほうが安心です。

装着方法や値段は?

マイクロチップは体内に埋め込むものなので、装着することに抵抗がある飼い主さんも多くいるでしょう。しかし、猫にかかる体の負担は皮下注射を打つときとあまり変わらないと言われています。チップのサイズは直径2mm、長さは12mm程度で、耐久年数は約30年だといわれています。費用は数千円~1万円程度で、情報登録料として千円が別途必要となります。

自治体によっては補助金の支給もあります。マイクロチップは動物病院の外来で簡単に装着できますので、まだの方は検討してみてください。

事前準備をしっかりとして散歩に出よう

完全に室内で飼う場合でも、外に出す場合でも、猫がストレス少なく過ごせるのが一番です。もし散歩に連れて行く場合は、準備をしっかりして安全に気をつけましょう。猫にとっては外の空気に触れさせるだけでも充分なので、無理なく散歩を楽しめるといいですね。
参考/「ねこのきもち」『愛猫のために知っておきたいQ&A45』
   「ねこのきもち」2017年8月号『イマドキ猫の健康事情(猫の迷子とマイクロチップ)』
監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院 循環器担当)
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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