猫が大好きなこたつは暖かくて便利ですが、使用には注意が必要なことも。より安全にこたつを利用してもらうため、こたつで起こりうる病気や事故、安全な使い方、手作りアイデア、市販品の猫用こたつを紹介します。居場所づくりの参考にしてください。
猫は暖かい場所が好き!こたつも例外じゃない
猫は季節に合わせて居心地がいい場所を探すのが得意な生き物です。寒くなると少しでも温度が高い場所を求めて、暖かい場所へ移動します。
そのため、寒い冬は保温性の高いモコモコ素材のベッドや、暖かい空気が溜まりやすい冷蔵庫の上などの高い場所へ行きがちに。もちろん、ストーブやこたつのような暖房器具も例外ではありません。
猫が好きなこたつを安全で快適に使うためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。利用に関する注意点を見てみましょう。
猫のこたつ使用|やけどや脱水、熱中症の危険が!
こたつは猫が寒い時期に入る定番の場所ですが、使用には注意が必要です。次のような病気や事故につながりやすいので、使用する際は十分注意しましょう。
やけど
猫がこたつの中でヒーターに接触すると、やけどを負う危険があります。なかでも低温やけどは、低温の熱に長時間触れることで発症し、気付きにくいことから重症化しやすいのが特徴です。
中度以上のやけどで水膨れや腫れ、脱毛、炎症などの症状があらわれ、重度になると皮膚がむけて壊死する場合も。普通のやけどより治りにくく痛みが長期化しやすいので、こたつで負うやけどには注意が必要です
脱水
猫は普段から水を飲む量が少ないため、暖かい場所に留まると脱水のリスクが高まります。脱水のチェックに、猫の首の後ろや背中を軽くつまんでみる方法があります。手を離したときに皮膚が瞬時に元に戻れば問題はなく、2秒以上かけてゆっくりと戻る場合は脱水状態に陥っている可能性があるでしょう。その際、鼻や歯茎が乾燥していないかどうかも、一緒に確認してください。
もしも脱水が疑われる場合は、水を飲ませることが大切です。自分で飲まない場合はスポイトなどを用いて口の端に水をたらすと、飲んでくれるでしょう。
熱中症
熱中症は夏に起きるイメージですが、こたつの中に長時間いると冬でも起きる危険があります。熱中症は急激な体温上昇に体が対応できず、体温調節できなくなる症状で、体に熱がこもるため苦しそうな口呼吸を繰り返し、自力で動けなくなったり、意識が無くなったりします。
命の危険にさらされることがあるので、一刻も早い処置が必要です。
酸欠
人がこたつの中に入れるのは足や体ですが、猫は全身をこたつの中へ入れてしまうので、暖かくなって熟睡してしまうと酸欠状態になる危険性が。猫自身もそのまま気付かずに眠り続けてしまうことがあるので、ときどきこたつの中を覗いて猫の状態を確認しましょう。
熱は逃げてしまいますが、こたつ布団をトンネル状にして空気の通り道を作るなどの工夫も必要でしょう。
乾燥
猫の皮膚はとてもデリケートなので乾燥するとフケが出やすくなり、かゆみを引き起こすことも。特に、こたつの中では乾燥が進んでしまうため、皮膚が弱い猫は長時間の使用を避けましょう。
コード
こたつに限らず、コードにじゃれる猫は少なくありません。電気の通っているコードを噛んだり引っかいたりすると、感電ややけどの危険があります。また、通電していない状態のコードを傷つけると、次に電気を通すとき火災の原因になることも。
猫が大好きなこたつは、どう使えばいい?
愛猫を危険から守るため、大好きなこたつはどう使用すればいいのでしょうか。飼い主さんの在宅時と留守中に分けて、安全な使い方をご紹介します。
飼い主さんが在宅のとき
まず、「猫がこたつに入っているときに、人も利用して大丈夫?」と疑問に思うかたもいるかもしれませんが、人も利用して問題ありません。こたつは飼い主さんのものでもあるので、猫が入っている場合でも遠慮する必要はないでしょう。
使用する際に注意したいこと
猫のこたつの使用には、いろいろな危険があることがわかっています。ふだんから以下の注意をすることで、愛猫を危険から遠ざけてあげましょう。
- 練炭こたつは使用しない
- 猫が入っているときは”弱”で使用する
- 猫がこたつに入っているときは、ときどき状態をチェックする
そのほかにできる工夫
こたつは暖かい反面、暑くなり過ぎることも。普段から水を飲む量の少ない猫はドライのフードをウェットのフードに切り替えたり、こたつのそばに水皿を置いたりして、積極的に水分補給を促しましょう。
夜中などの頻繁に様子を見てあげられない時間帯にこたつを使用する場合は、こたつの温度を低く設定し、猫が長時間入っても問題ないようにするなどの工夫をしましょう。
猫だけで留守番をするとき
まず、飼い主さんの外出時は、こたつの電源を必ず切るようにしましょう。そのうえで飼い主さんの留守中に愛猫が暖をとれるようにしたい場合は、こたつをあらかじめ”強”で暖めておき、出かける直前に電源を切るようにすると留守番中の電気の使用を避けられます。
ただ、猫は暑くなると自力でこたつから出てくるものですが、こたつの中で眠ってしまうと脱水になる危険が。そのため留守番中のこたつの使用は、極力避けた方がいいでしょう。
湯たんぽを使って「猫こたつ」を手作りするのもあり!
こたつは猫に居心地の良さを与えると共に、危険を与えることも。そこで、電気を使わない「猫こたつ」を手作りする方法をご紹介します。簡単に作れるので、時間があるときに作ってみてはいかがでしょうか。
「猫こたつ」の作り方
用意するものは、2Lペットボトル用の段ボールを2つと湯たんぽ、こたつカバーだけ。次の手順で、「猫こたつ」を作ります。
1. 段ボールの面積の広い面同士を接着して、2階建ての段ボールハウスをつくる
2. 2階部分に湯たんぽを入れ、段ボールに上からこたつカバーをかける(1階部分の出入り口は開けておいてください)
保温性が高くクッション効果もある段ボールは、猫が好む素材。さらに、ふわふわ毛布を敷いたりかけたりすると、暖かさがアップします。野生時代のすみ家に近い穴蔵のような作りなら、猫も喜んで入ってくれるでしょう。
湯たんぽを置く面は段ボールが2重になっているので、多少重さのある湯たんぽでも大丈夫です。湯たんぽが冷たくなったら取り替えてあげてください。
猫専用のこたつも市販されている!
人用のこたつを一緒に利用するのもいいですが、最近は猫専用のこたつも販売されています。どんなこたつが市販されているのか、よく見かける商品を紹介します。
キャティーマン 遠赤外線ペットの夢こたつ
【Amazon】キャティーマン (CattyMan) 遠赤外線ペットの夢こたつ 13,800円 (税込) ※2021年7月の記事制作時
愛猫の体を暖かく包み込む遠赤外線のこたつです。ヒーターが肌に直接触れない遠赤外線放射熱方式なので、やけど防止への配慮もされています。
猫用こたつ 炬燵【特箱】
【楽天】【送料無料】【取り寄せ商品】遠赤ヒーター付きサイドテーブル 猫用こたつ 炬燵【特箱】 34,100円 (税込) ※2021年7月の記事制作時
遠赤外線で暖めるタイプのこたつです。サイドテーブルになっているので、電源を入れなければ一年中部屋に置いておけます。
犬猫用こたつハウス
【Amazon】犬 ハウス ペットパラダイス 【犬・猫 用】 こたつハウス 梅 麻の葉 (40cm) あたたかい 保温防寒 寒さ対策 犬 猫 寝床 コード穴付き 6,380円 (税込) ※2021年7月の記事制作時
暖房機能はありませんが、保温効果に優れた猫用ハウスです。こたつ型になっているので、寒い季節の居場所にピッタリでしょう。
猫と一緒に「ポカポカ冬ごもり」をしよう!
こたつが無くても部屋を暖かく保つ工夫
暖かい空気は部屋の高い位置に溜まりやすいので、猫が上へ移動しやすいよう猫タワーを設置したり、タンスの上を猫の居場所として開放したりするとよいでしょう。リビングのソファーに毛布を掛けて、ぬくぬくスペースを作ってあげるのもおすすめです。
さらに、加湿器で湿度を上げれば体感温度も上がり、デリケートな皮膚の保護にもなります。冷気が入る窓際には、スポンジのマットなどを立てかけ保温してください。厚手のカーテンを閉めるだけでも、冷気を遮断できるでしょう。
トイレや水、フード皿付近も暖かく
トイレの場所が寒かったり遠かったりすると、排せつを我慢してしまう猫がいます。廊下などの冷える場所は避けて、猫が長時間過ごすリビングや寝室にトイレを増設してあげましょう。また、水、フード皿付近には、マットを敷いて冷えを解消してあげてください。
ホットカーペットは半面をオン
猫は快適な場所を探す達人です。ホットカーペットは半面だけをオンすれば、体温調節しやすくなり節約になります。寒いときには、カーペットに寝ている飼い主さんに寄り添ってくれるかもしれません。
寒い冬は、猫と一緒にこたつでまったりしたいですよね。しかし、使い方によってはこたつが危険な場所になることもあるので、こまめに猫の状態を観察し、異変を感じたらこたつから出しましょう。こたつが無くても快適に過ごせる部屋作りにも挑戦してみてください。
参考/「ねこのきもち」2016年11月号『見た目、行動、居場所…猫自身がする冬支度 冬の3大チェンジ☆観察しよう!』
「ねこのきもち」2016年8月号『真夏の夏バテ・熱中症事件ファイル』
「ねこのきもち」2017年11月号『お留守番どきの備えも 部屋ごとに寒さ対策しよう 私と猫の冬ごもり計画』
「ねこのきもち」2018年11月号『寒さは全国共通ではないから「地域別」対策でこの冬を乗り越えよう』
監修/荒木陽一先生(プリモ動物病院 練馬院長)
文/こさきはな
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。