まるでガラス玉のように神秘的で美しい目を持つ猫。そんな猫の視力や見えている色、暗闇で目を光らせる「タペタム」の役割などについてお届けします。さらに思わずうっとりする目の色「オッドアイ」や、気を付けたい猫の目の病気、その兆候などもご紹介!
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美しい目を持つ猫が見る、この世界の景色は?
動くものを追っている姿や、窓の外をのぞく視線が愛らしい猫。そんな猫の目から見て、わたしたちが住む世界はどう映っているのでしょうか?
猫の視力ってどれくらい?
わたしたち人に比べて、猫の視力はわずか10分の1程度。その理由は、ガラス玉のように見えている美しい目の構造そのものにあります。
夜行性の猫は、「水晶体」と呼ばれるレンズ部分や「角膜」が発達し、光を多く取り込む能力に優れている一方で、やや近視傾向にあります。そのため、物の形は細かくはっきりと把握することができず、少しぼやけたように見えているようです。
猫が見えている色は?
人に比べ視力が弱いことに加え、見えている色の数も人とは異なります。人の網膜には「錐状体(すいじょうたい)」という色を感じる細胞が備わっていますが、猫にはそれがほとんどありません。
そのため、赤や緑などの色は、はっきりと識別できていないと考えられています。
日が暮れてから獲物を狙って生活をしてきた夜行性の猫にとっては、色の識別よりも光を取り入れる能力の方が、ずっと必要だったようですね。
視力が悪くても大丈夫!光を反射する猫の「タペタム」
暗いところにいる猫をふと見たときや写真を撮ったときに、強く光る猫の目に驚いたことはありませんか? 猫の目が暗いところで光るのは、網膜の裏に「タペタム」が存在しているから。
では、「タペタム」はどんな役割を担っているのでしょうか。
「タペタム」って何?
光を感じる役割を担う網膜。猫の目はその網膜の裏に、「タペタム」という反射板が備わっています。暗い場所にいても、目の中に取り入れたわずかな光を反射して視神経へと伝えているため、人の6分の1程度の光量でも、物を見分けることができるといわれています。
アーモンドのような形の「瞳孔」
クリクリとした美しい瞳の中にあるアーモンドのような縦長の「瞳孔」は、猫の目が持つ最大の特徴のひとつではないでしょうか。「瞳孔」は、カメラの絞りのような機能を持ちます。
猫は、丸い「瞳孔」を持つわたしたちよりも素早く、取り込む光を繊細に調整することができるのです。
思わずうっとり!神秘的な目の色
ベンガルやロシアンブルーの猫に多く見られるグリーン系の色、ブリティッシュショートヘアなどに見られるブラウン系の色など、猫の種類によって目の色はさまざま。
どの猫もつい見惚れてしまうほど美しい色を持っていますが、その目の色はどう決まるのでしょうか?
目の色は「メラニン色素」が影響している!
ガラス玉のように美しい猫の目。その猫の目の色を決めているのが「メラニン色素」です。メラニン色素が少ない猫は、グリーンまたはグリーンとブラウンのグラデーションが見られ、反対にメラニン色素が多い猫の場合は、濃いブラウンの瞳となります。
宝石のような瞳、オッドアイ
オッドアイとは、複数の色を持つ目のこと。左右で異なる色の目を持つ猫や、ひとつの目に複数の色が現れている猫もいます。最も多いといわれているのが白い毛を持ち、左右異なる色の目を持つ猫。白猫の場合、4匹に1匹がオッドアイになるという説もあります。
大切な愛猫の気を付けたい目の病気は?
美しく特徴的な目を持つ猫。そんな猫の目に異変を感じたら不安になりますよね。
猫はどのような目の病気にかかりやすいのでしょうか?
人もなりやすい「結膜炎」
まぶたの裏側を覆っている粘膜に炎症が起きてしまう病気で、目の充血や腫れが現れます。結膜炎にかかると、前足で目をこすろうとしたり、瞬きが多くなったりといった行動が見られる場合も。ウイルス細菌の感染や、目の中に異物が入った場合も起こりうるため、注意をして過ごしましょう。
目を覆う膜の炎症「ブドウ膜炎」
ブドウの皮のように眼球を覆っていることなどからそう呼ばれるブドウ膜。その膜に炎症が起こる病気を「ブドウ膜炎」といいます。主に充血や目が白っぽく見えるなどの症状のほかに、涙や目やにが増える場合も。感染症や、猫エイズ、猫白血病ウイルス感染症などが原因となります。
猫がかかりやすい目の病気についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
「目やに」が目の病気のサインに?
目の病気の症状のひとつとして、現れやすいのが「目やに」の異常。もちろん、どんな猫でも日常的に目やには排出されるものですから、普段と変わらない色や量であれば気に留める必要はありません。
緑色の目やにが見られたり、量や質がいつもとは違ったりする場合は、細菌感染症や目の中に異物が入ってしまっている場合がありますので、普段から目やにの状態を確認し、変化に気付けるようにしておきましょう。
猫の「目やに」やそのケア方法について、もっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
美しい愛猫の目をずっと守っていくために
大切な猫の魅力的で美しい目。その目に映る世界は、わたしたち人とは大きく違うものでした。見えている景色が違うからこそ、その目の動きや表情がさらに愛おしく感じませんか?
日頃から「目やに」に異変が出ていないか気にかけ、目の病気に注意しながら、美しい目をずっと守っていきたいですね。
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/いちのへ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。