さまざまな種類がある猫のしっぽ(尻尾)。そんな猫のしっぽには、とても重要な役割があることをご存じでしょうか? 今回は、猫のしっぽの役割やしっぽの種類、しっぽの動きから読み取れる猫の気持ちについて解説します。
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猫のしっぽの主な役割とは
1.体のバランスを保つ
猫が狭い場所を渡り歩いているとき、しっぽを左右に動かしているのをよく目にしませんか? これは、人が平均台などを慎重に歩くときに、手を広げバランスをとるのと同じ。猫はしっぽをくねくねと動かしながら体のバランスを保ち、木の上などの高い場所や狭い道を器用に歩いているのです。
2.体を温める
猫は寒い季節になると、体を丸める姿がよく見られます。それは、しっぽで鼻や口を覆い、自分の吐いた温かい息を逃がさないようにするため。人がマフラーをするように、顔まわりにしっぽを巻きつけることで、自ら体を温めているのです。
3.仲間とのコミュニケーション
猫同士におけるコミュニケーションでは、感情が表れるしっぽがとても役立ちます。しっぽを立てて相手の猫に近寄っているときは、友好的な気持ちのサインです。
猫のしっぽの種類とその特徴
猫のしっぽには、主に以下の8種類があるといわれています。
- 「フルテイル」
約25~30センチほどの真っ直ぐに伸びた、もっとも一般的なタイプのしっぽ。日本では長尾といわれています。
- 「エアリアルカールドテイル」
しっぽの先が、頭の方向にくるっとカールしているのが特徴。「フルテイル」と同様に長さもあります。
- 「フランクカールドテイル」
「エアリアルカールドテイル」と同様に、くるっと巻かれているしっぽを指しますが、こちらはカールしたしっぽが脇腹に垂れ下がっているのが特徴です。
- 「フラットトゥバックテイル」
しっぽが付け根から折れ曲がり、背中に沿って前方へ伸びているのが特徴です。
- 「キンクドテイル」
しっぽの先がねじれているタイプで、日本では「かぎしっぽ」ともいわれます。海外では幸せを呼び寄せるといった言い伝えもあるそうです。
- 「コークスクリューテイル」
ブタのしっぽ(スクリュー)のように、くるくると巻かれているのが特徴のしっぽです。
- 「ボブテイル」
一般的な長さである「フルテイル」とは対照に、6~7センチほどの短いタイプのしっぽを指します。
- 「ランピーマンクス」
マンクスという種類の猫のうち、ランピーという亜種のもつしっぽのことを指します。
短いしっぽをもつ猫の種類
ここまで猫のしっぽを8つの種類に分けてお伝えしてきましたが、なかでも短いしっぽの「ボブテイル」は、特徴的で愛らしく人気があるようです。では、「ボブテイル」のしっぽをもつ猫には、どのような種類がいるのでしょうか?
ジャパニーズ・ボブテイル
短くてボンボン状のしっぽが特徴的な、ジャパニーズ・ボブテイルは、招き猫のモデルともいわれており、古くから日本に生息している日本猫がルーツとされています。ほかの猫と争わない冷静な一面があり、大人らしい魅力を備えた描種です。
また、日本で見かけることは稀ですが、「アメリカンボブテイル」、「クリルアイランドボブテイル」といったしっぽの短い猫も海外には存在します。
マンクス
マンクスはしっぽがないことでも知られる描種ですが、上の写真のように短いしっぽがある種類も存在します。わずかに短いしっぽがあるマンクスを「スタンピー」、中尾のマンクスを「ロンギー」、しっぽがまったくないマンクスを「ランピー」といいます。
日本では見かけることは少ないかもしれませんが、独特の丸い容姿が愛らしく、多くのファンを獲得している描種ともいえるでしょう。
長いしっぽをもつ猫の種類
「一般的」といわれる長いしっぽをもつ猫のなかにも、気品漂う魅力的な猫が多く存在します。
シャム
ポイントカラーと濃いブルーの瞳、細長いしなやかなしっぽが印象的なシャムは、その美しさから世界中で人気を博している描種です。人とふれあうことを好む傾向があり、とてもアクティブな描種ともいわれています。
スコティッシュ・フォールド
まん丸とした顔と折れ耳が愛らしいスコティッシュ・フォールド。性格は穏やかな傾向が強いといわれています。スコティッシュ・フォールドには長毛と短毛があり、毛色もさまざまな種類が認められているため、非常に個性豊かな描種といえるでしょう。
しっぽの動きから読み取れる猫の気持ちとは
猫のしっぽの動きには感情が表れやすく、猫同士のコミュニケーションとして役立っているとお伝えしましたが、わたしたち人にとっても猫の気持ちに気付くための重要なサインとなります。では、猫はしっぽの動きでどのような感情表現をしているのでしょうか?
ピンと立てる
しっぽを真っ直ぐピンと立てているときは、「ここにいるよ!」というアピールのサイン。構ってほしいときや、ご機嫌なときに見られる動きです。
ゆったり揺らす
ゆらゆらと、ゆったり揺らしているときは「気持ちいいよ」のサイン。こちらもリラックスしていて機嫌がいいときに見られます。
先だけパタパタ動く
猫が伏せた姿勢でいるときにしっぽの先がパタパタと動くのは、「ちょっと気になるけど、今は動きたくないな~」という気持ちを表現しています。飼い主さんに呼ばれたときにパタパタ動かすなら、「聞こえてるよ」という返事代わりといえるでしょう。
大きくブンブン
左右に大きくブンブンと揺らしているときは、緊張・興奮状態です。近くに獲物のようなものがあるときや、イライラしているときにもこの動きが見られます。
ボワッと膨らむ
たぬきのしっぽのようにボワッと膨らむのは、怖いときや驚いたときに出るサイン。反射的に毛が逆立ち膨らむのが特徴です。
おなかの下に入れる
しっぽが低く下がっていたり、後ろ足の間からおなかの下に入れて丸くなっていたりするのは、「怖い」という気持ちの表れ。多くの場合、後ろ足を曲げて体も低くしています。「逃げたい」「自分の気配を消したい」と感じているケースも。
猫の感情に寄り添って、心地よいコミュニケーションを
わたしたちにはない「しっぽ」という存在。猫にとっては必要不可欠なものであり、仲間やわたしたち人とのコミュニケーションにも役立つ大切な体のパーツです。これからも猫が表している感情に寄り添って一緒に暮らしていきたいですね。
参考/「ねこのきもち」2018年7月号『いつまでも眺めていたいな 癒しっぽ』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/いちのへ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。