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愛猫が食物アレルギー?グレインフリーフードの特徴や選び方(獣医師監修)

愛猫に食物アレルギーの疑いがある場合は、どんなフードを選べばいいのでしょうか。今回は、猫のアレルゲンやキャットフードの選び方、切り替え方について解説します。グレインフリーフードが適した猫の特徴も把握しておきましょう。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

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「グレインフリー」のフードとは?

食後の猫(スコティッシュフォールド、オス)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
原材料にこだわったフードの説明で「○○フリー」という言葉を目にしますが、これは「○○が入っていない」ということを意味します。グレインは穀物のことで、穀物(または穀類)を原材料に含まないフードのことを「グレインフリー」と呼びます。

「グレインフリー」と「グルテンフリー」の違い

グルテンは、小麦などの麦類に含まれるたんぱく質のことです。「グルテンフリー」は穀物のうち麦類を避けていることを意味し、「グレインフリー」は広く穀物を避けていることを意味します。

猫は穀物が苦手なの?食物アレルギーの原因と症状

見つめる猫(アメリカンショートヘア、オス)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫も加熱調理した適量の穀物は消化できる

野生だった猫の先祖は、穀物を食べることはほとんどなかったと考えられています。というのも、猫は穀物に含まれる炭水化物をそのままでは消化することができないからです。これは、人が米や小麦を食べるときに加熱しなければ食べられないのと同じです。
しかし、キャットフードの穀物は加熱調理され、炭水化物も糊化(アルファ化)されたものが適量使用されているため、食べても問題なく消化できることが実証されています。

アレルゲンの多くは穀物ではなくたんぱく質

動物には、体内に侵入したウイルスや細菌を異物と判断して撃退する免疫機能が備わっており、食物を異物と誤認識してしまうこともあるのです。この状態を食物アレルギーと呼びますが、猫の場合、アレルゲンの多くは牛肉・乳製品・魚などに含まれるたんぱく質といわれています。

食物アレルギーを発症した猫にあらわれる症状

猫が食物アレルギーを発症した場合は、かゆみ、発疹、なめこわしによる脱毛が皮膚にあらわれることが多いです。それと同時にウンチ量の増加・下痢・嘔吐などの消化器症状があらわれる場合や、どちらか一方の症状だけがあらわれる場合もあります。

「グレインフリー」が適した猫の特徴は?アレルギーの治療法

振り返る猫たち(ベンガル、メス)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

穀物に食物アレルギーがある猫にはメリットがある

グレインフリーのキャットフードは、穀物に食物アレルギーがある愛猫にとっては健康管理に適した食事になりますが、そうでない場合、とくにメリットはありません。制限された原材料から作られたフードなので、栄養バランスから考えてデメリットもあります。

「グレインフリー」フードのメリット

  • 穀物に対する食物アレルギーを避けることができる。

「グレインフリー」フードのデメリット

  • 原材料を厳選するため高額になりがち。
  • 炭水化物が少ない傾向があるため、たんぱく質が多くなりがち。そのため高齢期では内臓の負担になることも。

穀物が含まれるキャットフードのメリット

  • 原材料の選択の幅が広がるので、価格を抑えられる。
  • 栄養バランスを整えやすい。

穀物が含まれるフードのデメリット

  • 穀物に食物アレルギーがある場合は適さない。

食物アレルギーの治療はアレルゲンの特定から

もし、愛猫に食物アレルギーが疑われる場合は、アレルゲンの可能性がある成分を一切含まない除去食を一定期間与えて試験を行います。そこで症状の改善が見られたら、これまで食べていたフードにアレルゲンが含まれているということに。改善されない場合は、ほかの除去食を試して症状の出ないフードを探します。
食物アレルギーの症状は、その猫の体質に合った除去食を与えることで抑えられるようになるのです。

やみくもに穀物を避けることは意味がない

愛猫に食物アレルギーが疑われる場合、やみくもにグレインフリーのキャットフードを食べさせても、アレルゲンが別のものであれば症状は改善されません。別の病気だった場合には適切な治療をせずに悪化させることにもなりますので、まずは獣医師の診察を受けましょう。

愛猫に合うキャットフードの選び方

ゴハンを待つ猫(アメリカンショートヘア、オス)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

主食は「総合栄養食」のフードを!

総合栄養食とは、そのフードと適量の水を与えていれば猫の健康が維持できるよう、栄養バランスを整えて作られたフードです。主食として与えるフードは、パッケージに総合栄養食と記載されたものを選びましょう。

年齢やライフステージに合わせてフードを切り替える

1日に必要な栄養素の量には個体差があり、年齢、肥満などの健康状態、妊娠などの生理状態といったライフステージによっても変化します。総合栄養食のキャットフードにもさまざまな種類があるので、ライフステージや猫種、愛猫の状態に合ったフードを選ぶのもひとつの手でしょう。

ウェットフードとドライフードのメリットを理解しておくといい

総合栄養食のフードには、ウェットタイプやカリカリと呼ばれるドライタイプ、その中間のセミモイストタイプなどのフードがあります。これらは食感が違い、それぞれに特徴やメリットがあるので、よく調べてから選ぶようにしましょう。

おやつは栄養バランスを崩さない範囲で与える

ごほうびやコミュニケーションの手段として与える「間食(おやつ)」は、栄養バランスが崩れない範囲にとどめましょう。ペットフードの表示に関する公正競争規約では、主食の栄養バランスを崩さないように、間食の摂取量は1日の摂取エネルギー量の20%以内にすることを推奨しています。間食を与えた分だけゴハンの量を減らすことも忘れずに行います。

「療法食」は獣医師の指示に従う

キャットフードには特定の病気や健康状態に応じて栄養素が調整された療法食がありますが、これを与えるときは必ず獣医師の指示に従う必要があります。
なお、総合栄養食でも「○○に配慮」などと記載されたものがありますが、あくまで健康な猫が病気に備えるためのフードなので、病気の治療や予防のためのものではありません。愛猫が病気と診断されたときは、獣医師の指導のもとキャットフードを選びましょう。

本当に避けるべき原材料が入っていないか確認が必要

食物アレルギーの猫用に、特定の物質を原材料から排除したキャットフードはいろいろあります。アレルゲンが麦類のグルテンであれば麦類のみを避ければよく、アレルゲンが牛肉であれば避けるべきは牛肉です。
複数の穀類がアレルゲンならグレインフリーのフードは便利ですが、穀物といっても商品によって解釈はまちまちで、栄養バランスを整えるうえで「コーンは穀物ではない」など独自の解釈で使用して「グレインフリー」をうたっていることもあります。愛猫に食物アレルギーがある場合は、パッケージに記載されている原材料表示もよく確認しましょう。

療法食を食べてもらうための工夫

ゴハンを待つ猫(MIX、オス)
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

フードの切り替え方

愛猫がフードの違いに警戒したり、消化不良を起こしたりしないよう、フードを切り替える際は1週間ほどかけて徐々に新しいフードの量を増やしていきます。とくに高齢期や慢性腎臓病、心臓病の場合には、獣医師の指導に従ってゆっくりと切り替えていく必要があるでしょう。

おいしく食べてもらうテクニック

愛猫が療法食を食べてくれない場合は、ちょっとしたテクニックを使ってクリアしていきましょう。

フードを温める

ウェットフードを熱くならない程度に電子レンジで加熱すると、風味が増して食欲をそそります。ドライフードも軽く温めると、同様の効果が得られるでしょう。

お湯でやわらかくする

高齢などの理由からゴハンが食べづらい猫は、お湯でやわらかくふやかしてみるのも手です。

スープで風味をアップする

塩分を含まない鶏肉のスープをかけると、風味がよくなります。

小分けに与える

食欲が落ちている場合は、少量ずつ回数を分けて与えてみましょう。
食物アレルギーのアレルゲンは、きちんと検査しないとわかりません。もし、愛猫に食物アレルギーを疑う症状がある場合は、迷わずに動物病院へ相談しましょう。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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