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猫がかかりやすい腎不全のまとめ~原因、症状、診断、治療法

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「腎臓病」は、猫がかかりやすく死亡率も高い病気です。驚くことに、シニア猫の3匹に1匹は腎臓病を患っているというデータもあります。今回は、急性腎不全と慢性腎不全の症状の違いや、腎臓病の原因・予防法などをご紹介します。

腎不全には2つある?急性腎不全と慢性腎不全の違い

すやすやと眠る猫

猫がかかりやすい病気の1つ、腎臓病。腎臓病はさまざまな原因により、腎機能が低下した状態のことを言います。腎臓はネフロンという細胞の集合体ですが、そのネフロンの大部分が壊れてしまうと、修復することができなくなってしまうのです。
腎臓は体内の老廃物をろ過して、尿として排出する働きを持っているので、腎臓の機能が低下すると体内に毒素がたまり、最悪の場合は死に至ります。早期発見と早期治療、そして予防が重要な病気です。

腎臓病とひとことで言いますが、「急性腎不全」「慢性腎不全」の2種類に分けられます。急性腎不全は、何らかの原因で一時的に腎臓への血流が不足したり、腎臓への感染症、薬物中毒、尿石症などで腎臓に障害が起こり、数時間から数日で急激に病状が進行するもの。慢性腎不全は、時間をかけて徐々に腎機能が低下していく腎臓病です。猫の場合は、慢性腎不全が圧倒的に多いといわれています。

急性腎不全の症状と治療法

医師にだっこされる猫

急性腎不全の症状は原因によって異なりますが、


  • 突然食欲や元気がなくなる

  • 下痢・嘔吐を繰り返してぐったりしている

  • けいれんをする

  • 尿が少ない、あるいはまったく出ない

  • 口からアンモニアの臭いがする

  • 体温が低下する



このような症状が出るといわれています。これらの症状が出た場合は急を要するので、すぐに動物病院に連絡して指示を仰ぎ、診察を受けてください。急性腎不全は治療が遅れると、老廃物や毒素が排出されずに体内を巡り、3日ほどで命を落としてしまうこともあるのです。

病院ではまずは原因を突き止め、その原因を取り除くための治療を行います。そして利尿剤を使用しながらの持続点滴などを行いながら、腎機能の回復を待ちます。
腹膜透析と血液透析という治療方法もありますが、血液透析は特殊な機械と専門的知識を必要とするため、実施する病院を探すことは簡単ではありません。それでも透析が必要なら腹膜透析を選択する場合もありますが、劇的な回復は現状難しいとされています。

治療が間に合えば回復しますが、腎臓のダメージが大きいと後遺症として慢性腎不全になる場合がありますし、最悪の場合は死に至ることもあります。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(急性腎不全)」

慢性腎不全の症状

聴診器を当てられる猫

慢性腎不全は急性と違い、じわじわと腎機能の低下が進んでいきます。治療法は食事療法・投薬治療・体内の水分量の管理など。かかりつけの病院と信頼関係を築き、相談をしながらおこないましょう。症状によっては長く治療に付き合うことになります。

慢性腎不全は、程度によってステージ1~4の4段階に分けられています。しかし目に見える症状が現われるのは、ステージ3~4の後期から末期にかけて。後期に慢性腎不全だと判明しても、適切な治療を行えば長く持ちこたえる可能性もありますが、治療が間に合わない場合も。定期的な健康診断を行い、早期発見・早期治療に努めましょう。

慢性腎不全の検査は、主に血液検査と尿検査です。

クレアチニン(CRE)濃度の検査
正常値は0.8~2.0、慢性腎不全の場合は数値を大きく超える。

尿比重の検査
正常値は1.035~1.060、慢性腎不全の場合は数値が下がる。

血液尿素窒素(BUN)の検査
正常値は15~40、慢性腎不全の場合は数値が高くなる。

SDMA
近年おこなわれている腎機能マーカーで、腎機能が40%失われた段階で数値が出るのでCREやBUNより早く腎障害を検出できます。他の項目やエコー、レントゲンで総合的に判断します。

こういった項目をチェックして、腎不全であるかどうかを判別します。

慢性腎不全 ステージⅠ(初期)

残存腎機能33%以上。
この時期は無症状なので、見た目の変化で腎不全に気づくのは非常に困難です。慢性腎障害とも呼ばれます。クレアチニン濃度は正常値の範囲内ですが、連続的な上昇が見られることも。症状こそありませんが、腎臓に病変は確実に存在しています。便秘やタンパク尿が見られることもあります。

慢性腎不全 ステージⅡ(中期)

残存腎機能25〜33%。
水をよく飲むようになる、おしっこの量が多くなるなど、徐々に変化が見られますが、血液検査の数値は正常範囲内であることが多いようです。クレアチニン濃度は1.6~2.8mg程度とやや上昇気味で、軽度の貧血が見られる場合もあります。

慢性腎不全 ステージⅢ(後期)

残存腎機能10〜25%。
血液検査の結果に異常が現われるのはこの時期です。


  • 水をたくさん飲む

  • 尿量が多い

  • 便秘になる

  • 食欲が落ちる



こういった腎不全の症状が目に見えてくるので、飼い主さんはこの段階で気づくことが多いようです。この時点で腎機能は75%以上ダメージを受けているので、すぐに治療を開始して病状の進行を遅らせる必要があります。

慢性腎不全 ステージⅣ(末期)

残存腎機能10%以下。
腎臓の機能がほぼ働かなくなっている状態なので、積極的に治療を行わないと生命の維持が難しくなってしまいます。食欲不振、ぐったりして元気がない、高度の貧血などの尿毒症症状が見られます。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(慢性腎不全)」

腎臓病の原因は?

本の中にいる猫

猫は他の動物に比べて、腎臓病になりやすいとされています。腎臓を形成するネフロンの構造や機能が他の動物と異なることや、尿管が細く尿路閉塞になりやすいことなどが関係しているといわれていますが、明確な原因はまだ判明していません。
ただその中でも、いくつか原因だと考えられていることがあります。

老化

慢性腎不全の場合、症状が出る猫はほとんどの場合がシニア期の猫です。健康な猫であっても、老化とともにネフロンは徐々に減っていくとされています。

他の病気がきっかけ

膀胱炎や尿石症、多発性嚢胞腎など、泌尿器系の病気にかかったことのある猫は、腎臓病になりやすいといわれています。その中でも、尿路閉塞にかかったことのある猫は、腎臓病のリスクが上がるようです。
また、猫白血病ウイルス感染症やトキソプラズマ症などの感染症にかかった経験がある猫も、腎臓病の発症率が高くなる傾向があります。

AIMの不活性

血中タンパク質の一種である、AIM。腎臓の機能が低下すると尿中に移動して活性化、尿細管内の掃除をしてくれるので、腎臓にトラブルが起きたときに必要不可欠な存在です。しかし猫のAIMは人やマウスなどと異なり、腎機能に障害が起きても活性化しにくいという特徴を持っているので、腎不全が起きやすくなってしまうとされています。
ただ東京大学では「腎不全の治療にはAIMの投与が有効ではないか」との研究結果が出ています。

急性腎不全の場合

急激に腎機能が低下する急性腎不全の場合は、


  • ぶどうやレーズン

  • ユリ科の植物

  • エチレングリコール(車の不凍液や保冷剤の一部)



こういった「猫が口にしたら危険なモノ」の誤飲・誤食が、急性腎不全の引き金になることもあると考えられています。さらに火傷や外傷などのショックも、急性腎不全の原因になる場合があるようです。

腎臓病の予防方法は?

聴診器を当てられる猫

原因が完全には解明されていない腎臓病ですが、飼い主さんができる予防法や対策もあります。愛猫が若いうちから実践して、腎臓病を予防しましょう。

水分を十分にとらせる

猫はもともと水をあまり飲まない動物ですが、それでも飲水量が少なすぎると腎臓に負担がかかり、腎臓に徐々にダメージが蓄積していきます。


  • 水飲み場を複数用意する

  • 水が流れるタイプの給水器を使用する

  • 猫用のスープを与える

  • 愛猫の好きな水飲み用ボウルを見極める



愛猫の好みに合わせて、水を飲みやすい環境を作りましょう。また、水の器はいつも清潔に。1日に2~3回は水を交換して、雑菌やカビの繁殖を抑えましょう。

ストレスの少ない環境作り

猫は、ストレスが体調に現われやすい生き物だといわれています。小さいストレスでも、蓄積すると免疫力の低下を引き起こし、病気にかかりやすくなってしまう場合も。猫が安心して過ごせる環境作りも、猫の健康を守るうえで重要なのです。

定期的な健康診断による早期発見

病気になってから病院に行くだけではなく、健康な猫でも定期的な健康診断を行いましょう。年に1~2回、血液検査や尿検査、画像診断を含む健康診断が、腎臓病だけでなくさまざまな病気の予防・早期発見に重要です。
猫は腎臓病になりやすいことが広く知られるようになりましたが、早期発見の要である尿検査のための採尿に苦労する飼い主さんが多くいます。採尿しやすいように工夫されたトイレもあるので猫と暮らすようになったら採尿を念頭に入れたトイレの使用を検討するのが良いでしょう。

愛猫が腎臓病になった場合、飼い主さんの生活も変化していきます。通院や投薬だけでなく、症状によっては自宅で点滴を行うこともあるでしょう。飼い主さんも大変ですが、猫自身も大変な思いをして治療に励んでいるはずです。大切に関わっていってあげてください。

腎臓病は、どんな猫にも起こりうる病気です。今は健康だからと軽く考えることなく、いつか愛猫も患うかもしれないと心にとめておき、あらかじめ正しい知識を頭に入れておくようにしましょう。

参考/「ねこのきもち」2015年9月号『飼い主さんが一番わかっておきたい慢性腎不全という病気』(監修:モノカどうぶつ病院院長 小林清佳先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/higarina
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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