1. トップ
  2. 猫と暮らす
  3. 猫がかかりやすい腎不全のまとめ~原因、症状、診断、治療法

猫がかかりやすい腎不全のまとめ~原因、症状、診断、治療法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

猫は腎不全による死亡率も高く、もっとも気を付けたい病気の一つです。腎不全の症状や治療方法などを理解し、日々の生活の中で予防できるようにしておきましょう。

1. 猫の腎不全の症状と診断

急性腎不全の症状

突然食欲や元気がなくなり、下痢・ 嘔吐を繰り返したり、ぐったりしていたり、貧血、脱水などの尿毒症症状を呈するのが最も一般的です。時に尿毒症性性口臭や口腔内潰瘍が存在することもります。

腎前性(高度の脱水やショック状態になった時など)に原因がある場合、脱水、心不全兆候、低血圧といった症状があることがあります。この場合、最初は腎不全に類似していますが、補液などで体液量が補充されると、高窒素血症は改善することもあります。腎臓の場所によって症状が違います。

腎性(腎臓そのもののダメージ)に原因がある場合、尿毒症症状が主にみられます。

腎後性(尿路の閉塞など)に原因がある場合は、閉塞部位に応じて、腎腫大、膀胱拡張、腹部膨満などがみられ、排尿がうまくできず頻尿や血尿になってしまうこともあります。そのままにしてしまうと大事にいたってしまうこともあるため、早めに受診することが重要です。 

乏尿(尿が少ししか作られない状態)や無尿(尿が全く作られない状態)になっていないかを確認することですが重要ですが、この状態が6時間以上見られる場合は、すぐに受診しましょう。 

慢性腎不全 

慢性腎不全はその腎臓の機能障害の程度により、4つのステージに分けられています。

慢性腎不全 ステージⅠ

尿毒症症状はなく、腎不全とまでは言えず、慢性腎障害とも呼ばれる時期です。クレアチニン濃度は1.6mg未満ですが、連続的に上昇するのが認められます。この時期には窒素血症や体液、電解質の異常はほとんどみられませんが、腎臓に病変は存在しています。タンパク尿がみられることもあります。

慢性腎不全 ステージⅡ

軽度の窒素血症と尿濃縮能の低下がみられます。機能している腎臓の細胞がダメージを受けた腎臓の細胞を代償し、尿を多量に出すことによっておぎなっているため多尿が確認されますが、その他の症状はみられません。クレアチニン濃度は1.6~2.8mgで、脱水、外傷、手術などで容易に腎不全に移行し尿毒症症状を呈することもあります。

慢性腎不全 ステージⅢ

軽度から中程度の窒素血症、尿濃縮機能低下(多尿など)、貧血、体重減少がみられる時期で、腎臓の組織は75%以上障害されています。血漿クレアチニン濃度は2.8~5.0mg/dlです。腎機能低下により、血中からのリンの排泄が低下します。

慢性腎不全 ステージⅣ

尿毒症あるいは腎不全の末期の時期で、積極的に治療を行わないと生命の維持が難しくなってしまいます。食欲不振、ぐったりして元気がない、高度の貧血など尿毒症症状がみられ、窒素血症も高度です。血漿リン濃度も高値になり、血漿クレアチニン濃度は5.0mg/dl以上であり、乏尿、高カリウム血症がみられると、腎組織は90~95%以上障害されていると考えられ、亡くなってしまう確率が高いです。           

近年、慢性腎臓病の検査として、SDMA(対称性ジメチルアルギニン)はより早期に、正確に腎機能を評価できるとされ、多くの病院で可能になっていますので、血漿クレアチニン濃度とともに診断すれば、腎不全の早期発見、治療も可能になってきています。

2. 治療方法と治療費

※写真はアプリ「まいちにのねこのきもち」に投稿いただいたものです。

愛猫が腎不全になってしまったときには、どのような治療があるのでしょうか? 急性腎不全と慢性腎不全では治療も違いますので、飼い主さんも知っておきたいですね。

急性腎不全

急性腎不全の治療目標は腎機能の回復です。高窒素血症が最大に達してから、回復するまでに1~3週間かかることが多く、乏尿・無尿の状態では腎機能の回復まで生存できないこともあります。急性腎不全のタイプにかかわらず、まず第一は脱水を補正することです。入院して静脈から持続点滴をすることが必要なことがほとんどです。水和状態の改善にもかかわらず、乏尿・無尿が続いてしまう場合、利尿剤を使用しながら持続点滴をし、腎臓の回復を待ちます。                        

その他の治療法としては、腹膜透析、血液透析がありますが、血液透析は特殊な機械および専門的知識を必要とするため、実施するのは簡単ではありません。腹膜透析は腹膜内にカテーテルを留置して、透析液の注入と排出をし、血液中の老廃物や尿毒素などを透析液の中に移行する方法です。入院期間は長くなってしまいますが、乏尿・無尿状態の猫ちゃんでは、腎機能が回復するまでの期間を生存させるために、腹膜透析も治療法の1つとして選択肢にくわえてもいいかもしれません。

また、尿毒症のために食欲不振が持続する猫ちゃんには、鼻から胃までチューブをいれる経鼻チューブで栄養補給を行ったり、嘔吐がコントロールできない猫ちゃんには、中心静脈テーテルを設置し、非経口的に栄養補給を行う必要があります。

猫ちゃんの状態により、治療方法は様々ですが、急性腎不全の場合は入院が必要になることがほとんどであり、入院日数も約5日~15日にも及ぶことが多いため、治療費は5万円~30万円と幅があります。

慢性腎不全

慢性腎不全の治療のポイントは水和状態(身体に含まれる水分が通常に比べ少なくはないか、多くはないかをみる)の管理と食事療法です。慢性腎不全では尿を濃縮する機能が低下するため、多飲多尿が生じています。そのため、脱水状態になりやすく、皮下補液を含む輸液療法による水和状態の維持を実施することが多いですが、進行したステージ(ステージⅢ~Ⅳ)以外では、まず経口的に摂取する水分を増やすこともとても大切です。

食事療法の中心は、高リン血症のコントロールをすることです。食事療法はステージⅡから開始が推奨されており、早期のステージからの療法食の開始は、低リン血症や高カルシウム血症を引き起こしてしまうため注意が必要です。リン制限食で血漿リン濃度を抑制できない場合には、積極的にリン吸着剤を使います。また、尿毒症の軽減のため、ステージⅢ以上の猫ちゃんでは腎臓病療法食で蛋白制限も行います。嘔吐と胃腸炎の治療はそれぞれ適した薬を使います。

3. 腎不全の予防方法

愛猫を腎不全になるのを予防できる方法はあるのでしょうか? 急性腎不全の場合は、原因物質である植物(ブドウおよびレーズン、ユリ科植物)を置かないことや、エチレングリコール(車の不凍液や保冷剤の一部)にも注意することなど出来ることもありますが、火傷や外傷をおった場合などは、一見異常が無さそうでも、すぐに受診することが肝心です。

また、オスの猫ちゃんでは比較的重症化しやすい尿石症なども、普段の食餌管理や頻回な健康診断もとても重要でしょう。

慢性腎不全の場合は、それほど急激な症状が出ることが少ないため、中高齢になってきたら、1年に1~2回の血液検査、画像診断を含む健康診断が特に早期発見につながります。フードは腎臓病療法食がありますが、腎臓病でない場合に与えるとかえって健康を害することもありますので、獣医さんと相談の上、最適なフードを選ぶことが重要です。

この記事は、ねこのきもち相談室の獣医師が執筆しています。

【ねこのきもち相談室とは】

飼い主さんの“愛猫ともっと仲良くなりたい”にこたえる猫のこと総合誌「ねこのきもち」の購読者が利用できるサービスです。
経験豊富な獣医師が愛猫の状況・症状に合わせて的確なアドバイス。愛猫の困りごと、疑問・質問などにお答えしています。
動物病院に行くかどうか迷った時や、愛猫の困ったクセや関係性で悩んだ時、電話一本ですぐに専門家に相談できるサービスは、会員の方からも、信頼を寄せていただいています。
「ねこのきもち」について詳しくはこちら

猫と暮らす

更新

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新着記事

新着記事をもっと見る