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【獣医師監修】繰り返す猫の膀胱炎 症状や原因、治療、予防法を紹介

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猫が発症しやすい病気のひとつ、膀胱炎。ストレスの多い猫やオスがかかりやすいともいわれていますが、実際はどういった猫がかかりやすいのでしょうか。今回は、膀胱炎の症状や原因、年齢や性別などの発症傾向、治療・予防法について解説します。

この記事の監修

田草川 佳実 先生

 獣医師
 聖母坂どうぶつ病院副院長

 北里大学獣医畜産学部(現 獣医学部)獣医学科卒業

●資格:獣医師/認定こいぬこねこ教育アドバイザー(JAHA認定)/General Practitioner Certificate IN Small Animal Surgery(小動物外科学)

●所属:日本獣医動物行動研究会日本獣医がん学会日本獣医腎泌尿器学会

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気になる症状!膀胱炎かもしれません

毛づくろいをする猫
getty

膀胱炎は、膀胱内に炎症が起きて排尿に支障をきたす病気です。発症には、ストレスや免疫力の低下などさまざまな原因が考えられますが、共通して尿や愛猫の行動に異変が現れます。排尿時に以下のような様子が見られたら、できるだけ早くかかりつけの動物病院を受診しましょう。

血尿やいつもと違うニオイの尿が出る

健康的な猫の尿はジャスミンティーのような澄んだ黄色をしていますが、膀胱内の粘膜が傷つくと、出血して尿が赤やピンク色に染まることがあります。
また、膀胱炎になるといつもとは違うニオイがする場合もあります。尿のニオイには個体差があり、猫は人よりも濃縮された尿が出るため普段からきついニオイがしますが、愛猫の尿のニオイを覚えておくといいでしょう。

少量の尿を何度も繰り返す

体格が未熟で膀胱に尿をあまりためられない子猫や、腎臓の機能が低下するシニア猫はその限りではありませんが、健康的な成猫の平均的な尿は、体重1kgあたり22~30mlの量、回数は1日2~4回といわれています。膀胱炎にかかると尿の出が悪くなり、尿がたまっていなくても違和感があるため、トイレの回数が増えることが多いでしょう。その割には、オシッコが少量しか出ません。

病気が進行すると、尿道に血の塊や炎症によってできたカス、結石がつまって尿がまったく出なくなってしまうことも。尿が体外に排出されず有害物質が体を巡ると、尿毒症を併発して命を落とすこともあるので大変危険です。

トイレまわりをウロウロする・落ち着きがない

膀胱炎で尿の出が悪くなると、排尿したいのになかなか出なかったり、尿がたまっていないのに残尿感があったりして、ソワソワする様子が見られます。お尻が砂に付くのを嫌がる、トイレまわりをウロウロして何度も出入りするなどの落ち着きがない様子が見られたら、排尿に違和感があるのかもしれません。

トイレ以外の場所で粗相をする

トイレに間に合わず尿を漏らしてしまう、トイレ以外の場所で排泄をしてしまうなどの様子が見られることもあります。

排尿中に鳴き続ける

膀胱の炎症や粘膜が傷つく影響で、排尿時に痛みが走ることがあります。排尿時に大きな声を出したり、ずっと鳴き続けたりすることが多いので、排尿時の様子を動画に撮っておくとよいでしょう。

腹部や陰部を執拗になめる

膀胱の炎症や残尿感から、泌尿器に違和感が出ることが。下腹部や陰部など、下半身を執拗になめる様子が見られることがあります。

参考にしてみて!飼い主さんが膀胱炎に気づいたきっかけ

  • 粗相をしたり頻繁にトイレに行ったりしていた。オシッコが出ずぐったりした様子が見られた。(発症年齢1才)
  • 突然嘔吐し、トイレに行ってもオシッコが出なかった。トイレのシーツに血のシミも見られた。(発症年齢2才)
  • 何回もトイレに行っているのに、オシッコが出ていなかった。(発症年齢3才)
  • 頻繁にトイレに行くように。量が少ないのか尿で固まる砂の大きさが小さかった。(発症年齢5才)
  • 旅行で実家に預けていたら、迎えに行った次の日から砂をかく動きを10分おきに繰り返すようになった。(発症年齢7才)
  • トイレ以外の場所でオシッコをしたがるしぐさをよくしていた。なかなか尿が出ず、やっと出た尿には血が混じっていた。(発症年齢11才)
  • 何度か膀胱炎になっているので、定期的に尿検査をしていた。少量の出血があることがわかり、現在膀胱炎の治療で通院中。(発症年齢12才)

猫が膀胱炎にかかる原因

鳴いている猫
getty

猫が膀胱炎にかかる原因は、おもに以下の3つだといわれています。いくつかの原因が重なって発症することやほかの病気を併発することもあるので、それぞれどのように発症し、どう対策すればいいのかを知ることが大切です。

細菌感染

何らかの原因で膀胱内に細菌が侵入し、泌尿器が炎症を起こす膀胱炎です。糖尿病やガン、腎不全など別の病気を引き金にして発症することがあるほか、膀胱の抗菌力が落ちているシニア猫もかかりやすいといわれています。特にシニア猫は、比較的繰り返しやすい傾向が。放置すると腎臓などほかの臓器にまで感染がおよび、腎盂腎炎(じんうじんえん)から腎不全に至るおそれがあります。

結晶・結石

猫は、尿を濃縮する能力が高く、濃い尿になることで結晶ができやすくなります。その結晶がさらに大きくなると結石になり、膀胱内で粘膜を傷つけて炎症を引き起こすのです。

結石はおもに2種類あり、尿が酸性に傾いた場合はシュウ酸カルシウム結石が、アルカリ性に傾いた場合はストルバイト結石ができやすくなります。ストルバイトは内科的に溶ける石ですが、シュウ酸カルシウム結石は溶けません。また同時に、ストレスが関与していることが多いため注意が必要です。

特発性(原因が不明)

上記の二つと違い、尿検査でもなどを行っても原因が特定できない膀胱炎を「特発性膀胱炎」といいます。原因の一つとしてストレスの関与が挙げられます。
ストレスの関与が疑われる場合は、まずそのストレスの要因を取り除くことがもっとも効果的ですが、それができない・不十分な場合は、再発したりクセになったりすることがあります。

オス・メスの違いは?膀胱炎にかかりやすい猫の特徴

香箱座りの猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

では、猫によって膀胱炎にかかりやすい・かかりにくいなどに傾向はあるのでしょうか?

猫種における発症の傾向

被毛が長い種類、短い種類、日本産や外国産など特に関係なく、すべての猫種が発症する危険性があるといわれています。

性別における発症の傾向

泌尿器の病気のうち、オスに多いもの
「ねこのきもち」2018年1月号『愛猫を守るためにできることが見えてくる!データで見る イマドキ猫の健康事情』

「泌尿器系の病気の受診件数」のグラフを見てみると、膀胱炎の数値はオスが高いため、オスがかかりやすい病気だと思ってしまうかもしれません。しかし、膀胱炎の発症に性別は関係ないというのが一般的な説だといわれています。

オスは尿道に結石がつまる病気になりやすく、病院の受診回数がメスより多い傾向にあるため、その診察の過程で膀胱炎が発見されることが関係し、グラフのような結果となるようです。

性格における発症の傾向

一概にはいえませんが、ささいな物音に怯えたり、知らない来客者に怯えて隠れたりと、神経質で臆病な性格の猫は日常でストレスをためやすく、特発性タイプの膀胱炎を発症しやすい傾向にあると考えられます。

年齢における発症の傾向

前述した「飼い主さんが膀胱炎に気づいたきっかけ」の発症年齢を見てわかるとおり、幅広い年齢の猫が膀胱炎にかかってしまいます。ただし、細菌感染による膀胱炎は、加齢により免疫力が落ちたり、腎不全などにより菌が繁殖しやすい状態になったりして起こることが多く、シニア世代の猫が比較的かかりやすいようです。

膀胱炎の治療と費用

ゴハンを食べる猫
getty

細菌感染が原因の場合

膀胱炎の一般的な治療は、止血剤や消炎剤を、内服薬や注射で投与します。細菌感染が原因の場合は、抗菌薬を処方されることもあるでしょう。水分摂取量をアップさせて排尿を促すために皮下補液を行う場合もあり、膀胱炎が悪化して腎不全を併発している場合は、入院して点滴を行うこともあります。

猫用の抗菌薬は市販もされていますが、市販薬は猫の体や年齢、症状に合わないケースもありますので利用はおすすめできません。必ず動物病院で処方された薬を使い、獣医師の指示どおりに投与を行いましょう。

内科的に溶ける結晶・結石が原因の場合

療法食で尿のpHバランスなどを調節して、膀胱内にできてしまった結石を溶かす治療を行います。療法食で改善が見込めない結石の場合は、外科手術が必要になります。結石の種類は尿検査診断されます。
療法食は、通常再発防止のため継続して使用します。自己判断で療法食をやめたり、ほかのフードと混ぜたり、おやつを与えたりしないようにしてください。

ただ、今までおやつや愛猫の好物をよく与えていた場合は、療法食による治療中も愛猫がおやつを欲しがる心配があります。時期や量によっては、療法食による治療中でも食べられることがあるので、猫が欲しがる場合には獣医師に相談してみるといいでしょう。

特発性の場合

特発性膀胱炎の場合はストレスが関係しているといわれているので、ストレスの除去がおもな治療法になります。ほかには、ウエットフードに切り替えて水分補給を促すことで、治療に効果が出ることもあるようです。
ストレスを緩和する成分の入った療法食を使用することもありますが、この場合も継続して使用することが大切になります。

膀胱炎の治療費

膀胱炎の治療費は、数千円~数万円と幅があります。治療回数も1回でよくなる場合もあれば、継続して治療を行う場合もあるでしょう。

繰り返す膀胱炎の予防法

トイレにいる猫
getty

膀胱炎は繰り返す

膀胱炎の繰り返しやすさは、原因によって違います。例えばシュウ酸カルシウム結石による膀胱炎なら、手術で結石を取り除くことで再発の可能性は低くなりますが、その後の食事や飲水量の管理がうまくいかず、尿のpHが改善されなければ再発することもあります。
一方、細菌性膀胱炎と特発性膀胱炎は何度も繰り返すことがあり、特に最近は特発性膀胱炎が膀胱炎の大半を占める傾向にあります。
総じて、膀胱炎は繰り返しやすい病気といえるでしょう。

ストレスを与えないことが大切

膀胱炎の発症や再発を防ぐためには、愛猫のストレスになる要因を取り除くことが重要になります。ストレスを感じるポイントは猫によってさまざまですが、基本的なお世話のやり方を見直して、愛猫の負担やストレスを取り除いてあげる工夫は必要でしょう。

食事環境の見直し

体質や遺伝にもよりますが、水をあまり飲まないと尿の濃度も濃くなり、結晶や結石ができやすくなります。愛猫がよく水を飲むよう、こまめに水を取り替えて新鮮さを保ったり、置く水の量を増やしたりしましょう。
ウエットフードを与えて、食事から水分摂取量をアップさせるのもおすすめです。最近は、泌尿器に配慮したフードも販売されているので、獣医師と相談してフードを切り替えてみてもよいでしょう。

また、食事によるストレスを与えないという意味では、食事や飲み水はトイレから離れた場所に置くようにしましょう。猫はトイレと食事場所が近いと、嫌がって食べなくなることがあるのです。可能であれば、狩りをして1日にいくつもの獲物を食べていたころのようにゴハンの回数を多くしたり、食事台を使って食べる姿勢を楽にしてあげたりすると、食事によるストレスを感じにくくなるでしょう。

膀胱炎にかかってしまった場合の食事については、こちらの記事を参考にしてみてください。

トイレ環境の見直し

トイレが汚れていたり使いにくかったりすると、排尿を我慢して膀胱炎を引き起こすおそれがあります。排泄物を取り除くなどこまめに掃除をして、トイレを清潔に保つようにしましょう。

また、置き場所は極力人通りのない静かで暗い場所がよく、猫が好む砂を入れてあげると排泄時にストレスを感じにくくなるでしょう。そして猫の匹数+1個のトイレを置くようにすると、猫がトイレを我慢することなく安心して排泄できるようになります。

腹部や陰部の汚れに対して神経質になりすぎない

健康のために清潔を保つことは大切ですが、腹部や陰部が汚れていたり、トイレが汚れたりしているからといって、そのことが直接的に膀胱炎の要因になるわけではありません。むしろ、毎回お尻を拭こうと飼い主さんがトイレで待ち構えていることがストレスとなり、トイレができなくて膀胱炎になるというケースもあります。

定期的に尿をチェックする

愛猫の尿の成分バランスや濃さを把握できれば、異常があったときに対処がしやすくなります。日頃から次のような方法で、愛猫の尿の状態をチェックしておきましょう。

動物病院で尿検査を受ける

動物病院の尿検査では、膀胱炎や尿石症などによる潜血(尿の中に含まれる血液)のほか、尿中の蛋白・pH・比重・ケトン体・ビリルビン・尿糖などを判定することができます。比較的安価で結果もすぐに出るので、健康診断や診察の際に受けるとよいでしょう。半年~1年に1回受けるのが理想です。

自宅で採尿した尿を検査してもらう

いざ動物病院で尿検査をしようとしても、尿がたまっていないために検査できないこともあるでしょう。自宅で尿を採取しておくと、検査がスムースに行えます。

自宅で採尿する方法

  1. 猫のお尻の下におたまやトレーなどを入れる

  2. システムトイレの場合は尿の吸収シートを外しておく。ペットシーツの場合は裏返す

  3. 愛猫が排尿するのを待つ

  4. トレーもしくは紙コップに移した尿をスポイトで吸い取る

  5. 密閉できるフタつきの保存容器に移す(5~15ml程度の量が目安)

  6. 動物病院を受診するまで日の当たらない冷暗所に保管する

尿の成分は時間が経つと変化してしまうため、動物病院を受診する3時間以内に採取した尿を持って行くようにしてください。

採尿について、詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。

簡易キットで尿のpHや蛋白量などを日頃からチェックする

日頃から尿のpH値や蛋白量をチェックしておくと、尿石症や膀胱炎の原因となる結石、腎不全の早期発見につながります。自宅で数値をチェックできる簡易キットも市販されているので、愛猫の健康管理に役立ててみてはいかがでしょうか。

猫の膀胱炎は早期発見・予防で繰り返さないようにしよう!

撫でられている猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫は尿の濃縮能力が高く水分を効率よく使えるため、飲水量が少なく、排尿回数が少ない動物です。そのため、泌尿器トラブルも頻繁に起こしやすい傾向にあります。特に膀胱炎は、ささいなことで発症しやすく再発もしやすい病気です。「治ったからもう大丈夫」と油断せず、上記の予防・対策法をしっかりと実践し、日頃から愛猫の様子をよく観察して異変にいち早く気づいてあげましょう。

参考/「ねこのきもち」2015年7月号『3号連続 猫に多いオシッコ系の病気シリーズ 第1回 どんな猫も心配!膀胱炎』
   「ねこのきもち」2015年7月号『採点できる 猫目線で叶えてあげたい 本当に猫がしてほしいお世話5選』
   「ねこのきもち」2017年5月号『健康のバロメーター 大切なことはオシッコが教えてくれる』
   「ねこのきもち」2018年1月号『愛猫を守るためにできることが見えてくる! データで見る イマドキ猫の健康事情』
監修/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
文/こさきはな
※グラフは、アニコム損保「どうぶつ健保」の契約ユーザーアンケート、2014年4月~2015年3月調査より参照。
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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