1. トップ
  2. 猫と暮らす
  3. 健康・病気
  4. おしっこの病気
  5. 【獣医師監修】猫の膀胱炎の症状や原因は?発症傾向や治療・予防法も

猫と暮らす

UP DATE

【獣医師監修】猫の膀胱炎の症状や原因は?発症傾向や治療・予防法も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

猫が発症しやすい病気のひとつ、膀胱炎。ストレスの多い猫やオスがかかりやすいともいわれていますが、実際はどういった猫がかかりやすいのでしょうか。今回は、膀胱炎の症状や原因、年齢や性別などの発症傾向、治療・予防法について解説します。

この記事の監修

田草川 佳実 先生

 獣医師
 聖母坂どうぶつ病院副院長

 北里大学獣医畜産学部(現 獣医学部)獣医学科卒業

●資格:獣医師/認定こいぬこねこ教育アドバイザー(JAHA認定)/General Practitioner Certificate IN Small Animal Surgery(小動物外科学)

●所属:日本獣医動物行動研究会日本獣医がん学会日本獣医腎泌尿器学会

続きを読む

膀胱炎はどんな病気?起こり得る症状とは

毛づくろいをする猫
getty

膀胱炎は、膀胱内に炎症が起きて排尿に支障をきたす病気です。発症には、ストレスや免疫力の低下などさまざまな原因が考えられます。共通して、尿や愛猫の行動に異変が現れます。排尿時に以下のような様子が見られたら、できるだけ早くかかりつけの獣医師を受診しましょう。

血尿やいつもと違うニオイの尿が出る

健康的な猫の尿はジャスミンティーのような澄んだ黄色ですが、膀胱内の粘膜が傷つくと、出血や血の塊ができて、尿が赤やピンク色に染まることがあります。また、いつもとは違うニオイがする場合もあります。尿のニオイは個体差があり気づきにくい場合もあるので、愛猫の尿がいつもどんなニオイがするのか覚えておきましょう。

少量の尿を何度も繰り返す

体格が未熟で膀胱に尿をあまりためられない子猫や、腎臓の機能が低下する高齢猫はその限りではありませんが、健康的な成猫の平均的な尿は、体重1kgあたり22~30mlの量、回数は1日2~4回といわれています。

膀胱炎にかかると尿の出が悪くなったり、尿がたまっていなくても違和感があるため、トイレの回数が増えることが多いです。より病気が進行すると、尿道に血の塊や炎症によってできたカス、結晶がつまって尿がまったく出なくなってしまうことも。

トイレまわりをウロウロする・落ち着きがない

オシッコをしたいのになかなか出なかったり、尿がたまっていないのに残尿感があったりして、トイレまわりをウロウロする様子が見られます。排尿も座ってしないなど、落ち着きがなくなります。

トイレ以外の場所で粗相をする

トイレに間に合わず尿を漏らしてしまう、トイレ以外の場所で排泄をしたがるなどの様子が見られます。

排尿中に鳴き続ける

膀胱の炎症や粘膜が傷つく影響で、泌尿器に尿がしみて痛みが走ることがあります。排尿時に大きな声を出したり、ずっと鳴き続けたりすることが多いので、排尿時の様子を動画に撮っておくとよいでしょう。

腹部や陰部を執拗になめる

膀胱の炎症や残尿感から、泌尿器に違和感が出ることが。下腹部や陰部など、下半身を執拗になめる様子が見られることがあります。

参考にしてみて!飼い主さんが膀胱炎に気づいたきっかけ

発症の年齢飼い主さんが気づいたきっかけ
1才粗相をしたり頻繁にトイレに行ったりしていた。オシッコが出ずぐったりした様子が見られた。
2才突然嘔吐し、トイレに行ってもオシッコが出なかった。トイレのシーツに血のシミも見られた。
3才何回もトイレに行っているのに、オシッコが出ていなかった。
5才頻繁にトイレに行くように。量が少ないのか尿で固まる砂が小さかった。
7才旅行で実家に預けていたら、迎えに行った次の日から砂をかく動きを10分おきに繰り返すようになった。
11才トイレ以外の場所でオシッコをしたがるしぐさをよくしていた。なかなか尿が出ず、やっと出た尿には血が混じっていた。
12才何度か膀胱炎になっているので、定期的に尿検査をしていた。少量の出血があることがわかり、現在膀胱炎の治療で通院中。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「寒い季節はとくに要注意!猫が「膀胱炎」になってしまう原因は?」

猫が膀胱炎にかかる原因

鳴いている猫
getty

猫が膀胱炎にかかる原因は、おもに以下の3つだといわれています。いくつかの原因が重なって発症することやほかの病気を併発することもあるので、それぞれどのような原因で発症し、どう対策すればいいのかを知ることが大切です。

細菌感染

何らかの原因で膀胱内に細菌が侵入し、泌尿器が炎症を起こすことで膀胱炎を発症します。また、糖尿病やガン、腎不全など別の病気を引き金にして発症することも。放置すると腎臓などほかの臓器にまで感染がおよび、尿道閉塞、腎盂腎炎(じんうじんえん)などを併発する恐れがあります。

結晶・結石

尿のpH(尿の酸性・アルカリ性の度合いを示す数値)の値がどちらか一方に傾くと、泌尿器内に尿の成分が凝縮した結晶ができやすくなります。その結晶がさらに大きくなると結石になり、膀胱内で粘膜を傷つけて炎症を引き起こします。尿中に砂状の結石が混じることで、尿がキラキラして見えるという特徴もあります。

結石は2種類あり、尿が酸性に傾いた場合はシュウ酸カルシウム結石が、アルカリ性に傾いた場合はストルバイト結石ができやすくなります。どちらの場合も原因が明らかなので対策がとりやすいですが、同時にストレスが関与していることが多いため、注意が必要です。

特発性(ストレスまたは原因の特定が不明)

生活の中になんらかのストレスがあることで、膀胱炎を発症することがあります。上記2つと違い、尿の検査などを行っても原因が特定できないことがほとんどです。ストレスの除去が最も効果的な治療法ですが、ストレスの改善が十分にできないと再発したり、クセになったりすることがあります。

膀胱炎にかかりやすい・かかりにくい猫の傾向はある?

香箱座りの猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

では、猫によって膀胱炎にかかりやすい・かかりにくいなどに傾向はあるのでしょうか?

猫種における発症の傾向

被毛が長い種類、短い種類、日本産や外国産など特に関係なく、すべての猫種が発症する危険性があるといわれています。

性別における発症の傾向

ねこのきもち2018年1月号「愛猫を守るためにできることが見えてくる!データで見る イマドキ猫の健康事情」
ねこのきもち2018年1月号「愛猫を守るためにできることが見えてくる!データで見る イマドキ猫の健康事情」

「泌尿器系の病気の受診率」のグラフを見てみると、膀胱炎の数値はオスが高いため、オスがかかりやすい病気だと思ってしまうかもしれません。しかし、膀胱炎の発症に性別は関係ないというのが一般的な説だといわれています。

オスは尿道に結石がつまる病気になりやすく、病院の受診回数がメスより多い傾向にあるため、その診察の過程で膀胱炎が発見されることが関係し、グラフのような結果となるようです。

性格における発症の傾向

一概にはいえませんが、ささいな物音に怯えたり、知らない来客者に怯えて隠れたりと、神経質で臆病な性格の猫は日常でストレスをためやすく、特発性タイプの膀胱炎を発症しやすい傾向にあると考えられます。

年齢における発症の傾向

前述した「飼い主さんが膀胱炎に気づいたきっかけ」の発症年齢を見てわかる通り、幅広い年齢の猫が膀胱炎にかかってしまいます。ただし、細菌感染による膀胱炎は、加齢によって膀胱の抗菌力や免疫力が落ちる、シニア世代の猫が比較的かかりやすいようです。

猫が膀胱炎にかかった場合の治療法とは

ゴハンを食べる猫
getty

膀胱炎の治療は、発症の原因や猫の体調・年齢によっても異なりますが、おもに以下の3つの方法で行います。治療費は数千円~数万円、治療回数も1回でよくなる場合もあれば、継続で行う場合があるなど幅があります。

投薬・点滴・皮下補液を行う

止血剤や消炎剤を、内服薬や注射で投与します。細菌感染が原因の場合は細菌に効く抗生剤が処方されることもあります。また、水分摂取量をアップさせて排尿を促すために、皮下補液を行う場合も。膀胱炎が悪化して腎不全を併発している場合は、入院して点滴を行うこともあります。

療法食を与える

結晶や結石による膀胱炎の場合は特に、膀胱内にできてしまった結石を溶かしたり、尿のpHバランスを調整するため療法食で治療を行います。通常は、再発防止のため、療法食を継続して使用するため、自己判断で療法食をやめたり、愛猫のフードを切り替えたり、おやつを与えたりしないようにしてください。

また、今までおやつや愛猫の好物をよく与えていた場合、療法食中も愛猫が欲しがったらどうしたら……と心配な飼い主さんも多いですよね。療法食中に食べられるものもあるので、まずは獣医師に相談してみましょう。ストレスが関係している場合にも、ストレスを緩和する成分の入った療法食を使用することがあります。この場合も継続して使用することが大切です。

外科手術を行う

飲み薬や療養食などの内科的治療で改善が見られない、または改善が見込めない尿石症の場合は、外科手術で結石を取り除く必要があります。再発予防のため、取り除いた結石を分析して、結石の種類の特定も行います。       

愛猫を膀胱炎にしない・再発させないための予防・対策法とは

トイレにいる猫
getty

膀胱炎の発症や再発を防ぐためには、愛猫のストレスになる要因を取り除くことと、日ごろの健康管理が重要となります。飼い主さんが自宅で簡単に行える、予防・対策法をご紹介します。

ストレスを与えない環境づくりをする

ストレスを感じるポイントは猫によってさまざまですが、生活環境が自分の好みに合わなかったり、使いづらかったりすると猫はストレスをためやすくなります。以下の環境を見直して、愛猫の負担やストレスを取り除いてあげましょう。

トイレを清潔で使いやすい環境に整備する

トイレが汚れていたり使いにくかったりすると、排尿を我慢して膀胱炎を引き起こす恐れがあります。排泄物を取り除くなどこまめに掃除して、トイレを清潔に保ちましょう。猫の匹数+1個のトイレを置いておくと猫が使えるトイレを選べるので、すぐに掃除ができないときでも安心です。

また、落ち着いて排泄できるように、トイレは人通りが少なくニオイがこもらない場所に置きましょう。容器や砂も、愛猫の好みに合ったものを選ぶことが重要です。

水分を多く摂取できるようフードや飲み水を工夫する

体質や遺伝にもよりますが、水をあまり飲まないと尿の濃度も濃くなり、結晶や結石ができやすくなります。愛猫がよく水を飲むよう、こまめに水を取り替えて新鮮さを保ったり、置く水の量を増やしたりしましょう。

ウエットフードを与えて、食事から水分摂取量をアップさせるのもおすすめです。最近は、泌尿器に配慮したフードも販売されているので、獣医師と相談してフードを切り替えてみてもよいでしょう。

定期的に尿の状態をチェックする

愛猫の尿の成分バランスや濃さを把握できれば、異常があったときに対処がしやすくなります。日頃から以下のような方法で、愛猫の尿の状態をチェックしておきましょう。

動物病院で尿検査を受ける

動物病院では、尿中の蛋白・pH・潜血・比重・ケトン体・ビリルビン・尿糖を判定する尿検査を受けることができます。比較的安価で結果もすぐに出るので、健康診断や診察の際に受けるとよいでしょう。半年~1年に1回受けるのが理想です。

自宅で採尿した尿を検査してもらう

尿がたまっていないなどから、尿検査を受ける際に採尿できない場合もあります。尿石症の再検査をするときや、泌尿器の病気の疑いがあって頻尿になっている場合は、普段の環境でした尿が検査に役立つ場合があります。動物病院を受診する前に、以下の方法で、おうちで愛猫の尿を採っておくとよいでしょう。

  1. 猫のお尻の下におたまやトレーなどを入れる

  2. システムトイレの場合は尿の吸収シートを外しておく。ペットシーツの場合は裏返す

  3. 愛猫が排尿するのを待つ

  4. トレーもしくは紙コップに移した尿をスポイトで吸い取る

  5. 密閉できるフタつきの保存容器に移す(5~15ml程度の量が目安)

  6. 動物病院を受診するまで日の当たらない冷暗所に保管する

ただし、尿の成分は時間が経つと変化してしまうため、動物病院の受診はできるだけ早いほうがよいでしょう。採尿から3時間以内に行うようにしてください。

簡易キットで尿のpHや蛋白量などを日頃からチェックする

日ごろから尿のpH値や蛋白量をチェックしておくと、尿石症や膀胱炎の原因となる結石、腎不全を発症した際に血液中に出てくる蛋白の早期発見につながります。自宅で数値をチェックできる以下のような簡易キットも市販されているので、愛猫の健康管理に役立ててみてはいかがですか?

アイリスオーヤマ pHチェック猫砂燃やせるタイプ 8L×4袋

尿のpH値が正常かどうか、日頃の排尿でチェックできる猫砂です。数値がアルカリ性に傾いていると粒の色が青色に変わるので、異常を発見しやすいです。大容量タイプなので、猫を複数飼いしている飼い主さんもうれしいですね。

デオトイレ おうちでおしっこチェックキット

愛猫の尿の状態を色や量でチェックできるトレーや、蛋白量を色の変化で確認できるチェックシートなどがセットになったキットです。採尿キットも付属されているので、異変を見つけたらそのまま動物病院へ持ちこむことも可能です。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「猫が血尿したら!まず疑いたい膀胱炎とは?」

腹部や陰部を清潔に保つ

腹部や陰部に汚れがついていると、炎症や菌の発生を引き起こす恐れがあります。汚れがついたらすぐにふき取り、腹部や陰部を清潔に保ってあげましょう。愛猫の体が汚れないよう、自宅やトイレをきれいに掃除しておくことも大切です。

猫の膀胱炎は早期発見・予防で繰り返さないようにしよう!

撫でられている猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫は尿の濃縮能力が高く水分を効率よく使えるため、ほかの動物よりも尿道が細く、排尿回数が少ない動物です。そのため、泌尿器トラブルも頻繁に起こしやすい傾向にあります。特に膀胱炎は、ささいなことで発症しやすく再発もしやすい病気です。「治ったからもう大丈夫」と油断せず、上記の予防・対策法をしっかりと実践し、日ごろから愛猫の様子をよく観察して異変にいち早く気づいてあげましょう。

ねこのきもち WEB MAGAZINE「ペット保険のメリット~ペット保険(2)」

ねこのきもち WEB MAGAZINE「ストレスが引き金に…「膀胱炎」「猫かぜ」など気をつけたい猫の病気5つ」

参考/「ねこのきもち」2015年7月号『3号連続 猫に多いオシッコ系の病気シリーズ 第1回 どんな猫も心配!膀胱炎』(監修:東京猫医療センター院長 服部幸先生)
   「ねこのきもち」2017年5月号『健康のバロメーター 大切なことはオシッコが教えてくれる』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生)
   「ねこのきもち」2018年1月号『愛猫を守るためにできることが見えてくる!データで見る イマドキ猫の健康事情』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医師 鵜飼佳実先生)
監修/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
文/pigeon
※グラフは、アニコム損保「どうぶつ健保」の契約ユーザーアンケート、2014年4月~2015年3月調査より参照。
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

CATEGORY   猫と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気テーマ

あわせて読みたい!
「猫と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る