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【獣医師監修】猫の「シャー」と鳴く意味や理由は?かわいい動画も

さっきまで機嫌のよかった愛猫に、突然「シャー」と威嚇された経験のある飼い主さんも多いですよね。今回は、猫が「シャー」と鳴いて威嚇する理由やシチュエーションごとの正しい対処法について、威嚇するときに見せるポーズや表情とあわせて解説します。

猫が「シャー」と鳴くときにするポーズや表情

のぞく猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
まずは、猫が「シャー」と鳴くときに一緒に見せる、特徴的なしぐさや行動、様子についてご紹介します。

「シャー」と一緒によくする鳴き声

猫が「シャー」と鳴くときには、以下のような鳴き声も一緒に出します。

  • 「シャー」「フーッ」「カッ」

  • 「ウワーオー」「アオー」

  • 「ウウウー」


どれも強い恐怖や怒り、敵対心などを感じているときに出す鳴き声で、大きくのどからしぼり出すような低い声という特徴があります。猫がこのような鳴き声を出しているときに不用意に近づくと、攻撃されるおそれもあるので注意が必要です。

猫が出す鳴き声については、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

猫が「シャー」と鳴くときのポーズ

体勢(頭・背中)

黒猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
頭を低くし背中をぎゅっと丸めて、背中の毛を逆立てるポーズです。防衛しつつ、いつでも相手に飛びかかれるような体勢を確保しているのでしょう。

耳がスゴイ猫
耳に力が入り後ろに反るときは、怒りや拒否の気持ちを表します。「このままだと攻撃するぞ!」と強気で怒りをアピールするときや、同居猫や窓の外に見える野良猫に対して見せることが多く、人に対して見せるときは、「近づかないで!」という意味もあります。

また、怒りが強ければ強いほど、耳の反り具合も強くなる傾向に。これ以上回らないほど耳を反らせているときは、強い怒りや拒否の気持ちといえるでしょう。

しっぽ

しっぽ
強気で「怒ったぞ! 攻撃するぞ!」とアピールするときは、しっぽの根元が上がり、先が垂れる弓なりの形になります。体が大きく見えるため、相手に力を誇示する効果があるといわれています。猫相手に威嚇するときは、しっぽを大きく膨らませ、左右に激しく振る動作も見られます。

猫がとるポーズの意味や理由については、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

猫が「シャー」と鳴くときの表情

猫が「シャー」と鳴くときは、瞬きの回数が減り見開いた状態となります。瞬時に瞳孔が開いて黒目部分が増え、その後は威嚇する対象に照準を定めようと黒目が細くなります。

大きく口を開け、牙である犬歯をむき出しにします。同時に、鳴き声を出して威嚇することも。なお、怒りのレベルが低い場合は、口を開けないこともあります。

ひげ

怒りで表情筋が強張ると、ヒゲの付け根にも強い力が加わります。また、口を開けて威嚇するため、顔の後方、斜め上方向に反ります。

むしろかわいい♡猫たちの「シャー」YOUTUBEの人気動画をご紹介♪

※掲載について投稿者の許諾を得ています
こちらは、仲良しのマンチカンのすしちゃんが遊びに夢中になりすぎて、ふだんは仲良しのちゃいちゃんに「シャー」と威嚇しちゃった動画! 突発的な「シャー」に、お互いキョトンとした感じなのがかわいいですね♡
※掲載について投稿者の許諾を得ています
こちらは10 Cats.ᐩさんの愛猫・ミューちゃんの「シャー」動画です。威嚇に集中しすぎで、滑っちゃっている様子がまたかわいい! 恥ずかしそうにこちらをチラッと見るのもたまりません♡
※掲載について投稿者の許諾を得ています
こちらのもちまるくんも、尻尾を大きく膨らませ、背中の毛を逆立てて威嚇中! ふだんは甘えん坊ということですが、この日はなんと散髪して帰宅した飼い主さんを認識できなかったのかもしれないとのこと! でもちゃっかりおやつはもらうところがかわいいですね♡

猫が「シャー」と鳴く理由や意味とは

威嚇する猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫が「シャー」と鳴くのは主に相手を威嚇するためです。しかし、ひとくちに威嚇といっても「防御的威嚇」と「攻撃的威嚇」の2種類があり、それぞれで使い方や見られる表情なども異なります。

自分や縄張りを守るための「防御的威嚇」

防御的威嚇は、無用な争いを避けるために自分や縄張りから遠ざけようとする威嚇で、猫がふだんする「シャー」という鳴き方は、この防御的威嚇にあたります。恐怖を感じている場合も多く、耳は伏せられ、口や瞳孔が開きがちになります。

相手を撃退するための「攻撃的威嚇」

一方、攻撃的威嚇は文字通り相手を攻撃するときに行う威嚇で、ひっかきやかみつきなどの攻撃的動作も伴います。相手に恐怖を与えるために、耳は大きく外を向き、鋭く尖ったキバが見えるほど口を大きく開けて、瞳孔も鋭く細くなります。

猫が「シャー」と鳴くシチュエーション

かわいい猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫は主に、以下のようなシチュエーションで「シャー」と鳴くことが多いといわれています。なかには、健康にかかわるものもあるので、しっかりと理解しておきましょう。

恐怖や敵意を感じたとき

前述したように、猫は強い恐怖を感じたときや自分の身を守らなければと感じたときに、「シャー」と威嚇することが多いです。これらは「恐怖性攻撃行動」や「防御性攻撃行動」とも呼ばれ、飼い主さんが自分の知らないニオイをつけて帰宅したときなど、ニオイに対して不快感をあらわにし、唸るケースもあるようです。

縄張りに侵入されたとき

猫の体臭に包まれた縄張りは、猫にとってはストレスを解消するための大切な場所です。このような場所に侵入者が現れたり、勝手に模様替えをされて縄張りの痕跡を消されたりすると、不安やストレスを感じて威嚇行動をとることがあります。

なんらかの刺激やストレスを受けたとき

猫は本意ではない刺激を受けたときや、欲求が満たされずイライラがつのったときは、「転嫁性攻撃行動」といわれる、八つ当たり行動をすることがあります。お腹が空いているときや大きな騒音があったときなど、さまざまなストレスが引き金となります。

飼い主さんにしつこく触られたとき

気持ちよさそうにしている愛猫を見て、良かれと思いなで続けていたら突然噛みつかれた……なんて経験、飼い主さんなら一度はあるのではないでしょうか。
気まぐれな猫の場合、自ら飼い主さんにスキンシップを求めたとしても、触れられるのをしつこいと感じると攻撃に出ることもあります。

これは「愛撫性攻撃行動」といい、「もう十分!」や「なでるのが下手!」という不満を表わしているとされていますが、実際にどんな理由や気持ちが込められているのかは明確にはなっていません。

食べ物やおもちゃをとられたとき

猫は生まれながらに狩猟本能を持っており、くわえた食べ物やおもちゃを獲物だと認識し、横取りされまいと威嚇することがあります。そういったときの威嚇行動を「捕食性攻撃行動」といい、獲物に対して条件反射的に行うといわれています

また、類似するものに「遊戯性攻撃行動」と呼ばれるものがありますが、これは勢い余って相手に威嚇や攻撃行動をとってしまうことで、飼い主さんとの遊びがエスカレートしたときなどに見られます。

病気やケガをしているとき

前述したように、猫の威嚇には自分を守ろうとする防御的意味合いがあるため、病気やケガなどで体調を崩しているときは、「シャー」と鳴く頻度も高い傾向にあります。

たとえば、『疼痛(とうつう)』と呼ばれる「じっとしていても感じるような、うずく痛み」があるときは、「疼痛(とうつう)性攻撃行動」と呼ばれる威嚇行動をすることがあります。

妊娠中や産後

子供を守るために、妊娠中や産後に母親がイライラしてしまうのは人も猫も同様です。妊娠中や産後の威嚇行動は「母性攻撃行動」と呼ばれる本能的なもので、人が不用意に子猫を母猫から引き離そうとするようなことがなければ、攻撃されることはほぼありません。

以下の記事で、ボディランゲージや鳴き声から読み取れる猫の気持ちについて解説しているので、参考にしてみるといいかもしれませんね。

猫が「シャー」と鳴いたときの対処法

白猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫が「シャー」と鳴いたときに間違った対処をしてしまうと、鳴き方が悪化したり、鳴く頻度が増えてしまったりするおそれがあります。犬のしつけのように鳴くのをやめさせることはできませんが、飼い主さん自身が上手な対処法を知っておくことが大切です。
ここでは、猫が「シャー」と鳴くことが多いシーン別に、対処法を見ていきましょう。

先住猫が新入り猫に威嚇した場合

先住猫からすれば、急に自分の縄張りに入ってきた新入り猫は“ただの敵”のため、排除するために激しく威嚇することがあります。侵入者がいることをニオイで知り、威嚇が始まるようであれば、まずは新入り猫をいったんゲージに入れて別室で過ごさせ、先住猫の威嚇が収まるのを待ちましょう。その後は、ゲージ越しに数分程度だけ対面させ、徐々にその時間を延ばしながら様子をみてください。

猫同士の挨拶にお互いのニオイを交換するという行為がありますが、それを利用し、飼い主さんが双方の猫の顔周りをなでて手にニオイをつけ、それを相手の猫の体にすりつけることで慣れさせていくのもおすすめです。

同居猫同士が威嚇した場合

日ごろ同居している猫同士でも、何らかの理由で突然「シャー」と威嚇し合ったり、喧嘩をし始めたりすることがあります。

攻撃がこちらに向きケガをするおそれがあるため、へたに手を出さずに観察するだけにとどめ、どうしても威嚇行動が止まらないときだけ、部屋を移動させるなどの対処を行いましょう。

遊びやスキンシップ中に威嚇された場合

おもちゃで遊んでいるときや、ブラッシングなどスキンシップをはかっているときに「シャー」と威嚇されてしまった場合は、その嫌がっている行為を中断し、目をそらして無視の姿勢をとるのが効果的です。気が立って興奮している猫が落ち着くまで、その場を離れてそうっとしておくようにしましょう。

小さい子どもや赤ちゃんに威嚇した場合

動きが読めず、突然大きな声を出すこともある小さい子どもや赤ちゃんは、猫にとって恐怖の対象になることが多く、「シャー」と威嚇してしまう場合があります。

猫が威嚇をし始めたときは、猫の手が届かない範囲まですぐに子どもや赤ちゃんを遠ざけましょう。飼い主さんの目が届かない範囲では近づかせないようにすることも大切です。

猫の困った行動に対する対処法について、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてくださいね。

愛猫に「シャー」をされても冷静に対処しよう

赤い首輪の猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫が「シャー」と鳴きながら威嚇するのには、ストレスや不安を抱えていたり、体調を崩していたりと必ず何かしらの原因や理由があります。それぞれの原因により対処法も変わるため、「シャー」と鳴かれてもまずは反応せず、どのようなシチュエーションで鳴いているのかなど見極めることが大切です。

ただし、あまりにも激しく威嚇をする場合は、専門家による治療が必要になることもあります。猫の威嚇行動に悩んでいる人は、行動の専門家への相談も検討してみてくださいね。
「もちまる日記」掲載協力:株式会社AKEY
参考/「ねこのきもち」2016年6月号『顔を見れば気持ちはわかる、猫も。ねこの「喜怒愛楽」』
   「ねこのきもち」2016年8月号『猫のQOL(クオリティーオブライフ)を尊重するために知っておこう!』
   「ねこのきもち」2017年12月号『どうしてそうなった!?不思議だけど愛おしい ざんねんな猫の生態』
   「ねこのきもち」2018年5月号『キッカケのない突然の攻撃行動 猫の激怒症候群って何?』
   「ねこのきもち」2018年9月号『キホンからカンチガイしやすいものまで パーツでわかるねこのきもち』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/pigeon
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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