多くの猫は爪とぎをしますが、なぜ猫は爪とぎをするのでしょう?今回は、猫が爪とぎする理由と狙われやすい家具やインテリアを守る方法、市販品から手作り品まで爪とぎ器を紹介します。飼い主さんアンケートでわかった、みんなが使っている爪とぎ器もご紹介します。
八木田 智洋 先生
獣医師
かんもん動物病院副院長
麻布大学獣医放射線学研究室卒業
大学時代に麻布大学附属動物病院の放射線科と腫瘍科で研修
●資格:獣医師
●主な診療科目:内科〜外科まで全般 画像診断と腫瘍に力を入れています
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猫が「爪とぎ」する理由
本能的なものだから
猫が爪とぎをする一番の理由は、爪の手入れをするためです。
猫には狩猟本能が備わっており、獲物を効率よく捕まえるには、常に前足の爪を鋭くしておく必要があるのです。ガリガリと爪とぎをすることで表面の古くなった爪を剥がし、鋭く新しい爪を手に入れています。
マーキングしているから
また爪とぎには、「ここは自分のテリトリーだ」という自己主張をする大切な役割があります。
猫は爪で引っかくときに、肉球から独特のニオイ成分が出ます。引っかいてキズをつけると同時に、その場に自分のニオイを残すことで、マーキングの役割も果たしているのでしょう。
ストレス発散のため
ストレス発散や甘えたい気持ちといった心理的な原因でも、猫は爪とぎをします。
「一日の大半を家の中で過ごすことによって、運動不足になっている」「与えられたフードが気に入らない」といったことも、猫のストレスの一因に。そんなときに爪をとぐことで、イライラした気持ちを発散させて、自己解決するのです。
狙われやすい家具やインテリア!爪痕から守るには?
猫が爪をとぐ理由はわかりましたが、大切な家や家具をキズつけられてしまうのは困ります。そこで、ねこのきもちWEB MAGAZINEではアンケートを実施し、飼い主さんたちが行っている対策や猫が気に入っている爪とぎ器の素材などを聞いてみました。
爪とぎ対策は必要?
爪とぎは本能的な行為ですから、やめさせることはできませんし、無理にやめさせようとすることは猫にとってストレスに。飼い主さんが爪とぎに悩まされずに猫と暮らしていくためには、爪とぎと上手に付き合っていく方法を見つけることが重要になるでしょう。
爪とぎ対策を行っている飼い主さんの割合は?
ねこのきもちWEB MAGAZINEが2021年2月に実施した「爪とぎに関するアンケート」によると、回答してくれた飼い主さんのうち4割が爪とぎの対策を行っているという結果に。爪とぎの対策は「絶対に必要」というわけではありませんが、家や家具がキズつけられて困っている場合は対策したほうがいいでしょう。
どんな方法で対策していますか?
先ほどの質問で「対策を行っている」と回答した飼い主さんに、その内容を聞いてみました。
- 「爪とぎグッズをあちこちに置いている」
- 「爪とぎを複数箇所に設置」
- 「爪とぎ防止シートを貼っている」
- 「爪とぎを買っている」
- 「爪をとげなくするシートを貼っています」
- 「ソファーのカバーとカーペットを爪が引っかかりづらいものにしています。あとは爪とぎ用のカーペットも置いてあります」
- 「いろんな場所に爪とぎを置く、壁に紙を貼る」
「保護シートを貼る」「爪をとぎにくい素材の家具に変える」などの対策を行っている飼い主さんもいますが、「爪とぎ器を置く、増やす」という声が多く聞かれました。猫が爪とぎする環境を整えてあげることが、一番の対策になるのかもしれません。
猫に人気の素材と形状は?
愛猫が爪とぎする環境を整えるためには、猫の好みを知ることが大切です。そこで「爪とぎに関するアンケート」の結果から、猫に好まれている爪とぎ器の素材と形状を紹介します。
人気の素材
猫が気に入っている爪とぎ器の素材は、圧倒的人気で1位がダンボール、2位が麻でした。「その他」と回答した飼い主さんは、愛猫が気に入っている爪とぎ器の素材として、こんなものをあげています。
- 「ソファーの側面背面」
- 「ウレタンマット」
- 「ソファーの合皮の縫い合わせ部分」
- 「キャットタワーに巻いてある綿縄と綿縄の敷物」
- 「布張りの座椅子。高価なものではないし、今のところ破れもないので、そのままやらせています」
- 「布製スツール」
- 「柱」
- 「ソファーの布地」
- 「ヨガマット」
- 「ソファー」
人気の形状
猫に人気の爪とぎ器の形状は、1位が床に平置きするタイプの爪とぎ器で、次いで2位がポール型の爪とぎ器、3位が高さがあるベッド型の爪とぎ器という結果に。その他の形状の爪とぎ器を気に入っているという回答には、このようなものがあげられています。
- 「キャットタワーの爪とぎ」
- 「四角くて、広げると傾斜になる爪とぎ。何故か逆さになって爪をとぎます」
- 「タイルカーペットとメッシュ素材の座椅子」
- 「円形」
- 「丸くて猫の顔をかたどった浅いベッドのようなもので、滑らないようにゴムのようなものでできていて、カーペット地が貼ってある」
- 「高さがあるボックス型の角」
猫によって好みはさまざまですが、なかには「いろいろな形状・設置を試しているが、爪とぎ器は使ってくれません」という回答も。爪とぎ器を使ってもらうためには、愛猫が好むものを置くことが重要になるでしょう。
とはいえ、爪とぎの被害で困っている場合は、多くの猫に好まれる素材と形状の爪とぎ器を用意してあげるのも手です。次の章では、市販の爪とぎ器やDIYアイデアを紹介します。
既製品から手作り品まで、いろんな爪とぎ器を紹介します
猫の困った爪とぎをやめさせるためには、爪をとぐ環境を整え、爪とぎ器で爪をとがせることが大切です。そこで、ねこのきもちWEB MAGAZINEが過去に紹介した記事のなかから、インスタグラムなどで見かける人気の爪とぎ器とDIYアイデアを紹介します。
人気の爪とぎベッド
ひとくちにダンボール素材の爪とぎ器といっても、いろいろな高さや形のものが市販されています。インスタグラムで「#爪とぎベッド」と検索すると、さまざまな形状のベッド型爪とぎ器が見つかりますので、愛猫の好みやインテリアに合うものを検索してみるのもおすすめです。
インスタで見かける爪とぎ器
どんな爪とぎ器を買おうか悩む場合は、インスタグラムで見かける爪とぎ器を置いてみるのもいいでしょう。最近では、すっぽりハマれるサークル型の爪とぎ器や、チーズの形をした爪とぎ器、キャットウォークと一体化した爪とぎウォークも出回っているようです。キャットウォークと一体化した爪とぎ器なら、爪をとぎながら上下運動もできるので、一石二鳥かもしれません。
ダンボールを使ったDIYアイデア
猫の爪とぎ器は、市販されているものもありますが、家で自作することもできます。ダンボールを使ったサークル型爪とぎ器のDIYアイデアを参考に、自作してみるのも楽しいでしょう。
柱やテーブルの脚と麻ひもを使ったDIYアイデア
愛猫が平置きより縦型の爪とぎ器を気に入っている場合は、柱やテーブルの脚を利用して、ポール型爪とぎ器を自作することも。ホームセンターなどで手に入る素材だけで作れるので、意外と簡単に挑戦できそうです。
ダンボール・麻ひも・カーペット・デニム、いろんな素材のDIYアイデア
いろいろな素材の爪とぎ器を試したい人には、こちらの記事がおすすめです。ダンボール、麻ひも、カーペット、デニムなど、さまざまな素材のDIYアイデアを紹介しています。
飼い主さんの工夫で、猫の爪とぎと上手に付き合おう
猫にとって爪とぎは、とても大切で重要な意味をもつ行為です。猫の気持ちを正しく理解し、対策することで家がボロボロになるのを防ぐことができるでしょう。
また、猫が爪とぎで好む場所や質感がわかれば、どこにどのようなグッズを設置すればよいのかも、おのずとわかってきますので、グッズをうまく活用しながら猫が爪とぎできる環境を作ってあげましょう。
参考/「ねこのきもち」2016年7月号『\シリーズ第一弾/だって猫だもの バリバリ爪とぎしたくなる!そのココロは? 今日からできる対策付き』
監修/八木田智洋先生(かんもん動物病院副院長)
文/こさきはな
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。