猫のシャンプーに関する飼い主さんの疑問はさまざま。今回は、猫のシャンプーの必要性や頻度・タイミング、シャンプーの選び方や手順&コツ、嫌がるときの対処法をご紹介します。おすすめシャンプーもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
猫にシャンプーは必要なの?
猫は自ら全身を毛づくろいし、体を清潔に保つことができる動物です。そのため、基本的にはシャンプーは必要ありません。ただし、状況などにより被毛がベタついたり、フケが出たりすることもありますので、必要に応じてシャンプーをすることで、より清潔に保つことができるでしょう。
毛玉対策にも? 猫にシャンプーをしたほうがいいケース
お伝えした通り、猫のお手入れは、基本的にこまめなブラッシングで十分です。皮膚が脂っぽい体質の猫や、何らかの原因で排泄物により体が汚れてしまいがちな猫など、猫自らの毛づくろいで清潔に保てない場合は、全身のシャンプーや、部分的なシャンプーが必要な場合もあるでしょう。
シャンプーをしたほうがいいケース
- 皮膚の状態が悪い場合(かかりつけの獣医師に相談してください)
部分的にシャンプーをしたほうがいいケース
- アゴニキビができている場合
- スプレー行為などにより、毛が汚れて臭う場合
- 肥満や病気で毛づくろいができず、被毛に汚れが溜まったり、排泄物がついて臭ったりする場合 など
猫がシャンプーを嫌がるのはどうして?
猫は野生時代、半砂漠地帯に住んでいたため、体がぬれることに慣れていません。また、寒さに弱い猫の毛は、羽毛のように細くて柔らかく保温性に優れていますが、撥水性は低く水を含みやすくなっているため、一度ぬれると乾くまでにかなりの時間が必要になります。
これらの特徴に加え、猫は縄張りで生きる動物のため、自分のニオイが洗い流されてしまうことに不快感を覚えることも。個体差はありますが、子猫の頃からに水に慣れさせた場合は、シャンプーを嫌がらなくなることもあるようです。
シャンプーを嫌がる場合、無理やりはNG!
水に慣れさせたうえでのシャンプーは、猫の体をより清潔に保つことができますが、嫌がる猫に無理やりシャンプーをするのはNGです。猫が水に慣れるスピードなどには個体差がありますので、愛猫にとって一番いい方法を選びましょう。もちろん、「シャンプーをする」という選択肢もあります。
猫のシャンプーをする頻度やタイミングは?
シャンプーの頻度は、猫によって異なります。あまり頻繁に洗うと、皮膚にもともと備わっているバリア機能が崩れるなどして、皮膚トラブルの原因にもなるため、愛猫の皮膚のコンディションを診察してもらい、獣医師の指示する頻度でシャンプーを行ってください。
また、シャンプーのタイミングも猫によって異なるため、一概に「この時期」とはいえません。シャンプーの目的にもよるので、獣医師に相談のうえ行うといいでしょう。
猫のシャンプーを選ぶポイントは
定期的に愛猫のシャンプーをする場合は、低刺激のものを選ぶといいでしょう。ノミ取りシャンプーは、皮膚への刺激が強いので、常用するのは避けてください。人でいうコンディショナーの類は、獣医師からの指示がない限り、あえて使う必要はありません。
ちなみに、猫用のシャンプーの香りはあくまで飼い主さん向けのもの。猫は嗅覚が鋭いので、シャンプーの香りがかえって猫のストレスになってしまうことがあるため、猫には無香料やあまり香の強すぎないタイプを選ぶことをおすすめします。
人用のシャンプーはNG!
猫のシャンプーは、必ず猫用のものを用意しましょう。猫と人とでは、皮膚のpH(水素イオン指数)が違うので、人用のシャンプーを使用すると皮膚トラブルの原因になります。
猫用シャンプーは動物病院、ペットショップ、トリミングサロンなどで購入できます。ネットでも購入できますが、初めての場合は、獣医師やペットショップのスタッフに相談して購入するほうが安心でしょう。
子猫のシャンプーはいつからできるの?
子猫のシャンプーは、ワクチンが済んでから行うようにしましょう。というのも、生後間もない子猫は免疫力が低く、シャンプーをすると体調不良を起こすおそれがあります。また、トリミングサロンでシャンプーをお願いする場合、ほかの猫との接触によって感染症にかかる心配も。
なお、先述したとおり、猫はもともと水が苦手な傾向があるので、シャンプーに対して拒否反応を示すことがあります。ワクチン後にシャンプーを考えるなら、まずは水に慣れさせることから始めましょう。
その際も、水にぬれることを猫が快く受け入れられるように、無理なく少しずつ慣れさせていくことが大切です。無理に行うと、それ以降の飼い主さんがするお手入れを猫が大嫌いになるおそれもあるので、十分に気を付けてください。
子猫のうちに水に慣れさせるのもおすすめ
子猫のうちは、水やお湯でじゃれて遊ぶ猫もいます。もし愛猫がこのようなタイプであれば、その性質を利用して、そのままお風呂場で体に水やお湯をかけて、ぬれることに抵抗が少なくなるようにしてあげるといいでしょう。
また、子猫のうちにドライヤーに慣れさせるのもおすすめです。まずは音だけを聞かせる、遠くから風を当てるなど、様子を見ながら行ってみてください。
ただし、水に慣れさせようとしたときや、ドライヤーに慣れさせようとしたときに一度でも嫌がって逃げてしまった場合は、決して無理強いはしないようにしましょう。
猫のシャンプーをする前に必要な準備とは
猫がぬれることに慣れたら、シャンプーに挑戦してみましょう。まずはシャンプーをする前に、以下のような準備をしておくようにしてください。
猫のシャンプー前の準備
シャンプーをする前に、猫の食欲や排泄物、皮膚の状態をチェックしてください。少しでも、猫の様子がいつもと違ったらシャンプーは延期しましょう。また、万が一シャンプーのときに猫が暴れて飼い主さんがケガをしないよう、猫の爪を切っておくようにしてください。
なお、毛玉がある状態でぬらしてしまうと、固まってしまいほどけなくなることがあるので、猫のシャンプーをする前には、ブラッシングをして毛玉や毛のもつれをほぐし、抜け毛を取り除いておきましょう。とくに、長毛種は毛が絡まりやすいので、念入りにブラッシングをするのがおすすめ。事前にブラッシングをすることで、シャンプーの泡もなじみやすくなります。
猫のシャンプーの具体的なやり方は?
ではさっそくシャンプーを始めましょう! 繰り返しになりますが、ぬれることに慣れていない猫の場合は、シャンプーをするのはNGです。
シャワーでぬらしていく(所要時間 約5分)
被毛をぬらすことには、おもに2つの役割があります。1つは大きな汚れを洗い流すため、もう1つ目は被毛の根元までお湯が行きわたることで、シャンプーの泡立ちをよくするためです。
1.猫が嫌がりにくい背中からゆっくりお湯をかける
人肌くらい(35℃前後)のお湯を、猫の体を片手で押さえながら背中にかけていきます。このとき、シャワーノズルを猫の体に直接当てると、水の音やしぶきが出にくくなり猫が嫌がりにくいでしょう。
2.前足を持ち上げおなかをぬらす
前足を持ち上げ、お腹にお湯をかけます。猫の体を壁や浴槽に寄せることで動きを制御しやすくなるので、写真のように猫の前足の間に指を入れて持ってみてください。
シャンプー~すすぎ(所要時間の目安 約10分)
毛づくろいで取れる汚れは、あくまで被毛の表面のみ。シャンプーをすることで、被毛の奥深く、皮膚まで洗うことができます。そしてシャンプー剤が残らないようにしっかりすすぐことで、皮膚を清潔に保つことができます。
1.手に取ったシャンプー剤を背中から付けて洗っていく
被毛をぬらす工程と同様、背中から始めましょう。シャンプー剤を手に取り、泡が皮膚まで届くよう、ときどき毛並みに逆らうようにしながら、手で包み込むようにやさしくマッサージをするようにして、体全体に泡をなじませていきます。
長毛種の場合は毛がもつれやすいため、毛並みに沿って洗ってあげてください。
前足を持ち上げて、おなかも洗いましょう
お尻を洗うときは、片手で猫の首下を押さえましょう
2.顔まわりは道具を使って洗う
体についた泡を使って、顔の細かい部分を洗います。鼻や目の汚れにはガーゼを使うとよいでしょう。
※顔まわりは、目などシャンプー剤が入ると危険な部位もあるので、無理はしないようにしてください。
アゴの汚れには歯ブラシをやさしく当てると、汚れが取れやすくなります。ただし、炎症を起こしていたり、カサブタがついていたりする場合は、刺激せず獣医師に相談しましょう
3.ぬらすときと同じ要領でしっかりと泡を洗い流す
シャワーノズルを猫の体に直接当て泡を流していきます。被毛の奥に泡が残らないように意識して、しっかりすすいでください。足の付け根には、泡が残りやすいので重点的に流しましょう。
タオルドライやドライヤー乾燥(所要時間の目安 短毛約10分、長毛約20分)
ぬれた被毛をそのまま放置すると、水分が蒸発する際の気化熱で体の熱も奪われてしまいます。また、自然乾燥にすると被毛がもつれて、毛玉ができやすくなるので、シャンプー後の乾かす工程はとても大切です。
1.足やしっぽの水分を手で軽く絞る
お風呂場にいるうちに、だいたいの水気を切っておきましょう。足やしっぽを、付け根から先に向かって軽く握って絞ってください。こうすることで、そのあとのタオルドライをスムーズに行うことができます。
2.タオルで軽く全身を拭く
大きなタオルで体を包み、全身を拭きます。猫は顔がぬれることにとくに敏感なので、顔から拭いてあげましょう。
3.タオルを替え、しっかり拭いていく
お風呂場からドライヤーを使う場所に移動し、あらためて念入りにタオルで拭きましょう。ここでしっかり水分を取ることで、ドライヤーを当てる時間を短縮することができます。
足の内側も忘れずに拭きます
おなかもしっかり拭いてあげましょう
4.ドライヤーをエプロンに引っかけるようにセットする
ドライヤーを使って、本格的に乾かします。エプロンの胸元にドライヤーを差し込み固定すると、両手が自由になり猫を乾かしやすくなるのでおすすめです。
5.ブラシで被毛を分けながら根元からしっかり風を当てる
ドライヤーは、慣れるまでは一番弱い風量(静音)のモードを選びましょう。ブラシと手を使いながら被毛をかき分けて、根元から風を当てるように乾かしてください。ドライヤーと皮膚が近くなり過ぎないように注意しながら行うことも大切です。
猫がシャンプーを嫌がって暴れるときの対処法は?
猫がシャンプーを嫌がって暴れる場合は、まず猫が安心できるサイズの桶などを用意し、安定した場所を作ってあげてください。また、時間をかけるとよりストレスになってしまうため、可能なら2人行い、時間をかけすぎないようにしましょう。
なお、とにかく猫が暴れて仕方ないという場合は、無理にシャンプーをするとパニックを起こすなどして危険ですので、絶対にやめてください。
顔がぬれるのを嫌がる場合は?
この場合、シャンプー自体をおすすめしませんが、もしどうしても必要があるときは、顔まわりを覆うエリザベスカラーや猫用のシャンプーハットを使うのも一案です。しかし無理はせずに、顔はガーゼで別途拭いてあげてもいいでしょう。
シャワーに警戒してしまう場合は?
水ではなくシャワーを怖がる猫も多いです。これは、おもに水の音や勢いに警戒しているので、洗面器などにお湯をためて、手桶ですくってそっとかけながら行う沐浴のほうがいいでしょう。
いろいろと試しても水に慣れない猫なら、無理をせずに水のいらないシャンプーを活用する方法もあります。ドライシャンプーやシャンプーシートを使えば、水を使うことなくお手入れができるでしょう。
日頃から準備しておくのもおすすめ
シャンプーをするお風呂が猫にとって未知の場所だとより警戒しやすくなるため、飼い主さんが様子を見ながらお風呂場に猫を入れて慣れさせておきましょう。その際、浴槽に水をためたままだと、フタをしていてもちょっとしたタイミングで猫が浴槽に落ちるおそれもあるので、浴槽の水は抜くようにしてください。
また、ふだんからシャンプーに使うグッズを見せて慣れさせておくことも、猫の警戒心を弱めることにつながります。そのほか、シャンプーをするときには猫を触る必要があるため、日頃からたくさんふれあい、人に触れられることに慣れさせておくことも大切です。
「ねこのきもちSTORE」が選ぶ!おすすめ猫用シャンプー
続いては、「ねこのきもちSTORE」が選んだおすすめの猫用シャンプーをご紹介します。ぜひ今後の商品選びの参考にしてみてください。
キャッツ トリートメントインシャンプー 中・短毛猫種用
ゾイックNから販売されている、天然の洗浄成分で猫にもやさしい、猫専用のトリートメントインシャンプーです。またたびエキス配合で、苺やメロンなどをミックスした香りが爽やか。トリートメントインシャンプーのため、シャンプー時間の短縮にもなります。
キャッツ トリートメントインシャンプー 長毛猫種用
同じくゾイックNより、長毛種用のシャンプーです。中・短毛種用の物と比べると、被毛の潤いをキープできる成分が配合されており、毛の絡まりやすい長毛種のことを考えて作られています。
猫がシャンプーを嫌がる場合は、プロに依頼するのもひとつの方法
冒頭でもお話ししたように、猫は基本的にシャンプーする必要はありません。場合によってシャンプーの必要性が出てきたときは、根気強く慣らしていくことも大切ですが、嫌がってどうしようもないときは、動物病院やトリマーなどプロの手を借りるのも一案として考えたいところです。
愛猫が健康でストレスなく生活していけるよう、愛猫の性格や個性を見極め、猫と飼い主さんにとって一番いい方法を選んでいきたいですね。
参考・写真/「ねこのきもち」2017年8月号『トライするなら今です!メリットいっぱいサマーシャンプーしちゃお☆』
監修/田草川佳実先生(聖母坂どうぶつ病院副院長)
文/kagio
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。