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【獣医師監修】夜鳴き・発情期の対策を!猫が鳴く理由と見分け方
愛猫が鳴くときの気持ちを理解できていますか?猫が鳴く意味が分かれば、満たすべき欲求も分かるはず。年齢や性別による鳴き方の違いから、猫が鳴く理由と対策、声の高さで分かる猫の気持ちまで、鳴きの困りごとに役立つ情報をご紹介します。
この記事の監修

佐藤 貴紀 先生
目黒アニマルメディカルセンター 東京ベイ動物病院顧問
株式会社FORPETS 代表取締役、JVCC動物病院グループ 代表取締役を経て、株式会社WOLVES Hand 取締役
麻布大学獣医学部卒業
西荻動物病院副院長
日本獣医生命科学大学獣医内科学教室研修生
dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長
株式会社FORPETS設立
●資格:獣医師/獣医循環器認定医
●所属:日本獣医循環器学会
●主な診療科目:循環器科
●書籍:『いぬのココロがわかる本』ぶんか社文庫/『お仕事熱血ストーリー 感動する仕事!泣ける仕事!第2期』学研/『教えて!獣医さん 犬の悩みなんでも相談室』学研プラス/『猫の急病対応マニュアル』鉄人社/『動物たちのお医者さん』小学館ジュニア文庫/『犬の急病対応マニュアル』鉄人社
●SNS:公式Facebook/公式ブログ/公式Twitter/YOUTUBE「名医のいる相談室
猫はなぜ鳴くの?

野生時代の猫は、単独行動を取っていました。ひとりで生活をしていくうえで仲間同士の会話は必要とせず、また敵に見つかる心配もあったため声を出す習慣がありませんでした。しかし人と暮らすうちに「ごはんが食べたい」「トイレを掃除してほしい」「遊んでほしい」などの欲求を伝える必要が出てきたため、飼い猫は鳴き声を発する能力が発達したと考えられています。
年齢によって鳴きやすさに違いがあるのはどうして?
子猫が母猫を探すとき「ニャーニャー」と鳴いているところを見たことはありませんか?これは「どんな鳴き方をすれば母猫にアピールできるのか?」という子猫の実験かもしれません。たくさん鳴いて、さまざまな声色を出し、いろいろな場所で呼んでみる。そうすることで「どの声が母猫を効果的に引き付けるのか」と試しているんですね。一方で、シニア猫の鳴き声を聞く機会は少なくなるでしょう。それは子猫のときよりも「かまってほしい」という気持ちが少なくなってきているからかもしれません。
性別によって鳴き声に違いはあるの?
メス猫よりもオス猫の方が鳴き声が高いことがあります。オスは成熟前に去勢手術をすることによってオス固有のホルモンが抑えられ、メスよりも幼さが残っているためだといわれています。たしかに成猫になってもオス猫の方が甘えん坊で、子猫のようにやんちゃなことが多いですよね。
「よく鳴く猫」と「あまり鳴かない猫」の差はどうしてうまれるの?

猫を飼っている人の家へ行くと、自分の家の猫と鳴く頻度の違いを感じることがありますよね。おとなしい猫がいいというわけではありませんが、頻繁に鳴く猫の飼い主さんにしてみれば、時には静かに過ごしたいことも。「よく鳴く猫」と「あまり鳴かない猫」には、どんな違いがあるのでしょうか。
あまり鳴かない猫の特徴
あまり鳴かない猫は鳴き声から性格を判断することが難しいですが、おっとりとした性格であることが多く、飼い主さんと一対一で暮らしている猫が多いそうです。これは、飼い主さんのお世話が行き届いているため、あえて要望を伝える必要がないから鳴かないのだろうと考えられています。
よく鳴く猫の特徴
猫は自分の要望を叶えてもらう手段として鳴くため、よく鳴く猫はお世話してほしいと訴えているのでしょう。また、お世話が行き届いている場合でも、飼い主さんに何か要望がある場合が。猫が鳴いている状況や鳴き声の高さを観察すると、猫の要望が分かってくるかもしれません。
よく鳴く猫とあまり鳴かない猫の違いについては、以下の記事も参考にしてみてください。
猫がうるさく鳴いているときの理由と対策方法

ふだんはおとなしい猫でも、うるさく鳴くときがあります。それは大抵、「何かをしてほしい」とき。愛猫の鳴き声がうるさいと感じるときは、鳴く理由を見極めて、理由にあった対処を行いましょう。
ごはんを食べたいから
フードや水皿の前で、「にゃおーんにゃおーん」と鳴いているときは、「はやくごはん!おなかすいた!」と催促しているのかもしれません。猫がうるさく鳴く理由として最も多いのは、ごはんの催促でしょう。この場合は、猫の要求を満たしてあげれば鳴き止みます。
トイレを片付けてほしいから
トイレのそばで鳴いていたら、トイレを掃除してほしいのかもしれません。
きれい好きな猫は、汚れているトイレでは排せつをしないことが多いですよね。「掃除をしてくれないと、オシッコができない」と飼い主さんを呼んでいるのでしょう。
かまってほしいから
飼い主さんがくつろいでいるときにそばに寄ってきて、猫が甘えたように鳴くことがありませんか?それは、「かまってほしい」気持ちの表れです。
猫の方から近づいてきたときは、優しくなでたり声をかけたりして、応えてあげましょう。スキンシップが好きな猫なら、飼い主さんとの触れ合いに大きな喜びを感じて、絆がグッと深まります。
玄関の外に出たいから
玄関のそばで鳴いていたら、外に出たいのかもしれません。そう言われても、この要求に応えることは難しそう。
そんなときは心を鬼にして、無視を貫きましょう。「鳴けば要求したことが叶えられる」と簡単に学習させないことが大切です。
発情期だから
発情期に入った猫は、性別を問わず、大きな声で長い時間鳴き続けます。ふだんより大きな声で朝も夜も走りながら鳴くため、飼い主さんが寝不足になるほか、近所に迷惑をかけてしまうことも。
この問題を解決するためにいちばんいい方法は、やはり避妊・去勢手術を行うこと。発情そのものが止まります。手術が難しい場合は、無理にやめさせようとはせず、日中におもちゃで遊んで夜中に動き回る体力を残さないようにすると、困ったと感じることが減るかもしれません。
発情期の行動や対処法については、以下の記事も参考になります。
なぜだか分からないけど、夜鳴きする
猫が夜中に元気に起きている場合、夜鳴きをする原因のひとつとして考えられるのは、日中のお留守番時間が長いから。飼い主さんが仕事などで家を空けている間に猫がお昼寝をして、夜に元気がありあまってしまうと、夜鳴きの原因になります。
この場合、夜鳴きをやめさせるために大切なことは、猫に規則正しい生活リズムを教えることかもしれません。まずは飼い主さんが眠るときに電気を消して、猫が起きている時間にコミュニケーションを取ることから始めてみましょう。
日中に留守が多くなるような場合は、猫だけで遊べるようなおもちゃを置いたり、おやつを隠したりして、飼い主さんがいない間も猫が楽しめるような工夫をするといいでしょう。
猫の夜鳴きについて詳しく知りたいかたは、以下の記事もチェックしてみてください。
注意が必要な猫の鳴き方

ストレスを感じている
- 引っ越しで環境が変わった
- 家族以外の子どもが近くに来た
- 洋服を脱ぎたい
- 花火や雷などのふだんとは違う騒音
- お客さんが猫のトイレのそばにいる
- 体調不良やケガ
上記のようなストレス要因がある場合は、長時間毛づくろいを続けたり、トイレと違う場所でオシッコをしたり、狭い場所に隠れたりと、鳴きながらなんらかの行動を起こしている可能性があります。このような行動が見られた場合は、早めにストレス要因をなくしてあげましょう。もし病気やケガが原因だと、排せつ物の異常や脱毛、出血や湿疹など体に異変が伴うこともあるので、獣医師に相談しましょう。
認知症を発症している
夜中にウロウロしながら、高い声で「アオーン」。この声を出す猫は注意が必要かもしれません。若い猫の場合は、遊び足りずに不満がたまっている証拠ですが、シニア猫の場合は認知症のおそれも。
猫は認知症になりにくいといわれていますが、それでも10才以上の猫は注意が必要です。周囲の環境や状況に関係なく、何の目的もなく、昼夜を問わず鳴き続けるので、鳴き声がうるさいと感じることも。また、甲状腺機能亢進症の場合は、シニアなのに元気で活動量が多く、夜も鳴いていることがあります。
心配があるようなら獣医師に相談することをおすすめしますが、その際に猫の行動をスマートフォンなどで撮影して持参すると、行動の変化を的確に獣医師へ伝えられるでしょう。
猫の気持ちを推測するときは、声の高さがヒントになる!?

発声するときの力加減で声の高さが変わるため、鳴き声の高さが猫の気持ちを知るヒントになります。ソプラノ・アルト・バスの3種類に分類して、鳴き声から分かる猫の気持ちを推測してみましょう。
甘えたいときは「ソプラノ」で!
高くてやわらかい声で鳴くときは、「ねぇねぇ。してほしいな」という気持ちです。もともとは子猫が母猫に対してアピールするときの鳴き声なので、リラックスモードに入って、母親のように慕う飼い主さんに甘えているのでしょう。
飼い主さんの姿が見えないときに高い声で「ニャオーン」と鳴いたり、名前を呼ばれたときに「ウニャー」と返事をしたり、大好きなおもちゃを飼い主さんが持っていると「キャーキャー」と高い声で騒いだりするのも、甘えたい気持ちから。猫が高い声を出しているときは、甘えたい欲求や信頼感を伝えていることが分かります。
以下のクイズにも挑戦してみましょう。
[猫の鳴き方] 高くてやわらかい声で鳴く。そんなときの気持ちは? | いぬのきもち・ねこのきもち
中音「アルト」は葛藤中!
愛猫が窓から鳥を見ていると「ムキョキョキョ」と、短い音を繰り返す声が!「なにごと?」と振り返ると、窓をカリカリとこすっている愛猫の姿を発見。こんなとき愛猫は、「あの鳥を捕まえたい」と考えているのでしょう。
短めの音節で連続的な鳴き声は、野性味の強い猫ならでは。飼い主さんやほかの猫に何かを主張しているのではなく「目の前にいる鳥が捕まえられそうなのに捕まえられない」と、もどかしい気持ちを表しています。
威嚇や主張をしているときは、低い「バス」
多頭飼いをしている家庭でよく見られるのが、猫同士がにらみ合いながら「ウニャ~」と低い声を発している場面。これは見て分かるように、威嚇や主張をしている場面ですね。「そこをどけ!」「そのおもちゃはボクのだ!」と相手をけん制しているのです。
猫の鳴き声から気持ちを察するときには、「声の高さ×そのときの状況」で判断ができそうですね。みなさんの愛猫は、上手に気持ちを伝えられているでしょうか?猫たちは、飼い主さんとのコミュニケーションを図るために鳴いているので、要望をくみ取ったら優しく反応してあげましょう。
猫の鳴き声と気持ちについてもっと理解するために、ぜひ以下の記事も合わせて読んでみてください。
参考/「ねこのきもち」2016年10月号『鳴き声の「高さ」で気持ちがわかる! サウンド オブ MEOWジック』(監修:帝京科学大学助教 動物看護師 小野寺温先生)
「ねこのきもち」2017年6月号『一緒に暮らすことがもっともっと楽しくなる ねこと私のHAPPY100』(監修:モノカどうぶつ病院院長 小林清佳先生)
「ねこのきもち」2018年8月号『愛猫のこんな症状、もしかしたら認知症かも!? 認知症チェックシート付き』(監修:日本動物病院協会(JAHA)認定獣医内科認定医 NPO法人小動物疾患研究所理事長 小宮山典寛先生)
監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター東京ベイ動物病院顧問)
文/こさきはな
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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